鋼鉄の愛馬と魔法の書が君を四大陸へいざなう。
知らない場所、初めての街、さまざまな出会いが軌道の先にある。
シャレてる暇はない。さあ、出発の時間だ!
第0023号
2004.04.29-05.02

2004.04.29-05.02

・つばめの系譜 〜九州新幹線・種子島〜


 ↑上
 800系九州新幹線つばめ。JR九州は文字やマークを書くのが大好きで、車体の形以上に塗装がらみのデザインのよさも光る。リレーつばめとの対面乗り換え接続も非常にスムーズ。でも空いてる…(^^;
(新八代駅にて 2004.04.29)

 →右
 H-2Aロケットの打ち上げ射点。補助ロケットの切り離しがうまくいかず、失敗した6号機の打ち上げを意味するH-IIA F6の文字が取り払われずに残っている。再びここからロケットが打ち上げられる日が来ることを願う。
(種子島宇宙センターにて 2004.04.30)

4/29(木) 八王子〜羽田空港〜福岡空港〜博多〜新八代〜川内〜鹿児島中央

 GW、以前は東北に桜を追っかけていく旅をしたものだが、去年は飛行機にはまって九州だった。そもそもJRのフリー切符がGWに発売されないのが悪い。繁忙期なので飛行機もバーゲン価格ではないのだが、筆者の誕生日が5/4なのでバースデー割引が使え、格安で飛ぶことができるため、飛行機を利用したくなってしまう。
 そんなわけで今年も九州に飛ぶことにした。開通したばかりの九州新幹線に乗ってみようと言うのが一番最初の目的である。が、日程を考えてみると去年以上のいい作戦が思いつかない。

そうだ!種子島行こう!

 というわけで、日本で最大のロケット打ち上げ施設のある種子島に行くことになった。
 2ヶ月前に職場から一生懸命切符を予約ぉ 宿も取った。ところがこれで安心してしまってその後にまともに旅程を考えなかった(^^; 結局、まともな旅程を組まないまま旅立ちの日を迎えることになった。
 今回は飛行機旅ではあるがニロが仕事でこられず、道連れは阿瀬見と山崎。「宮本がいるから天気の心配はない」と豪語する二人だが、君らの体質も改善しようぜ…。阿瀬見は以前の日記でも書いたように夕立男である。山崎に関してはそれほどデータの蓄積がないのだが、ゴルフに行った話を聞くと荒れた天気が多いような気がするし、山崎の旅日記読むとこれまた晴れた日が少ない…。そこまで面倒見きれるんかなぁ。

 何はともあれ出発の日。今回は超早い便ではないので始発に乗っていく必要はない。が、やっぱり八王子は不便で2番目の列車である。中央線で八王子まで出てそこからは空港直通バスで羽田へ向かう。GWで混雑が予想されるため、1.5時間前に集合時間を設定したわけだが、空港は予想通り混雑していた。テロ対策で靴もX線に通すってことで、それで混雑してるんだと思ったら、靴は脱がなくてもおっけーだった。

せっかく脱ぐ準備してたのに(笑)

 行きの飛行機はB747-400。ANAのプラチナ会員GETのためにアホみたいに飛び回ってる阿瀬見と山崎にはもちろん、筆者もそろそろ乗り飽きた機体である。少しは楽しめるように2階席を取った。もちろん、3人とも窓際の縦一列という感じ悪い席順なのはいうまでもない(笑) そうそう、そういうわけで往復の飛行機はANAを選ばされた。最近JALばっかりだったので久しぶりのANAだ。
 もうすぐ夏という気配一杯の天候の中、飛び立った飛行機から地上の景色を見る。西へ飛ぶときには右側の窓際に陣取っているので、東京、横浜、静岡といったぐあいに東海道を通るのを見下ろすことができる。が、今日はちょっと様子が違う。海には出ず、いきなり東京上空を西進していく。調布や立川、横田基地などが見える。シートベルトサインが消える頃、普段ならこちらの右側の窓からは富士山を見下ろそうかというタイミングなのだが、今日見えたのは八ヶ岳。てっぺんにまだ雪の残っている深い緑色の山が細部までくっきりと見える。遠くには南アルプスの山々も見える。こんな航路もあるんだねぇ。初めて飛んだよ。
 山と時たま見えるよくわからない湖を眺めてると程なくして福岡空港に到着。こちらも天気は上々で海の中道側から空港へ進入する様子がよく見えた。

 福岡空港から博多までは便利な地下鉄。ここで山崎の問題発言。

福岡空港には何度も来たけど、空港から出るの初めて

 おいおい(^^; おまえら月に1度は福岡空港来てたろうが…。恐るべし飛ぶだけマニア(笑) しかも山崎はターミナルから出ると「ちょっと一服」といってたばこを吸いに行ってしまい、激しく団体行動を乱す。

もう山崎に人権はないねぉ

 山崎に車を運転させて、後部座席でビールを飲んでも心は痛まないな(笑) 喫煙者には厳しい筆者と阿瀬見であった。
 博多駅で新幹線の切符を買う。というのも、事前に予約しようと思ったらカードの利用限度額に引っかかって買えなかったのだ(^^; 買えていれば緑の窓口にある自動発券機で飛行機のチケットレスよろしく切符をGETできるシステムなのだが…。
 最終的には鹿児島西駅改め鹿児島中央駅まで行くのだが、とりあえず九州新幹線の始発駅である新八代駅までの切符を調達する。二人分については「2枚切符」を使った方が安いというのでそれにしたのだが、今考えると乗車券を鹿児島中央まで買って、特急券とは別にすればよかったなぁ。まあ、2枚切符は新八代までだと1000円もお得で、悪くない切符ではある。
 博多からはリレーつばめ号で新八代を目指す。
 九州新幹線は本当は博多-鹿児島中央を結ぶのだが、今回は一部開業ということで南側の新八代-鹿児島中央間だけの運行になる。それじゃあまり便利じゃないってんでJR九州が考え出した作戦がこのリレーつばめ号である。この前まで特急つばめとして運行していた787系の特急車両をリレーつばめとして博多-新八代を走らせ、新八代駅で新幹線の向かいのホームへつけて対面乗り換えしてしまおうというのだ。乗り換えることには違いないが、移動距離は多くても数十メートルだし、接続も数分間だけなのでかなり便利だ。と、ここまではふつーの人の考えること。
 「てつ」な筆者が考えたことは少し違う。このリレーつばめ号は前述のように全線開業できなかった新幹線の代替え手段である。これはつまり九州新幹線が全線開通した暁には不要となるシステムなのである。九州新幹線の全線開業は数年後ではあるが、たぶんこれから刻まれるであろう九州新幹線の長い歴史の中ではこの数年間というのは相対的に短い時間となるはずである。

実はこのリレーつばめ号、そして対面乗り換えこそ激レア!(笑)

 我ながらひねくれた考えだが、たぶん真理である。
 九州新幹線には今後何度も乗る機会があるだろう。だが、リレーつばめに乗る機会はもしかしたらこれが最後かもしれないのだ。
 そんな考えなので博多駅に着くと無我夢中で787系を目で追う(笑) おお、いたいたリレーつばめ号。以前までの特急つばめと基本的には同じだが、リレーつばめのロゴはわざわざ新しくデザインされていた。ペイントするのではなく、プレートになっているところにJR九州のこだわりを感じる。いやー、やってくれます♪
 何とかGetしたボックスの指定席に、ヱビスと駅弁を買い込んで潜り込む。このボックス席、テーブルと照明の雰囲気はいいのだが、荷物の多い筆者らにはちと狭い。
 発車まであまり時間はなかったが、荷物を席に放り投げるとそのまま撮影に出かける。阿瀬見と山崎はさして興味もないようで、狭いシートに身体をおさめて「もう動きたくない」オーラを発していた(^^; まだまだこれからだぞ…。
 ヱビスを飲みつつバックスクロールしていく景色を眺める。数キロも行かないうちに景色は田舎になる。この景色も新幹線が全線開通したらもう見ることもないかもしれない。新しいものができて古いものが消えていく。いつもうれしさ半分寂しさ半分である。いろいろ思いを巡らせながら車窓を眺める。が、阿瀬見らは特に思うところもないらしく、ワゴンサービスからやむを得ずスーパードライを購入して飲んでいた(笑)

