空の色、雲の形、一瞬一瞬が二度とない瞬間。
列車も飛行機もロケットも絶え間なく歴史を刻む。
今は過去となり、そして未来につながっていく!
好奇心のままにとびだせ! シャッターチャンスはそこにある!
P-33号
2006.02.05

・終点の多い工業線 〜鶴見線〜


 尻手駅から鶴見線に入る。尻手〜浜川崎間を走るのは205系1000番台。2両編成で両方ともクモハ(運転台動力車)という珍しい編成。山手線で余った205系の中間車両に運転台を追加した改造車両。ワンマンのため扉を開閉するシステム等が運転席に装備されている。100%動力車だけあって、加速がものすごい。
(尻手駅にて 2006.02.05)

 尻手〜浜川崎以外の路線はこの205系1100番台の3両編成が担当する。ここは鶴見線の終点のひとつ、扇町駅。よく反射する車両前面には巨大なタンクが写り込んでいて、鶴見線の風景をよく表している。鶴見駅との往復本数が一番多いのがこの扇町。
(扇町駅にて 2006.02.05)

2/5(日) 鶴見線

 日曜日は貨物列車の荷がない事が多く、貨物撮りにはあまり適さない。そこで天気もよい様なので、久しぶりに乗り鉄に行ってみることにした。目的地は鶴見線。近場でありながらまだ乗ったことのない路線だ。いつも路線図を眺めたときに、行き止まりの駅がたくさんあり、一体どういう風に走っているのか疑問でならなかった。
 どうせ出かけるのなら朝一からというのが鉄の基本だ。が、さすがに始発から行くには近いので、八高線に入るジョイフルトレイン「華」を撮影してから行くことにした。さらにそのついでということで、日曜日でも荷がある貨物列車を八王子駅で迎撃した。

結局すごい早起きする羽目に…(^^;

 今日は撮り鉄というよりはむしろ乗り鉄、ほとんど散歩に近いというお出かけなので、持って行くカメラ装備は軽量で行きたい。最近気に入っているのはαSDで、レンズも2本しか持っていないのでこいつで行こうかとも思ったのだが、直前に20Dに決定。ここのところ画質が気に入らずに留守番が多かったのだが、新しく買ったから気に入っているだけで、実はただの思いこみということも考えられる。そこで名誉挽回のチャンスを20Dに与えてあげようと持ち出した。一本で済むようにレンズはシグマの18-200。さらにもしかしたら出番があるかもしれないと魚眼レンズも持ち出し、結局2本。

 いつものように自販機でホリデーパスを購入。今日はこれ一枚で済む。八高線と鶴見線を往復するので途中下車しなくてもトントンぐらいの計算。鶴見線で何度も途中下車したり往復したりすることを考慮すると、まず間違いなく元が取れる。
 とりあえず八王子駅で貨物を撮ったのだが、ピントが全然合わずに苦労する。あれー、20Dと18-200の組み合わせってこんなにピント合わなかったっけ? 初っぱなから20Dを選択したことににちょっぴり後悔しながら八高線へ。
 しかし、高麗川への送り込みと折り返しを両方撮ろうという予定だったのだが、実は貨物列車を撮ってからでは送り込みに間に合わないことが判明。ピントが合わない事件と併せて、朝っぱらからどんどんやる気がなくなっていく(^^; 華は金子駅の近くから茶畑を絡めて撮影することに。華なんて車両は誰も見向きもしないだろうと思っていたのだが、すでに先客が3名ほどいた。華自体は珍しくないが、八高線内を走る事は多くないので、予想以上に人が来ているようだった。しかし、せっかくの田舎風景なのに、やはり電車は架線と電柱が邪魔だ…。結果は今ひとつ。


 朝日を背に八王子駅に到着したEF65 108号機。20Dのせいか、18-200のせいか、動いている物にはてんでピントが合わない。以前からこんなものだったっけ? ますます20D不信が…。
(八王子駅にて 2006.02.05)

 あまりいい撮影ポイントが思いつかなかったので、通い慣れている金子駅付近で迎撃。こちら側からはあまり撮ったことがなく、電柱の処理に難儀した。結局電柱も手前の白い箱も処理できず撃沈。…八高線を華が走りましたよ、という証拠写真程度のものに(^^;
(金子駅付近にて 2006.02.05)

 朝の撮影は無駄足っぽさ満点だったのだが、今日の目的はあくまで鶴見線。気を取り直して拝島から青梅線を使って立川へ移動し、南武線に乗り込む。なんか南武線に乗るのも久しぶりだ。終点である川崎のひとつ手前、尻手駅で乗り換え。ここから先は筆者がまだ行ったことのない鶴見線になる。
 ここで時刻表を見て唖然とした。鶴見線についてまったく下調べして来なかったのは確かに筆者の準備不足なのだが、まさかこれほど本数がないとは予想していなかった。

八高線の半分もありませんよ!?

