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鋼鉄の愛馬と魔法の書が君を四大陸へいざなう。 知らない場所、初めての街、さまざまな出会いが軌道の先にある。 シャレてる暇はない。さあ、出発の時間だ! |
第0021号 2003.04.27-29 |
急行くまがわ キハ58+65+65。急行列車として通常運行をしている路線はもう数えるほどしかない。国鉄色ではないのが残念だが、JR九州お得意の単色塗り+ロゴも似合っている。窓も開くし、思う存分列車の旅を満喫できる! (球泉洞駅にて 2003.05.28) |
キハ31いさぶろう。中央の3つのボックス席が座敷に改造されている。観光列車になっており、ポイントポイントで停車して観光案内が流れるので、「てつ」でなくとも楽しめ、「てつ」なら一粒で二度おいしい列車である♪ (大畑駅にて 2003.05.28) |
4/27(日) 菊名〜羽田空港〜熊本空港〜肥後大津〜水前寺〜宮地〜阿蘇〜熊本
去年からJR東日本がGW中に使えるフリー切符を発売しなくなってしまったため、GWにどこにどうやって旅に出ようか思案していたところ、航空機のバースデー割引というのがあるのを知った。誕生日の前後3日間の計7日間、日本全国航空機のチケットが1万円で買えるというものだ。筆者の誕生日は5/4。前後3日間のどこをとってもGWだ。ちょうど繁忙期で航空料金が高いこの時期に、片道1万円というのはとても魅力的だ。この日に産まれてよかった!
我ながら自分の運の良さにはあきれるね(^^; GWは気候もよく、旅をするにはうってつけだ。まさに旅をするために産まれてきた男といっても過言ではないだろうぉ
てなわけで、気づいた日はすでに2ヶ月前を切っていたため、チケットを早急に予約する必要があった。バースデー割引は誕生日の人と同行者3人が可能であるため、念のためいつもの連中に声をかけたところ、すぐにその同行者3人がうまってしまった。
今年のGWは真ん中に平日が多く挟まっており、長期休暇にしづらい配置だ。しかし、筆者は勤めている学校そのものがGW中は閉鎖になってしまうため、強制的にすべて休みになっている。こんなにGWが休みなのは学生の時以来ではないだろうか。対してサラリーマン連中は当然のことながらカレンダーで赤い日ですら休めるかどうか微妙な状態なので、さすがに7日間という日程は却下だろう。筆者一人なら、それこそ全部旅しててもいいのだが、筆者のバカな旅に喜んでついてくる輩は貴重なので大事にしなければならない(笑) 本当は3泊4日にしたいところを、大まけにまけて2泊3日で手を打った。
2泊3日となると九州全部を回ることは不可能なので、かなり地域限定で計画を立てなくてはならない。
というわけで筆者にしては珍しくきちんと旅程を立てた。あまり詳細な計画を立ててしまうと、予定通りに事が運んでしまってつまらないことがあるのだが、今回は調べたらワクワクしてきた。
飛行機の予約が2ヶ月前からなのに対して、列車関係は1ヶ月前から。今回は旅に出ることをずいぶん前に決定していたので、珍しく列車の切符を発売当日に買いに行くことができた。3日分あるので、それぞれの1ヶ月前、つまりは毎朝緑の窓口に通わないといけなくなったわけだが、ばっちり指定席を取ることができた。早めに計画を立てるのも悪くない。
そして当日。
羽田空港へはいつものように新横浜0520のリムジンバスを使う。車は時間的に信用できなくて好きではないのだが、早朝のリムジンバスに限っては渋滞していることも稀だろうということで利用している。乗り継ぎなしで空港まで行けるので重宝している。今回のメンツ、阿瀬見、山崎、ニロと空港で合流。なんか毎月羽田空港に来ている気がする…(^^;
恒例となった金属探知器鳴らし、フィルムチェックを終えて搭乗口へ。先月と先々月の乗り放題はANAだったが、今回のバースデー割引はJALのを使った。羽田空港0655-0835熊本空港の機材はMD90。JASの機体だが、JASはJALグループにくっついたので利用できる。九州に行くと言ったらニロが行きたい空港と乗りたい機材を言ってきたので、できるだけ要望に応えた。行きたいところを尋ねたところ「地上はどうでもいい」とのこと(^^;
この九州たびてつ、ニロにとっては「飛行機2便2万円で乗れてお得ツアー」のようだ…。実は地上で使う、九州の列車が軒並み乗り放題のその名も「九州豪遊切符」が3万するのはどう考えているのか(笑)
MD90はエンジンが後ろについてて、スマートな印象があるので筆者は結構好きな機体だ。さすがに戦闘機を作っているマクダネル・ダグラス社製だけあって、離陸時のGはボーイングなんかよりもきつかった。…気のせいかもしれないけどぉ
九州方面に向かう路線は最近よく乗っているので、富士山が見えてくるタイミングがわかる。シートベルトサインが消えたころ、窓の外にそれが見えてきた。もう機内アナウンスなくても富士山見つけられる(笑)
揺れるとか墜落するとかのイベントは何もなく、熊本空港に到着。畑の真ん中にでーんとある飛行場は、熊本空港でありながら熊本市内からかなり遠い。名前を阿蘇空港に変えた方がいいんじゃないだろうか。
例によって展望デッキで航空機を撮影してから、タクシーで肥後大津駅へと向かう。肥後大津駅は熊本空港最寄りの駅で、バスの時刻がいまいち航空機とリンクしていないので使いにくいが、距離が数kmしかないのでタクシーの方が速くて安い。タクシーの運ちゃんはばりばりの熊本弁で、なんか九州に来たという実感がわいてきた♪ 飛行機だと一瞬で着いてしまうので遠くに来た気がしないのだが、これでもう旅気分にシフトチェンジだ!おまえはいつも時刻表めくってて旅気分じゃないか!