 新八代駅に近づくとリレーつばめは新幹線の高架に登っていく。見れば隣のレールは新幹線を走らせるための標準軌になっている。今走ってるレールは狭軌だが、いずれはここも標準軌になるのだろう。
 新八代駅に到着。ここまでが1時間30分。ここから新幹線に乗る時間は40分足らずである。こんな一部開業にどれだけ意味があるのか疑問ではあるが、まあこれは政治的な問題だからなぁ。入線すると向かいのホームにはもう九州新幹線が入線していた。強い日差しにまぶしく輝く真新しい真っ白な機体。かなり絞ってもCCDが飽和するんですが…(^^;
 800系新幹線は700系ほどは前面の形状が特殊ではなく、500系ほどとんがっているわけでもない。形状としてのインパクトはそれほど強いものではない。しかし、ロゴやあらゆるところに書かれた文字とマークのかっこよさはJR九州特有のものだ。しっかし、やっぱり新幹線ということで白にこだわったのだろうか。

JR九州なら真っ赤に染めかねない

と思っていたのだが(^^;
 リレーつばめは最初は混んでいたのだが、熊本で多くの人が降りてしまい、せっかくの対面乗り換えなのに人がまばら。新幹線の指定席は取っていなかったのだが、自由席にも空席が目立つ。うーん、開業したばかりなのに大丈夫か九州新幹線…。
 とりあえず接続するこの新幹線は見送る。やっぱり発駅に入線してくる新幹線を撮影せねばなるまい!
 新幹線、および同じ本数だけ走っているリレーつばめは1時間に2本。そのうち1本は新水俣と出水に止まらない快速運転だ。また、一日に一本だけ終点の鹿児島中央までノンストップのがある。これは最速2時間10分とうたうためのワナである。シングル2000円〜と書いてあるビジネスホテルで2000円の部屋がいつも埋まっているのと似た現象である(笑)
 一本待って入線してきた800系九州新幹線に乗り込む。自由席だというのに2x2列で前後にもかなり余裕のあるシート。ふんだんに木が使われていて暖かみのある明るい車内だ。

でもちょっとトイレっぽい?(^^;

 なんかタイルっぽい模様がそう感じさせる…。しかし、この内装、さすがはJR九州だ。九州の特急はどれも外見もさることながら内装がすごい。ソニックの883系のミッキーマウスもどきシートとか、白いかもめ、ソニックの885系は革張りシートだったり…。なぜここまで東日本と違いますかってなもんだ。JR東日本はまじめすぎだな。まあ、特急利用者の目的がビジネスだとすると、こういうリゾート内装されるとちと気を悪くするか(^^;
 新幹線からの景色は…

駅以外はすべてトンネル!

 まあ、トンネルばっかりなのは開業前の資料を見て知っていたけど、実際乗ってみると本当にトンネルしかない(^^; うーん、せっかくの九州なのに、これはちょっと残念だなぁ。
 このまま鹿児島まで行ってしまいたいと言う、やる気のない阿瀬見を引きずって川内駅で下車。1駅しか来てないここが唯一の停車駅だったりするわけだが。やっぱ新幹線区間短すぎだ…。せめて熊本-鹿児島中央にするべきだろう。
 あまり気にしている人はいないようだが、新幹線開業に伴い、八代ー川内間の在来線が第三セクターの私鉄になった。肥薩おれんじ鉄道である。東北新幹線の八戸延伸の時もそうだが、こういった幹線ルートでさえ3セクに移行してしまうのはいかがなものかと思う次第。
 在来線のホームの半分が肥薩おれんじ鉄道のエリアになっていて、悲しいことにレールもそこでぶった切られていた。レールはつながっていてこそのレールなのに…。日本全国津々浦々まで鉄道で結んでやる!という国鉄の精神はもう消えてなくなってしまったのだろうか。悲しいなぁ。
 まあ、切れているのは1カ所だけで、逆側のホームではJR貨物の貨物列車が悠然と3セクエリアに進入していたが。

もしかしてJR貨物最強!?

 すぐにJRの在来線が来てしまった。一人旅なら肥薩おれんじ鉄道にちょっと乗ってみたかったところだが、今日のところは素直に鹿児島に行くとしよう。というわけで、在来線で川内から鹿児島中央へ移動。新型車両はかっこいいけどやっぱり古い車両の方が雰囲気あってよいなぁ。
 鹿児島中央駅は駅ビルが建設中でさらにでかくなっていた。まだ動いていないが観覧車がホームからでも見える。うーん、なんか場違いだなぁ。観光都市にするのか、このあたりで一番の都会にしたいのか、いまいちビジョンが見えない開発だ。他人事ながら心配になる(^^;

 宿は3人一部屋の和室。3枚布団敷くともういっぱいいっぱいだが11kはお得だ。東向きの窓からは桜島がででーんと大きく見える。桜島を見ると鹿児島!って感じがするな。
 せっかく3人もいるので夜は豪勢に外食することにする。前回来たとき豚しゃぶがおいしかったのだが、同じってのも芸がないので牛にしようと街をさまよったが、結局入った焼き肉屋で豚しゃぶを頼む(笑) うまくて安かった♪ しかし、しゃぶしゃぶに普通の鍋と同じ、白菜やらエノキやらシメジやらを入れるのって普通なのだろうか。筆者はしゃぶしゃぶは肉を泳がして食べるだけの料理だと認識してるんだが…。まあ、鍋物風の方がおいしくっていいけどね♪
 夜、双眼鏡で星空観察をして就寝。川の字になって寝ましたとさ。


 B747の2階席から見下ろした八ヶ岳。雪をいただいた尾根や谷の様子がはっきりと見える。福岡空港に行くのにこの山側ルートを通ったのは初めて。いつもは富士山を見られる右側の窓際だったのだが、今回は富士山は左側でよく見えなかった。
(八ヶ岳上空にて 2004.04.29)

 787系リレーつばめ(右)と800系新幹線つばめ(左)との対面乗り換えの様子。すべての列車でこの対面乗り換えが行われ、乗り継ぎ時間は3分程度でちょっとタイト(^^; 九州新幹線が全線開通すると見られなくなってしまうため、非常に貴重な風景となるはず。
(新八代駅にて 2004.04.29)

 800系新幹線つばめの先頭車両のロゴ。車両出入り口にでかでかと書かれている本ロゴとは異なるが、上部の窓枠にまで文字が書かれているところがJR九州っぽいのでこちらをチョイスした。
(新八代駅にて 2004.04.29)

 787系リレーつばめのロゴ。新幹線登場以前の特急つばめの車両をそのまま使うと思いきや、ロゴが金属プレートに変わってリレーつばめの新ロゴが使われていた。この辺のこだわりはさすがJR九州。
(新八代駅にて 2004.04.29)

 800系新幹線つばめの車両出入り口に書かれた大きなロゴの隅っこに書かれたJR九州のハンコ(笑) これこそがJR九州のセンス! 好きだなぁ、JR九州♪
(新八代駅にて 2004.04.29)

 九州新幹線開業に伴い、八代-川内間は「肥薩おれんじ鉄道」として3セク化された。鹿児島本線ですら切り離すとは、JR九州らしからぬ所業だ。この写真の10mほど手前はJR側で、レールはそこで無惨にも切られている…。電化区間なのだがなぜかディーゼル車両を用いている。
(宍道駅にて 2003.09.03)