 休日なのもあって1時間に2本だけという超ローカルっぷり。ちょうど列車が行ったばっかりで、いきなり30分待たされることに(^^; まあ、ローカル線に慣れている筆者は、そのぐらいの待ち時間ぐらいでは動じないのだが(笑) ようやくやってきた列車は2両編成の205系1000番台。これも下調べしてこなかったのだが、鶴見線は3両編成だと思いこんでいたので衝撃的だった。しかも2両ともクモハ。そういう編成もありなんだなぁ。

しかもワンマン運転

 いきなり鶴見線に驚かされまくる(^^; さらに乗り込んだはいいが

30分待って、3駅10分で終点に到着(笑)

 てっきり扇町まで行くものだと思っていたのだが、なんとこの浜川崎駅で行き止まりになってしまうとは。同じ鶴見線なのに駅も一回改札を出ないと乗り換えできない。いやー、すごいな鶴見線(笑) ほんと、笑うしかないって感じだ。しかし、ローカル線好きの筆者はだんだん楽しくなってきた(笑)
 浜川崎駅ではほとんど列車を待つことなく乗車。どうも2両編成なのは尻手〜浜川崎の区間だけで、鶴見線のメインの部分は205系1100番台が3両編成で運用されているようだ。さっきの区間の列車は車両の帯の色も違うし、鶴見線じゃないのか? でも南武線とも違うしなぁ。不思議な路線だ。
 今度も浜川崎から乗って、2駅で終点の扇町に到着。ここも行き止まりの駅で、乗ってきた列車で引き返さないとずいぶんと待たされることになる。工場の敷地内にあるような駅で、ちょっと駅の外に出てみたが工場以外に行けるような所がなかった。でもこういう行き止まり駅はなぜか好きだ。いつも行き止まり駅に行ってはレール端の車両止めを写真に収めている(笑)


  2両しか停車できない狭いホームなのに、全ての柱に駅名プレートがつけられていた。このホームの短さと駅の狭さは廃止寸前のローカル私鉄のような雰囲気だ。もちろん無人駅だが、さすがにSuicaの簡易端末は設置されていた。
(浜川崎駅にて 2006.02.05)

 鶴見線の本線(?)側の駅から、入れ替えをするDE10 1582号機。パトライトつきのレア機をこんなところで目撃することになろうとは。もっとも八王子駅で入れ替えを担当しているDE10は新鶴見機関区の所属であり、こちらで見かける方が当然と言える。
 今日は20D+Sigma18-200で全然動体にピントが合わなかったのだが、このショットはなんとか合った。…なんか微妙に変なピントの合いかたをしているような、奇妙な感じのする画ではあるが…。
(浜川崎駅にて 2006.02.05)

 乗ってきた列車で折り返し、反対側の終点、というか始点である鶴見駅へ。ここで丁度お昼だったのと、次の目的地である海芝浦行きの列車まで1時間ほどあったので、駅の外へ出て昼食とした。新横浜に住んでいたときには、京浜東北線でずいぶんと鶴見駅を通過した物だが、降りたのも駅の外に出たのも今日が初めて。ビルの大きさに対して、ロータリーが手狭な感じの駅だった。

ここのハトは警戒心が希薄で、最終防衛ラインは10cmぐらいだった

 駅ビルの出入り口にまでひなたぼっこよろしくたむろしていた。増え過ぎですよ…。人間、完全になめられております(^^;
 駅に戻って海芝浦行列車に乗り込む。海芝浦駅は知る人ぞ知る

東芝社員でないと駅から出られない駅(笑)