4/30(金) 〜鹿児島空港〜種子島空港〜種子島宇宙センター

 ここのところ一部世間を騒がせている彗星。ここ数日はリニアー彗星とブラッドフィールド彗星が夜明け前に見られる。数日前から毎朝早起きして探していて、ようやく先日見ることができた。まあ肉眼やら双眼鏡では彗星の醍醐味である尻尾は見ることができなかったが…。今日も桜島ごしに見えるかなぁと思って早起きしてみたのだが、晴れてはいるものの下の方には雲が多くて見えなかった。星ってのは雲もなく晴れなきゃならないから、結構条件キビシイなぁ。
 朝一の飛行機で種子島に渡るため、0530には宿を出る。宿から出るとようやく赤く染まり始めた空に見事な飛行機雲が浮いていた。言葉では表せない美しさで、口をぽかーんと開けて見上げた。うーん、やっぱり東京の空に較べると高い。八王子の空はずいぶんきれいだと思うのだが、やっぱり地方の空は較べものにならないほどきれいだ。
 空を見上げながら鹿児島中央駅近くのバス停へ。ここから鹿児島空港行きの始発バスに乗る。早朝だというのに結構人がいる。どうやら福岡行きのバスの利用者らしい。高速バスは片道4000円。確かに新幹線よりは遅いわけだが、半額以下という値段は魅力的だ。

大丈夫か、九州新幹線…

 飛行機は0825なのでこんなに早く空港に来る必要はないのだが、早起きは旅の基本ってことで。まだ一部の店しか開いていない空港で朝ご飯を済ませ、さっそく展望デッキへ。南向きの展望デッキは光線的にはあまりよろしくないが、久住の山々が見えるので景色はよい。…まあ、今日は霞んでいて見えないが(^^;
 撮影してたらいつの間にか20分前になってしまったので、慌てて搭乗口へ。ここでも靴を脱ぐことはなく突破。どうも羽田とかの大きな空港で一部抜き打ち的に行われているだけらしい。本当にテロ対策として役に立つのか疑問だ…。
 種子島への便はJACのYS-11。去年ANKのYS-11が引退してしまったがJACのは現役ばりばりで運行している。こんなにうじゃうじゃ飛んでるとYS-11のありがたみが薄れてしまうほどだ(笑) 初めて見たときは「うぉぉ!YS-11だよ!国産機だよ!」と騒ぎ立てたものだが、今じゃあ「あ?YS-11? もういっぱい撮ったからいいよ…」ってなもので…。

人間っていうのは勝手な生き物だな

 とはいえ、乗り込むときは嬉々として撮影してたりする(^^; でもこうやって手の届くところから見るとやっぱり感動があるなぁ。いつもは遠くからしか見ることができないだけに、列車とは違った感動がある。もっとも、いくら手が届きそうだからといって、さわろうとするともちろん怒られるのでよい子はまねしないように。
 YS-11でも窓際縦1列。窓際の席が結構埋まっていて、選択の余地がなかったので最前部にしたのだが、ここでやっとプロペラを前から見ることができる位置だった。プロペラってかなり前の方についてるんだなぁ。
 例によって右のプロペラから回し始め、騒音が機内に響き渡る。うんうん、プロペラである。心配になるような低速で空中に浮き上がったYS-11は、頼りなくてドキドキするようなバンク上昇を見せる。丁度バンク側だったので空港を巻きながら上昇する様子がよく見えた。ジェットだとあっという間だが、プロペラ機だと景色がよく見える。遅いのも一因だが、そもそも高度が低いからだろう。プロペラ越しに景色を眺めつつ、気分は遊覧飛行。

あいかわらずふわふわと揺れる機体だ♪

 前回、阿瀬見は悪天候の時にこれに乗って、リバース寸前までいったらしい。まあ、飲み過ぎてたせいだと本人は言っていたが、酒にも乗り物にもあまり酔わない阿瀬見をここまで追いつめるとは、恐るべしYS-11。

もうジェットコースターなんてコワないで

 まさにこの言葉がぴったりだろう。
 鹿児島から種子島はさほど遠くない。薩摩半島や大隅半島が思ったよりも長いので、ほとんどは陸の上を飛んでいる感じだ。というわけで、ぶ〜〜〜んと種子島空港に着陸。乗ってた時間は40分ぐらいで、距離の割には長い。YS-11遅いからなぁ(^^;
 機体から降り、最後の一人になるまでエプロン上で撮影。
 そうしてグズグズしていたら、せっかく迎えに来てくれたレンタカー屋の人を逃してしまうところだった。予約したトヨタレンタカーは空港内に事務所がなく、少し離れたところにあったので、まさか迎えに来てくれているとは思わなかったのだ。せかされるように車に案内され、てっきり乗せていってくれるのかと思いきや、「事務所で手続きをしますので、事務所まで運転してきてください」とキーを渡される。

契約前に客に運転させるんかい!

 突然の事態にとまどいながらも、山崎を運転席にすえる。がんばれ山崎!(笑)
 と、その時、見上げた管制塔の中で何かが動いた。

管制官がゴルフのスイング練習してる!(笑)

 いくらYS-11が着陸してその後することがないとは言え…。いやー、のどかな空港だなぁ(^^; レンタカー屋のこともあるし、島全体がこんな調子なんだろう。南国いいなぁ♪
 レンタカー屋の事務所は空港のすぐ近くなのだが、この事務所、看板が立ってなかったら絶対レンタカー屋だとは誰も思わないぞ!

これ、農家の納屋ちゃうんか!(^^;

 掘っ立て小屋みたいな木造建築が事務所で、トラクターを停めておくようなぼろい車庫。さすがに止まっている車は普通の乗用車だったが、かなりのカルチャーショックを受けた(^^; いや〜、ホントすごいんだってば。ショックを引きずったまま契約をすます。あまり旅程を考えていなかったので、車の返却をどうしようかと思ったのだが、店員と相談すると西之表港にも支店があるという。あれ?調べたときに種子島の支店はここだけだったと思ったのだが。まあ、都合がいいので返却はそちらにすることにして車を借りる。もちろん傷のチェックなどは一切ないが、これにはもう驚かないぞ(笑)
 逆に店員は「変な観光客」と思っただろう。だって「最初にどちらへいかれますか?」って聞かれて「とりあえず空港へ」って答えないよな、普通。今さっき空港から来たやんあんたら!(^^;
 それにしても最初に「仕事ですか?」って聞かれたうちらは三菱とか石川島播磨の技術屋と思われたんだろうか…。こんなに仰々しいカメラを持ってるのに、仕事と勘違いされるなんて

ロケット関係者は一体どんな風体でここへ渡ってくるんだ?(^^;

 いや、もしかしたら取材関係者と間違われたのだろうか。確かに、宇宙作家クラブの連中とは属性的に近いかもしれんが…。
 とりあえず空港にとって返し、乗ってきたYS-11が鹿児島へ飛び立つのを見送る。金網が邪魔でよい絵は撮れなかったが、小さい空港なのですぐ近くを離陸していくのはなかなかよかった。隣では本気モードの人が脚立によじ登って撮影していた。この人、機内でもカメラ持ってうろうろしてて感じ悪かったのだが(^^; いやー、つきあってる奥さんも大変だ。でも実は奥さんの方がマニアで「YS-11なんかではしゃいでるんじゃないよ」とか言ってたら嫌だなぁ(笑)

 ↑上
 幻想的に朝日に染まるたくさんの飛行機雲。いろいろな航路が交わる鹿児島上空は朝からたくさんの旅客機が行き交う。
(鹿児島にて 2004.04.30)

 →右
 JACのYS-11からの風景。手前は大隅半島で鹿児島湾を隔てて遠くに開聞岳が見える。開聞岳は色も形もすばらしくおいしそう(笑)
(大隅半島上空にて 2004.04.30)

 ↑上
 種子島空港に到着したJACのYS-11。ANKではもう全機引退した機体だが、ここ鹿児島ではがんばって主力機の座を守っている。引退するまでには、まだ何度かお世話になりそうだ。
(種子島空港にて 2004.04.30)

 →右
 農家の納屋のようなトヨタレンタカー種子島空港支店(笑) 南国のレンタカー屋はどこもおおらかで、傷やガソリンの満タンなどのチェックはもとより、契約する前に空港からこの支店まで客に運転させるぐらいだ(笑)
(種子島空港付近にて 2004.04.30)


 YS-11が飛び立ってしまうとしばらくは何も来ない。待っていても仕方ないので早速種子島宇宙センターへ出発する。ついているナビが使い物にならないので、とりあえず適当に走り出してみる。しばらく走ってると青看に「↑西之表」の文字。

おーい、逆だ逆方向!(笑)

 空港は島の真ん中にあって、ロケット打ち上げ施設は南側にあるのだが、北の港に向かっていたのだ(^^; お約束のように道間違えるなぁ。もしかして、山崎、狙って間違ってる?(笑)
 曲がってリカバーしようと思ったのだが、曲がれるような道がない。仕方ないのでUターンして同じ道を戻ることに。うーん、屈辱的だ(^^;
 種子島は思っていたよりもかなり大きく、アップダウンもきつい。海沿いを走っていると「島」って感じなのだが、海が見えなくなるとその険しさと深い森のために「山奥」を走っているような錯覚に陥る。
 かなり走った頃、遠くにロケット打ち上げ施設が見えてきた。でかくて白いロケット組み立て棟は遠くからでもよく識別できる。青い海と深い緑の中にある打ち上げ場というのは、なんだかとても不思議な光景だ。有名な「ロケットの丘」に車を止めて打ち上げ場を見渡す。巨大な建造物がそびえる名勝。世界一美しい射場と言われているらしい。確かに美しい。だが、この感動はその美しさのためだけではない。

ここが宇宙に一番近い場所…

 不思議な気持ちになるのはこのためだろう。風景のよい場所で飽きずに眺めているときは心は落ち着いている感じだ。しかし、ここは眺めていると気持ちが高ぶってくる。ただ、H-IIA F6と書かれた看板が今もそのまま残っている。前回、個体ロケットブースターの片方が切り離されずに打ち上げ失敗したH-IIA 6号機の時に掲げられた看板。ここはあれ以来時が止まってしまっている。だが、近い将来また再びここから宇宙を目指してロケットが力強くあがっていくだろう。そうでなければならない。
 いつまでも眺めていたかったが、二人はもう飽きたようだ。再びこの地に来ることを誓って去ることにした。
 宇宙センターはそこからさらに南下したところ。N-1ロケットの実物大モデルが入り口にそびえている。N-1ロケットはアメリカの技術導入で作られたロケットで、大型ロケットの元祖とも言える機体だ。全長は30m程度なのでH-IIAの50mの60%しかないのだが、真下から見上げるとかなり迫力がある。全重量90tのこのロケットでも200km上空の宇宙に持って行けるのは自重の1%にも満たない0.8tである。宇宙ってのは近くて遠いところだ。
 とりあえず腹ごしらえってことで、見学前に宇宙科学技術館の軽食へ。と、ここで種子島宇宙センターの施設見学をやっていることを知る。平日のみだが1日2回。しかも無料だ。さらに見学コースの中に「大型ロケット発射場」というのがある。もしかして射場のところまで連れってもらえるのか!? 幸いにも今日は平日! こりゃいくしかないでしょう! 善は急げってんで早速受付のおねーちゃんに申し出る。午後の部は1400〜なので、その前に食事と見学を終えておこう。筆者らは博物館なんかを見学するとえらい時間がかかるのだが、それほど広くなさそうだし、さすがに2時間もあれば見学できるだろう。

はい、見学終わりませんでした(^^;

 いやー、内容が濃い濃い。LE5とかLE7とか(ロケットのエンジンね)が上からも下からも見えるように展示してあるわ、ビデオはたくさんあるわ。全部のビデオを「ぽちっとな!」するなといわれればその通りなのだが、とにかく1/4程度を残して時間になってしまった。まじめに見たら半日かかるな…。これだけの展示がタダなのがすごい。…まあ、税金でやってることなのに、さらに入館料を取られても困るんだけどね(^^; でも払ってもいいなぁ。
 受付のところに集まってみると見学ツアーの客は筆者ら以外には女の子(?)4人組と野郎2人組の合計3組9人。案内してくれるのはペンを貸してくれた受付の「絵美ちゃん」ではなく、広報課かなにかのおねーさんだった。おねーさんのかっこいいNASDAヘルメットと較べると格段に落ちる安っぽいヘルメットを渡されてバスに乗車。道すがらNASDAあらためJAXAについての説明。H-IIAなどの大型ロケットは宇宙開発機構(NASDA)が行っていたのだが、去年、3つあった宇宙機関がひとつに統合されて宇宙航空研究開発機構(JAXA)が誕生した。詳しい話はJAXAのホームページの沿革あたりを見てもらうとして、ここは元NASDAの施設であり、今でもまだまだNASDAのロゴを見ることができる。ヘルメットやパンフレットもまだNASDAのままである。
 昔N-IやN-IIロケットを打ち上げた、今はもう錆び錆びの中型ロケット打ち上げ場を左に見ながら、いよいよ大型ロケット発射場に入っていく。もう感激!いいからここで降ろして歩かせてくれ〜! 近くで見ると巨大すぎるロケット組み立て棟の脇を抜けて、実際に組み立て棟から射点までロケットが移動する広い道を通って第一射点の真下へ到着。
 打ち上げ時に噴煙を海側に逃がすための穴のところまで近づける。見上げる射点。ここからロケットが飛び立つのか…。ここで打ち上げ見てたら絶対死ぬな…。

でも死んでもいいから見たいな…

 本気でそう思った。実際にはカウント2ぐらいでメインエンジンに点火された瞬間に吹き飛ばされて、カウント0の打ち上げを見ることもなく死んじゃうんだろうけど(^^;
 感動に浸り、涙さえこみ上げてこようかというのに、案内のおねーさんはしつこくクイズを出してきたりして興ざめる(^^;
 そんな時、女の子(?)の一人が質問した。「ロケットの次の打ち上げ予定はいつですか?」

かはっ!聞いてはならんことを!(笑)