 今日のメインイベントだ(笑) 鶴見線のメインルートは鶴見−扇町の往復だが、途中に分岐点があり、これから行く海芝浦駅と、扇町と海芝浦の間にある大川という終点が存在する。海芝浦への分岐点は浅野という駅。ここで本線に別れを告げ、東芝支線とでも言うべき線へと入っていく。が、駅間は短く、東芝の別の門の前にある新芝浦駅、終点の海芝浦駅とあっという間に到着。わざわざ支線にしなくても浅野駅から歩いていける距離だ。工場内から貨物列車を出すために必要なのでレールがあり、ついでに社員も運ぼうというので駅があるという感じに見える。
 海芝浦駅は本当に東芝工場に直結していた。駅舎だと思った物が、東芝の守衛所だった(笑) でも、そこで切符売ってたりするけど(^^; この終点で降りたのは7、8人だったが、筆者とひと組の老夫婦以外は休日出勤する東芝社員だったようで、浅野を過ぎてからは「休日出勤ですか?そちらも大変ですねぇ」と

雰囲気はほとんどシャトルバス(笑)

 しかし、駅から出られないというのは正確ではなく、ホームを降りたところに改札というかSuica端末があり、その先に小さな公園がある。公園は駅の中の施設ではないので、微妙には駅から出られる。が、その公園からは駅にしか戻れないので、結局駅から出られないというのも間違ってはいない。この公園は元々は東芝の敷地だったらしいのだが、ベイブリッヂと鶴見つばさ橋というふたつの吊り橋を一望にできるグッドなスポットであるために一般に開放しているのだという説明が書いてあった。まぁ、確かに景色はいい感じなのだが、ベンチが3つ、しかも近接しまくっているこんな小さな公園に、わざわざ景色だけ見に来る人がいるとは思えないわけだが…。


 鶴見線の終点のひとつ、海芝浦駅は東芝の門に直結しているという珍妙な駅。東芝社員以外は小さな公園に行けるだけで、実質駅から出られない(^^; 公園からはベイブリッヂと鶴見つばさ橋を一望できる。景色がいいからか、それとも東芝直結の変な駅だからか、理由はよくわからないが関東の駅百選に認定されているとのこと。
(海芝浦駅にて 2006.02.05)

 東芝ガエルここに眠る…。もしくは東芝ガエル冬眠中につき注意の看板? って、ホームページに載せるほどの写真なのか?(^^;
(海芝浦駅にて 2006.02.05)

  鶴見つばさ橋と林立する巨大クレーン。これのさらに右手奥にベイブリッヂが見える。
(海芝浦駅にて 2006.02.05)

 分岐点にある浅野駅。右にあるのが本線で左側、自販機の奥に見えるのが海芝浦へと続く東芝支線のホーム。駅が無駄に広い…。
(浅野駅にて 2006.02.05)

 確かに景色はいいのだが、ぼうっと眺めていてもマッハで飽きた(^^; 結局乗ってきた列車に再度乗り込んで引き返す。あとひとつの終点、大川駅に行って、鶴見線制覇をしなくてはならない。が、実は先ほど鶴見で時刻表を確認してわかったことなのだが

朝と夕方しか大川行列車は存在しない

 すでに鶴見線の本数の少なさには驚き済みなので、今更驚くことはなかったのだが、電車による制覇は不可能となった。…いや、夕方まで待てばいいんだけど。この本数の少ない、しかも日曜日だと貨物も動いていない鶴見線で3時間とかつぶすのは辛かろう…。
 さきほど駅間が短いと書いた海芝浦−浅野間だが、線路以外は東芝の敷地であるため、いくら距離がないとは言っても歩いていくことはできない。無駄に列車に乗って、あっという間に着いた浅野駅にて下車。この駅は分岐点の駅なのだが、分岐した直後が駅となっており、本線と支線のホームが分かれているという、これまた変な駅だ。分岐前に作ればこんな無駄な土地は必要ないだろうに。鶴見線、いろいろ不思議だ(^^;
 駅間が短いので大川駅までは軽く歩いていけるだろうと、地図もないまま適当に歩き出す。普通の人はあまりしないことらしいのだが、筆者の場合はよくあることだ。鶴見線は支線が多く、海沿いで川も多いため、なかなか線路に沿って歩くことができない。とりあえず大川への分岐の前の駅、安善に到着。やはり駅間はめちゃめちゃ近い。が、見た限り分岐点しているような線路はなかった。試しに踏切を渡って見渡すと、一本の支線が延びているのを見つけた。が、鶴見方面から分岐するのではなく、扇町から分岐する形の支線だ。路線図ではそのようになっていないので、疑いながらも支線沿いに歩いていく。まさかスイッチバックするなんて事はいくら鶴見線が変だと言ってもなかろう…。数分も歩かないうちに、ずーっと続いているまっすぐな支線に沿って走っている道路にぽつんと立っている看板を発見。