 知らないことは罪だよなぁ。前述のようにH-IIAが打ち上げ失敗したもんでその原因解明と問題解決するまでロケットの打ち上げは無期限で凍結されている。関係者にはかなり痛い質問だ。「今のところ予定はありません」と無難な回答をするおねーさんは明らかに苦笑していた(^^;
 ロケット組み立て棟とか、それと射点の間で点検作業中の移動式打ち上げ台とか、他にもいろいろ見せてくれるかなぁとかなり淡い期待を抱いていたのだが、もちろん予定された時間の中ではそんなことしてる時間はなさそうだ。やっぱりというかなんというか、いつまでも見上げていたい筆者をよそに撤収。むぅ、筆者だけ置いていってくれてもいいのだがぉ
 ちなみに、筆者らが見学した第一射点はJAXAのホームページで24時間ライブ中継されている。(http://space.jaxa.jp/webcam/index_j.shtml)←無許可直リンクぉ
 残念ながら射場から出て、今度は管理棟へ。
 ここではH-II 7号機の実物が保管されている。ロケットの○号機っていうのは作られた順番で、打ち上げの順番とは必ずしも一致しない。7号機は乗っける衛星の都合で打ち上げが延期され、先に8号機が上げられた。この8号機がメインエンジンの故障により失敗したのだ。この結果を受けて同型である7号機の打ち上げは無期限延期されることになった。で、実物がここにあるというわけだ。全長50mにもなるロケットは1段目と2段目に別れて建物の中に窮屈そうに横たわっていた。見上げると結構大きいが、直径は4mしかないので、実際は随分と細長い。エンジンはついておらず、固体ロケットブースターもついていないので、ここにある部分のはほとんどは液体酸素、液体窒素の燃料タンクである。パイプとかがむき出しになっていて、本当にこんなんで宇宙まで飛んでいくのか感心するやら呆れるやら。
 ちなみにこの7号機につくはずだったメインエンジンLE-7は8号機に取り付けられて海の藻屑となった…。藻くずになった後に奇跡的に海中から回収されたのだが、もう使い物にはならない。エンジンもなく、射点もH-IIA用に改修されてしまっているので、この7号機、いかに本物であろうとももう打ちあがるチャンスはない。かといってどこかの博物館に移動させようとしてもその巨体のために移動に制限がかかるし、費用もかかる。というわけで、たまーに見に来る筆者らのような観光客に見せるぐらいで、ただ管理費を無駄食いしてるだけなのだ。もうどうせ飛ばないんだから輪切りにして運んで、輪切りのまま博物館で展示した方がいくらか建設的だろう。
 一番奥にはH-IIAロケットの試験に使った第1段がおいてある。こちらももう用済みとのこと。これも捨てるに捨てられなくてここに置いてあるだけだなぁ。幸い土地だけはいっぱいあるから、下手に処分するよりもこうして置いておいた方が安いのだろう。中型ロケット打ち上げ場もさび付いて倒壊のおそれがあるまま放置されてるし…(^^; このロケット、軍事的に問題がなかったら、金積めば喜んで渡してくれそうだな…。
 ああ、どうせ飛ばないんだからさわっとけばよかったなぁ。さわるなって書いてあったけど…。
 管理棟の次は司令棟。ロケット打ち上げ前のスケジュール管理やら、打ち上げてからペイロードを放り出すまでの管制を行うところだ。カウントダウンしてるときとか、打ち上げ成功時に拍手やら握手やらしてる映像はここのものだ。部屋の広さは大したものではなく、イスとモニターが20個ぐらいある程度だ。案内されたのは実際に部屋の中ではなく、その部屋をガラス越しに見下ろせるプレス用のスペース。部屋の中の機器はとてもハイテクとは言えないものばかりで、JRとか警視庁の司令センターのほうがよっぽど近未来的だ。実際ロケットはプログラムに従って勝手に飛んでいくだけで、ここからいちいち操縦するわけじゃないので、こんなもんでいいのだろう。ここから手を出す時があるとすればそれは「自爆」させる時ぐらいだ…。
 見学はこれでおしまいで、スタートした科学技術館に送られる。最初にメインディッシュの射点を見てしまったので、後はもう印象が薄い(笑)
 再び軽食で一休みしてから竹崎展望台に行ってみる。ここは打ち上げ当日プレスが詰める建物で、崖の中に半分めり込んでいるような秘密基地っぽいところだ。この屋上がスタンドになっていてニュースなんかで流れるロケット打ち上げシーンはここから撮影されたものだ。驚くべきことに平日は自由にスタンドに登ることができる。4kmの制限区域ギリギリにあるここは、ロケットの丘に較べるとかなり射点からは遠く、肉眼ではロケットは豆粒ほどにしか見えない。600mmの望遠でもやっと画面一杯にロケットがおさまるという感じだ。一般人はここには入れないので、もっと遠くからしか打ち上げを見ることはできない。ちゃんとした映像はプロに任せて、花火見学のような感じでロケットを見学するのが正しいのかもしれない。

 さて、一通りロケット関係の見学が終わったところで、筆者はもうお腹一杯胸一杯。リレーつばめも九州新幹線も乗ったし、ロケット関連も射点の真下に立ててしまったし

もう筆者の旅は終わった(笑)

 あとはよきに計らえ状態だ。いやー、ホントもう満足すぎ!種子島まで来た甲斐があったってもんだ。

 まだ日が沈むには時間があったので、種子島飛行場へ移動。空港ターミナル、っていうってもターミナルってほどの建物じゃないのだが、そっちは金網が邪魔で脚立がないと撮影しづらい。そこで、いい撮影ポイントがないか探してみる。すると小道からターミナルの向かい側へ入れるではないか。しかも金網は胸の高さしかなく、絶好の撮影ポイントである。
 ここでJACのSAABとYS-11を夕方まで撮影する。SAABはまだ乗ったことないなぁ。

 今夜の宿はなんとリゾートホテルである。九州では有名なグループらしい「いわさきホテル」のコテージをとった。かなり身分不相応なホテルなのだが、コテージなら隔離されてるから気楽だろうという考えだ。しかし、車でロビー脇につけると係員がドアのところまで迎えに来てしまう。こういうことに慣れていない貧乏人なので必要以上に恐縮しつつ受付をすます。だからー、荷物は自分で持ってくからいいってばよ〜…。

うー、高級ホテルは疲れる(^^;

 コテージのほうはキレイだが、貧乏人でも落ち着ける作りだった。ふぅ、よかったよかった。普通のベッドが2つと、ゲスト用のベッドがひとつで3人部屋になっていた。ベランダからは海が見えるが、本館の建物がちと邪魔(笑) それでも2階なので眺めはいい方だ。
 種子島では店も食堂もほとんど見かけなかった。今から探しに行くのも何なので、今日はホテルの食堂へ食べに行くことにした。
 こちらも場違いなところで、ウェイターがイスを引いてくれてしまうようなところだ。そんなところなのにいつものようにビールとつまみを頼み続け、長居する(笑) しまいには店員もそれを心得たらしく、グラスを空けるとおかわりを聞きに来るようになった(^^; レストランなのであまり遅くまではやっていない。2100を前にして最後の客となってしまい、慌てて帰る。ホテルの土産物屋でその名も「ロケット」なる焼酎をボトルで購入し、氷をもらってコテージへ。ベランダで星空を眺めつつ焼酎をちびちびやる。
 充実しすぎた1日だったので、大して焼酎を消費するに至らず早めに就寝。

 ↑上
 ロケットの丘からの眺望。ロケット打ち上げ施設が一望できる。左の白い四角い建物がロケット組み立て棟で、中央に見えるのが第1射点、その左に第2射点。とてもよい眺めなのだが、残念ながらロケット打ち上げ時には近すぎて立ち入り禁止区域になる。
(種子島にて 2004.04.30)

 →右
 竹崎展望台から射点を望む。ロケット組み立て棟を目印に左の写真と較べてみよう。ここは打ち上げ当日、報道陣が撮影をする場所で、TVの映像などはここから撮影したものである。普段は誰でも入れてしまうところが嬉しい(笑)
(種子島にて 2004.04.30) 

5/1(土) 種子島

 今日も彗星が見えるかと早起きしてみたが、雲が多くて全然ダメだった。朝風呂のあと一人でホテルの前の砂浜に散歩に出かける。阿瀬見は朝風呂に入っていたが山崎は寝ていた。早起きは三文の得だと思うのだが、世の中には「寝ていられることの方が幸せ」という考え方の方が主流らしい。
 ホテルの真ん前、本当に10mも行かないところはもう砂浜になっている。これがいわゆるぷらいべーとびーちってやつなのだろうか。おお、こりゃあすぐ泳げてよいなぁ、と思ったら

流れが急なため遊泳禁止

 ダメじゃん、リゾートホテル(^^; プールがあるからそっちで泳げということですな。
 朝焼けの空を見上げながら浜を端から端まで散歩する。露出してる地層はほとんどがもろい砂礫岩で手で触るだけでざらざらと削れてしまう。比較的はっきりと層が見分けられ、それが15度ぐらいに傾いていて、なかなか趣がある。思わずよじ登ってみたりして遊ぶ。
 朝ご飯の時間になったのでコテージに戻り、山崎をたたき起こして昨日の食堂へ。朝食はバイキング形式。こういうほうが緊張しなくてよいよい。自分の好きなものを食べたい量だけ取ってこれるのでバイキングは結構好きだ。筆者はあまり量を食べられないので一口分をいろいろ集める。デザートは別腹なのでフルーツとヨーグルトをむやみに取る(笑)

 今夜もここに泊まるので荷物はそのままで出発。が、あまりに散らかしたままだと恥ずかしいというので、一応バッグの中におさめ直すことになる。うーん、散らかしたまま行くつもりだったのに…。さっきもお土産に買った「800系新幹線&リレーつばめ」のデジQというオモチャを机の上に広げて遊んでたところだし(笑) いやー、このオモチャ、オモチャと侮るべからず。デフォルメこそされているものの、細部の形状やロゴや文字などがきちんと再現されていてかなり出来がいい。素人がぱっと見ただけでは気づかないかもしれないが、中間車両もちゃんと形式の違う車両になっているのだ!
 ああ〜、いま片づけるから待ってくれ〜(笑)
 筆者が片づけ終わる頃には二人はすっかり片づけ終わっており、筆者の三脚まで持って行かれていた(^^;

 最初に向かうのは空港。今日も「とりあえず空港」らしい…。そうか、朝一番の飛行機に間に合うように出発を急いでいたのね。
 筆者はそこまでして飛行機を見たくなかったのだが、二人は見たいようなので、まあいいか。筆者的には昨日で旅の目的は達成してるわけだし。
 それほど見たいわけではないと言いつつ、行ったら行ったで存分に楽しむことができるのが筆者の自慢である。例によってアホみたいに飛行機の写真を撮りまくる。昨日見つけた撮影ポイントで撮影したのだが、ここはなかなかいいポジションだ。

車によじ登らなくても撮影できるし!

 天気は今ひとつ快晴というわけではなかったが、ここで1100まで撮影。
 メシを食べられるところを探しつつ、明日乗るジェットフォイル「トッピー」の予約をするために北の方にある西之表を目指す。昨日間違った道を今日再び通って西之表へ。種子島は、宇宙センターのある南種子町、空港のある中種子町、そして港のある西之表市の1市2町からなっている。島としては結構大きい方だ。一応市なので西之表が一番栄えているはずなのだが、港に行っても食堂がない。あっても準備中だったり車を停めるところがなかったり…。
 とりあえずトッピーにちゃんと空席があったので切符を買い、これでようやく明日ちゃんと帰れる見込みがたった。
 が、もうメシ屋を探すのが嫌になってしまったのと、お腹が減っているのとで阿瀬見の機嫌が悪い。もう「昼飯はいい!」と逆ギレしつつ昼飯を諦めて鉄砲館こと種子島開発総合センターに行ってみる。何が開発なのかよくわからないが、要するに種子島の郷土資料館である。鉄砲を中心に、種子島の歴史と文化についての展示がされている。鉄砲伝来とかトビウオ漁とかの動く模型の芝居がなかなかよくできていておもしろい。昨日の科学技術センターでもこういった機械仕掛け物の出来がよかったのだが、九州って土地はもしかして技術屋の素質のあるところなんだろうか。JR九州とかもどっちかってーと技術屋だし…。例によってすべての展示を「ぽちっとな!」して各個撃破して進む(笑)
 そんな中に種子島を紹介するあるビデオがあった。種子島は漁師の島で、あちこちにたくさんの、そして様々な規模の『浦』が存在する。浦とは漁港みたいな物で漁船の基地になっているのだが、「大きな浦」から「小さな浦」までいろいろある。この映像に出た「小さな浦」というのかボートに毛が生えたような漁船が1隻だけの本当に小さな浦だった。

「小さっ!」
思わず全員同時にツッコミを入れた(笑)

 そんなに大きな施設じゃないのに2時間もかけて見学終了。鉄砲が作られるようになった刀鍛冶については知っていたが、トビウオ漁がこれほどこの島の文化に深く関わっているとは知らなかった。トビウオはこちらでは「トッピー」と呼ばれている。水の上に浮かび上がって航行する水中翼船の名前は「トッピー」というのだが、まさにうってつけの名前である。
 しかし、運動不足なのか立ちっぱなしだと腰が痛い…(^^; 知的好奇心に身体がついて来れてないなぁ…。
 この後、特に行きたいところがなかったので、島の最北端を目指してドライブすることにする。途中メシを食べられるところがあったら飛び込もうという行き当たりばったりだ。

 結局メシを食べられないまま北の端にある喜志鹿崎灯台に到着。一応入り口に看板は立っていたが、なんか手入れのされていないちっさい灯台…。

こんなところ来る観光客なんていねーーー!

 と叫んだそばから家族連れの観光客登場。その前に灯台の管理人らしき人も来たり。…意外と来訪者は多いのね(^^;
 とはいえ何もないことに変わりはなく、10分もしないうちに観光終了。種子島一周を果たすため、というか、細長い島なので最北端まで来てしまったら一周しないと戻れないというか、というわけで、ここから先がロングドライブだった。メシが食べられるようなところもなし…。延々とうっそうとした森の中を厳しいアップダウンの道が続く。時たま海岸が見えるのだが、ほとんどは森の中だった。ロングドライブ。いやー、種子島って予想以上に、いや、かなりでかいな。続くロングドライブロングドライブ…

ごめん、寝てた(^^;

 筆者は車に乗るとき大抵後部座席に乗って寝ている。いや、起きていようと努力はしているのだが、どこでも寝られる特技が災いしてどうしても寝てしまうのだ。いつもなら特に気にもしないのだが、今日はメシを食べていないせいもあって阿瀬見の機嫌が悪い。当然ドライバーの山崎もロングドライブにうんざりして機嫌が悪い…(^^; なんか重苦しい雰囲気だ。もともとはと言えばなんの計画も立てず、「種子島一周しようぜ〜」と言い出したのは筆者なのでばつが悪い。
 しかし、そんな筆者の心中をあざ笑うかのように何もない種子島(笑) あ、いや、当時は笑ってられない雰囲気だったが(^^;
 途中、真っ赤に錆びた貨物船らしき難破船が浜に打ち上げられており、「よし、探検しようぜ!」と思ったのだが、阿瀬見の機嫌最悪(笑) セリフさえも言い出すことができなかった(笑)
 そんな状況でも寝ちゃったりなんかしてぉ
 ようやく馬立の岩屋に行くことになる。何とか道だと言える細くて急なところを延々と下りていく。対向車が来よう物ならその場で立ち往生してしまうほどの道である。「まあこんなところに他の人絶対来ないよなぁ」などと思っていたのだが、下りてみると結構車がいた。…他に観光地ないんだなぁと改めて感じさせてくれる(^^;
 馬立の岩屋は大きな浸食洞窟で、砂礫岩の天井はじっと立っているとパラパラ砂が落ちてくるのがわかるほどもろい。立ち入り禁止とも注意とも書いてないので奥まで入れてしまうのだが、今この瞬間にも「どちゃっ!」と崩れてきても不思議ではない。ちょっとスリリング(笑)
 隣はきれいな砂浜で、雰囲気がなんとなく高知の桂浜に似ていると思った。
 ここで山崎からドライバーを交代してもらう。ロングドライブの山崎がかわいそうなのと、後ろで寝てると申し訳ないからだ。なら寝るなという話もあるのだが、どうやっても寝てしまうのだからしょうがない(^^;