この先1200m 行き止まり

 1200mかよ! 思わず心の中で一人つっこみを入れた(^^; どうやらこの道は途中で曲がる道すらなく、ひたすら1km以上も行ったあげくにどこかの工場に直結しているのだろう。この工業地帯ってすごい規模の工場がならんでるのね…。中学校の頃に社会で習った、川崎のコンビナートってやつか? でも各工場で結構業種がバラバラだったりするから、コンビナートとは呼ばないのかも。ところでコンビナートの語源って「結合」を意味するロシア語なのね(Wikipediaより)。

微妙に役に立つホームページ作りを目指してます(ぅそ

 ともかく、この道は違うようだ。時間も体力もまだまだあったので、1200m先の行き止まりがどうなっているのか確かめたいという誘惑に思わず負けそうになったが、大川駅を見つけることが先決だったので、後ろ髪引かれつつ安善まで撤退。再度扇町方面へと歩を進めた。が、10分ぐらい歩いたら次の武蔵白石駅に到着。…分岐点通り過ぎちゃってるじゃん!(笑) この駅間は間違いなく線路を見ながら歩いてきたが、分岐点なんてなかったぞ? 試しに駅に入ってみる。と、駅の直前で一本支線が出ているじゃあありませんか。浅野の駅よりも駅の近くで分岐しているくせに、武蔵白石では支線の方に駅がない…。もう意味わからん(^^; これ以外に支線はなさそうだったので、この支線をたどってみることにした。線路の向こうに渡る場所が安善−武蔵白石間にはなかったので、武蔵白石駅を過ぎたところにある踏切を通って海側へ出る。線路はまっすぐに海の方へ向かっていた。さっきの行き止まり支線と似たような雰囲気だ。こっちも行き止まりという可能性も捨てきれないが、こちらは確かに鶴見方面から分岐できるし、分岐してる場所も路線図通りなので、ほぼ間違いないだろうという直感はあった。随分と歩かされたが、行き止まりの看板がなかったので信じて進む。と、支線の行き止まりが見え、かくしてそこに大川駅はあった。
 静まりかえった駅で、確かに朝と夕方以外には列車が来ないというのも頷けるような感じだったが、平日には工場からの貨物の入れ換えなどを行っているようだ。とりあえず列車での制覇ではないが、鶴見線を前線制覇できた。


 ←左 いかにも工場という感じの煙突と、赤い警戒船。手前の警戒船は船体に比べてレーダーとかの装備が結構豪華っぽい。
(浜川崎駅にて 2006.02.05)

 ↑上 行き止まりにある大川駅にたどり着いた。右も左も工場だ。
(大川駅にて 2006.02.05)

  平日は工場からの貨物列車の入れ替えが行われるらしい。
(大川駅にて 2006.02.05)

 鶴見線の205系1100番台。
(武蔵白石駅にて 2006.02.05)

 こうして全ての行き止まり駅を堪能して鶴見へと戻ってきた。路線図を見ていて不思議に思っていた行き止まりの謎が解けてちょっとすっきりした。工業地帯を走る鶴見線は、普段乗っている列車とはまったく違う車窓で、近場でありながら、まるで知らない土地のような新鮮さが合った。遠くに行くのもいいが、意外と近場に知らないところがあるものだ。
 まあ、そう何度も遊びに行くところじゃあないかもしれないけど(^^;


 戻ってくると西八王子は夕日が差し込むゴールデンタイムだった。201系の車内からスーパーあずさのすれ違い。
(西八王子駅にて 2006.02.05)

 夕方の貨物、2459レ。牽引機はEF64 70号機だったが、201系に被られてしまい、後撃ちのみ。ただ、夕日の具合が良く、なかなかよい感じに撮れた。
(西八王子駅にて 2006.02.05)

2006.02.12記