 ここから少し行くと増田宇宙通信所の大きなパラボラが見えてくる。あまり近づくとカメラに収まらないので車を寄せて遠くから一枚撮影。さらに近づいて門まで行ってみると

本日休館

 とは書いてなかったが、平日しか見学できないらしい。昨日なら見学出来たのかぁ。宇宙センターの見学の後こっちを見学しに来るのが正解だったか…。いや、でも見学会があってもそんな時間にはやってないだろうな。そういえば一緒に見学した他のチームは午前中にこちらの見学会に来たような口ぶりだったなぁ。まあ、こっちは今度来たときのお楽しみということか。

 空港の近くにおそらく種子島で最大と思われるスーパー、コーポがあるので、そこへ買い出しに行く。今日の晩飯および酒を調達する。田舎に来るとその値段の安さにびびる。寿司の詰め合わせがたったの880円とかで売ってるのだ。あまりこういうのは買わないのでよくわからないが東京なら1500円はしそうだ。
 買い物してると店内放送で「ながらめ初物入荷」のアナウンスが入る。ながらめというのはこの地方にいるトコブシの仲間の貝で、アワビみたいな感じだ、と昨日ホテルの兄ちゃんに説明された。確かにアワビっぽい食感で、アワビよりもちょっと柔らかい感じだった。ただ、昼間行った資料館によるとアワビとトコブシは種類が違って、ながらめもトコブシの仲間なのでアワビとは違う種類だということだ。
 このながらめの解禁日が本日5/1なのである。一体どんな貝なのかと鮮魚コーナーへ見に行ってみると、陸揚げされたばかりのながらめが「うにょうにょ」と元気よくうごめいていた。確かに貝殻はアワビに似ているが、中身はナメクジっぽい。こりゃ間違いなく種類違うよ。

ま、何にしても生きてるの買ってもなぁ

 食べ方も知らないし調理器具もないし、そのまえに調理するの面倒だし(^^; 観察するだけにしておく(笑)
 他にもパック詰めにされた魚のクチから別な小魚が飛び出してるのを売っていたりして、おおらかさ全開だった。ちなみに駐車場に停めてある車の窓も全開だったりして、あまりのおおらかさにカギをしてる自分たちが心の汚い人間に思えてくる(^^;

 食料を調達して「早く帰って食おう」とがっつく阿瀬見をなだめ、「千座の岩屋」へ寄り道する。さきほどの馬立の岩屋は今ひとつだったが、こちらは結構有名なところなので一応見に行ってみた。あっちは砂利の駐車場だったが、こちらはさすがにアスファルト。おお、希望が持てます(笑)
 細かい砂の海水浴場を横目に千座の岩屋へ。岩屋なので洞窟みたいになっているのだが、これが中でいろいろ交わっており、ちょっとした迷路というか秘密基地のようになっていた。しかもこの洞窟は満潮だと海の中に沈んでしまうようだ。今は丁度干潮で、中まで入ることができた。観光地なのに説明文もなければもちろん照明もない。洞窟の中は真っ暗で、

Kiss Dの予備発光を頼りに奥へ進む

 いいぞ、Kiss D(笑) まだ潮が引ききってないからか、いつもこんなもんなのかはわからないが、打ち寄せる波が結構入ってくる。波のタイミングを見計らって最深部まで制覇する。やっぱり洞窟探検ってのは男のロマンだ! それにしても丁度干潮のタイミングで来られてラッキーだった。これが満潮だったら洞窟は海の底である。にも関わらず立ち入り禁止とも注意とも書いてないところがすごい…。まあ一瞬で水没するようなもんじゃないから、潮が満ちてきたら逃げりゃいいんだけど。

 そんなわけで阿瀬見の不機嫌ドライブもようやく終了(笑)
 コテージに戻ってヱビスで乾杯!
 あ、そうそう、明日の屋久島-鹿児島の航空券は筆者のカードが限度額で使えなかったので阿瀬見のカードで払ってもらった。まさに

「阿瀬見、金を出せ!」状態(笑)

 

 ←左
 早朝、ホテルのプライベートビーチ(?)を散策しているときに見つけた飛行機雲。まっすぐに上に昇っていったように見えるそれは、まるでロケット雲のようだった。
(種子島にて 2004.05.01)

 ↑上
 今日も元気に鹿児島と種子島を結ぶJACのYS-11。そして今日も元気に飛行機を撮影する筆者ら(^^;
(種子島にて 2004.05.01)


 ロケットや衛星の追跡を行う増田宇宙通信所。田舎の風景の中に不自然に大きなパラボラが立っている。平日なら見学できたのに…(T_T)
(種子島にて 2004.05.01)

 数少ない観光名所のひとつ「千座(ちくら)の岩屋」。潮が引くと現れる洞窟は中でつながっていたりつながってなかったり。それなりに危険な気もする場所だが、札もロープもなく放置されている。自己責任でぉ
(種子島にて 2004.05.01)

5/2(日) 〜西之表港〜案房港〜屋久島空港〜鹿児島空港〜羽田空港〜八王子

 今日の天気はいまひとつ。2日目にロケットの射点を見て筆者のやる気が失せてしまったからか、晴れ男パワーは発揮されなかった。
 昨日の晩飯の残りで朝ご飯を取り、ホテルをチェックアウト。コテージはなかなか居心地が良かった。
 島の外周のうち、南の端はまだ制覇していなかったので、南の端にあるロケットの打ち上げ祈願もするという神社へ。ホテルの観光バスも来ていて、やっぱり種子島の観光スポットは非常に少ないのだと認識(^^; 崖の上から見る海はきれいではあったが、そんなに優れた観光資源でもないよなぁ…。
 そのまま南づたいに島の西側にでる。途中、例によって寝てしまい、起きると港に着いていた。おお、ここは島間港! 三菱重工の名古屋工場で作られたロケットが舟で運び込まれる港である。ロケットはここから島の東側にある射場まで陸路を輸送されるのである。射場は海に面しているのだから、そこに港を作って直接搬入すればいいように思えるのだが、いろいろと政治的な思惑が絡んでいるらしい。ロケットは第1段と第2段に別れて運ばれてくるとはいえ、それでもかなり長く、専用のトレーラーでの移動になる。物が長く、大切なものなのでカーブは緩く、アップダウンも少ない道路が必要になる。つまり、道路をとてもいい感じに整備する必要があるのだ。ロケットは毎日搬送されるわけではないので、普段は普通の車が行き交うことになる。つまり、労せずして立派な道路を手に入れることができるというわけである。
 いやー、政治ってのは大変だ。
 このロケットの搬送作業は平均時速4kmというスローペースで行われる。部外者が近くで見学できるかどうかはあやしいものだが、以前機会があってその様子をおさめたビデオを見たことがある。政治的思惑というやつは好きではないが、陸路を輸送というのは

カッコイイので許そう(笑)

 そんなわけで島間港は栄え具合の割には大きな岸壁があり、夜間作業のための照明なんかも充実していた。ま、この港もそういう政治的な思惑ってのが絡んでるんだろうけど…(^^;
 そして、ようやく

種子島一周完了!

思っていたよりもかなりでかい島で、もう二度と一周しようなんて考えは起こすまい(^^; ここ島間港からトッピーの出る西之表港までもかなりのロングドライブで、島だからといってなめてはいけないと何度も痛感…。最初はかなり余裕だと思っていたのだが、結局お土産を買うぐらいで昼飯を食べる時間はなかった。
 阿瀬見と山崎ははさみだか包丁だかの刃物を買っていた。

間違っても手荷物として機内に持ち込まないようにぉ

 トッピーは空港と並んで、いや、それ以上に主要な種子島の足として活躍している。鹿児島−種子島・屋久島航路には4隻のトッピーが就航しており、ほぼピストン輸送並の運行をしている。基本的には鹿児島とそれぞれの島とを結ぶのだが、そのうちの何便かは種子島・屋久島両島に立ち寄る。
 筆者達は種子島で途中乗船するような形で、鹿児島発種子島経由屋久島行きのトッピーに乗り込む。
 筆者らが乗ったのは赤がカッコイイトッピー初号機。
 乗り込んでみると船室は一面座席になっており、船というよりは飛行機のような雰囲気だった。上記のように途中乗船の形なので、すでに大半の席には乗客が座っている。屋久島への観光客は多いが、筆者らのように種子島から屋久島へ渡るような観光客は皆無だろう(^^;
 水中翼船ということで、座席にはシートベルトがあり、船室前方には飛行機と同じシートベルトサインがあったりする。浮上航行中はシートベルトを着用し、むやみにうろついてはいけないようだ。港内は通常航行していたが、出て少しスピードをあげるとあっさりと浮上航行に移行する。特にアナウンスがあるわけでもなく、Gがかかるようなこともないので知らなければ水から浮き上がって走っているなどとは思いも寄らないかもしれない。唯一浮上航行中のランプが船が浮上航行していることを気づかせてくれる。
 筆者の予定では、甲板で潮風を受けながら種子島に別れを告げるはずだったのだが、甲板には出られず、それどころかシートベルトでシートに縛り付けられたままだった。種子島との別れの余韻を味わうならばトッピーは不向きだ。トッピーは別れを惜しむ必要がないからだ。

なぜならとっぴーは毎年島にやって来るからだ(^^;

 ロケット打ち上げがあるなら毎年来ない事もないのだが…。
 トッピーの中では屋久島観光客への注意をうながすためにビデオが流れていた。島とは言っても2000m級の山がそびえる屋久島は、夏山登山するようなものなのでハイキング気分で行くと大変なことになるぞ、という内容。ちょっと内容がオーバーではあった。

さすがにテントは持ってかないだろ…

 まあ、観光客が屋久島をなめすぎなのも確か。現にこのGWに屋久島で遭難者でてたりする(^^; いつか本格的に屋久島に来るときにはきちんと登山スタイルで来ようと誓った。

 シートベルトにくくりつけられる船旅もわずか30分ほどで終了。屋久島は安房港に到着。
 どんよりとした空の下、屋久島の山々は黒い雲の中に頭を隠していた。いやー、あの雲の中は天気荒れてそうだなぁ。これはとても登山なんてできる天気じゃない。うっそうとした森も、この天気では入ってみようという気がしない。時間もないし、こりゃぁ屋久島観光は別の機会にした方が良さそうだ。
 基本的には帰るだけなので、空港行きのバスを探す。

上陸した瞬間に飛行場に向かう変な一行(^^;

 来たときと同じ種子島空港から帰ったんじゃつまらないのと、空港制覇のために屋久島にわたったのだぉ ちょうど、空港を経由するバスがやって来たので、さくさく乗り込む。
 屋久島にはトッピーが立ち寄る港が2つあり、安房港は島の東側の港。もうひとつは北側の宮之浦港。空港は2つの港の真ん中あたりにある。バスは海沿いの道を進んでいく。地図で見てかなり平地は少なく、海からいきなり2000m級の山が突き出ているという印象だったのだが、本当に平らなのは道の両側2〜300なんじゃないだろうか。はっきりいって、島をぐるっと一周しているこの道路際以外には人は住んでいないんじゃないだろうか…。
 20分ぐらいで空港に到着。あわただしく空港へ向かう。そろそろ鹿児島からDHC-8-Q400がやって来る時間だ。屋久島のようなローカルすぎる空港の撮影ポイントについては、インターネットでもあまり情報がないようで、さらに歩きではそうそうポイントも探せない。空港の周りをちょっとさまよっただけで、結局は建物の脇のフェンス越しにQ400を撮影するハメに。残念だがどうしようもないと諦める。

が、山崎が行方不明に

 どうやら諦めきれずに撮影ポイントを探しに行ってしまったようだ。人様に迷惑のかかるようなことしていないだろうな、と心配しつつフェンスごしにいまいちな画を撮影(T_T) っていうか、Q400の接近に気づかず、いきなり着陸してタキシしてきた。なんという静寂性!

QuietのQはダテじゃない

 飛行機が到着しても山崎は現れない。うーん、ヤニでも吸ってるのか? 団体行動みだすなよなぁと阿瀬見と愚痴っていると、予想外の方向から山崎が登場(^^; やっぱり微妙に大人げないところから撮影していた模様。そう言えば種子島の時もトイレによじ登って撮影していたような…。よい子は真似しないように。
 今日も今日とて喰いそびれていた昼ご飯を空港内の食堂で食べることに。この食堂、エプロンに面していて、Q400が目の前に駐機している。

ここが一番の撮影ポイントじゃん(笑)

 窓際の席に陣取って撮影しまくる(笑)
 せっかく屋久島に来たので屋久島定食を注文する。屋久鹿の刺身とトッピーの唐揚げのダブル名物定食だ。このトッピーがまるでシンクロナイズドスイミングのように片ヒレを空にかざしていてカッコイイ! カリカリに揚げてあるのでこのヒレもおいしくいただける。イワシの骨の唐揚げのような小気味よい歯ごたえで、香ばしくておいしかった。ほんと、トッピーが食べられてよかったなぁ♪ よくよく考えると種子島ではあまりまともな食事にありつけなかった。これだけで屋久島に来た甲斐があったという物だ。
 例によってビールをあおりつつ、窓際に居座ってQ400を撮影していたのだが、いくら何でもここであと何時間も待っていられない。展望デッキでもあってガンガン飛行機が来るなら話は別だが…。
 この便は正規運賃で買っているので融通が利く。問い合わせてみると次の便に空席があるというので、帰りの便を繰り上げることにした。屋久島には全然いられなくなってしまうが、その分鹿児島で撮影することができる。

 次の便のやはりQ400に乗り込む。この機体はかなり車高(?)が低く、パタンと開いたドアの高さだけで十分に乗り降りができる。滑走路から乗降できる、というかそうするしかない小型機はいいなぁ。
 さすがに最新鋭の機体だけあって、YS-11とは較べ物にならないパワー。まるでジェット機のような加速をし、力強く空を駆け上がっていく。ふわふわと頼りないYS-11とは対照的だ。
 巡航速度も速いのであっという間に鹿児島空港に到着。
 便を繰り上げたのでまだまだ明るい。早速展望デッキに撮影に行く。ほんっとに最近空港というか展望デッキ巡り状態だなぁ(^^; 東京では見られないハーレクインや、初めて見たスカイマークのヤマト車検やらを撮影する。

 帰りの便はANA B767-300。もうすっかり乗り慣れた機体だ。
 うとうととしながら窓の外を見る。そこには闇しか見えない。
 宇宙の闇はもっと暗いのだろうか。それとも曇りもせず、絶えず見える星々が輝いてまぶしいのだろうか。いつかはこうして飛行機に乗るのと同じような感覚で宇宙にいける時代が来るだろう。宇宙に一番近いこの九州から飛び立つ宇宙機が『つばめ』という名を受け継ぐ日が…。


 鹿児島、屋久島、種子島の3島を結ぶジェットフォイル「トッピー」。トッピーとはこちらの言葉で「とびうお」のこと。船体が浮き上がる水中翼船にはまさにうってつけの名前だ。ただ、航行中はシートベルトサインがつきっぱなしになってうろちょろできない。もっとも、甲板がないわけなんだが…(^^;
(西之表港にて 2004.05.02)

 冗談で渡った屋久島と鹿児島を結ぶ便はこの最新鋭プロペラ機「DHC-8-Q400」。QはQuietのQとのことで、あまりに静かすぎて接近に気づかず撮影しにくい(^^;
(屋久島空港にて 2004.05.02)

2004.06.28記