というツッコミはナシで(^^;
タクシーの運ちゃんの話では、航空機の発着に合わせて空港と市内などを往復するだけで仕事は終わりだそうな。熊本空港の発着便はそう多くないので、実働時間はかなり少ない。1便につき1往復しかしないので、スピードを出すこともなくのんびりと肥後大津駅へ。「急いでもかわりゃ〜しない」との運ちゃんの言葉に残業の多い阿瀬見が愚痴モード(笑)
いや、気持ちはわかるけど、仕事のことは忘れようよ(^^;
肥後大津駅は小さな駅で、最寄りとはいえ空港からこの駅に来る人間は皆無だろう。列車までしばらく時間があったので、各自のんびりと暇をつぶす。都会では味わえない静かさがいい。
815系電車で熊本方面へと出発。この815系電車というのはステンレス製の銀色のボディでフロントとドアが真っ赤に塗装されていて、デザイン的に目立つ。以前来たときにちょうど導入された車両だが、随分と配置が進んでいる模様。外側も派手だが、内側はそれ以上に派手で、なんと黄色に塗られている。山手線の内側を黄色く塗った日には、ストレス溜め込んでるサラリーマンが発狂すること間違いなしだ(^^;
この列車に乗ったのは熊本に行くためではない。熊本からやってくるSLあそBOYを水前寺駅で迎撃するためだ。あのまま肥後大津駅で待っていてもSLは来るのだが、どうせなら少しでも長く乗っていたいのが人情というもの。熊本駅までは行けないが、できるだけ熊本の方まで迎撃に行くというわけだ。
SLあそBOYはウェスタン風な列車で車掌さんがカーボーイ!
当然売り子さんはカーガールである。売ってるビールはバドワイザーと来る。流れ的に予想したかもしれないが、ここで早速乾杯(笑) SLに揺られながらビンビールいただく。こんな時間からビールを飲んでる客は他には見あたらない(^^;
〜このへん停車とファンサービスについて〜
さてここでいよいよSLあそBOYの最大の見せ場、スイッチバックである。スイッチバックというのは勾配のきつい斜面を、車両の進行方向を変えながらジグザグに登っていくことである。普通は運転手が反対側の運転席へ移動して列車の向きを変えるのだが、ここでは運転手はそのままでバックをする。それはSLとて例外ではない。貨車を前にして、後ろ向きのSLが押し上げていくように登っていく! 貨車が視界を遮るため、運転手が身を乗り出して後ろを確認する。暴走族だってそんなに身を乗り出さない。非電化で電柱がないからできる芸当である。
貨車の一番後ろ、スイッチバック中はこちらが先頭になるわけだが、ここは展望デッキになっておりこのイベント中は人でごった返す。筆者らは逆にバックするSLが見たかったので一番SLよりの展望デッキに出て見学した。
スイッチバックで勾配を登り切ると急に平らなところに出る。ここからは阿蘇高原で阿蘇山のカルデラである。今登ってきた急勾配は実は阿蘇の外輪山なのである。あたりは田んぼになり、山の上とは思えないほどの広がりを見せる。平らなのをいいことに、SLはシュシュポポと軽快なリズムを奏でながらスピードを増していく。
乗客の多くは阿蘇山への玄関口である阿蘇駅で降りるのだが、筆者らはそのままSLの終点宮地まで乗っていく。SLは列車と違って逆向きに走るようにできていないので、終着駅で先頭車両の向きを変えて付け替える作業が必要になる。宮地駅には列車の向きを変える転車台があり、だからSLの終点は阿蘇ではなく宮地なのである。
宮地駅で貨車を切り離したSLが転車台に乗る。残念ながらここで列車の発車時間となってしまった。筆者らは阿蘇山観光のために普通列車で今SLで通ってきた阿蘇駅へ戻らなければならない。泣く泣く列車に乗り込み、宮地駅を出発した普通列車の窓から転車台のSLを見おさめた。
この普通列車はキハ147とキハ31のタイプの異なる車両が連結されていた。キハ31はステンレス製の銀色の車両で、普段は1両でワンマン運転をしている車両だ。ちなみにこいつはキハ31の1番機だった☆ 一方キハ147のほうは白にブルーのラインのいわゆる九州色で、貨車から汽車に改造されたグループである。最新型のキハ200も力強くて好きだが、やっぱりこういうレトロな車両が落ち着くので、ひとりほくそ笑みながら車窓を眺める。他の面々ははしゃいで眠くなったのだろう、それはそれで幸せそうに列車に揺られていた。
阿蘇駅でバスの待ち時間に昼飯を食べることにする。駅の隣にあったぼろい食堂に入るが、どうも寂れている感じだ。かといって他に店がないので仕方ない。やばそうだなぁと思っていたのだが、やっぱりいつまで経っても注文したものが出てこない。バスの時間まであと8分というところでようやくチャンポンチャンポン登場!
ずいぶん待たされてからようやく出てきたチャンポンはリンガーハットと同じ味がした…(^^; この店がチェーン店程度の味なのか、それともリンガーハットが本場の味なのか…。
急いで食べたのだが、やっぱりバスには間に合わなかった。まあ途中から4人いるしタクシーでもいいやと諦めていたせいもあるのだが。一応タクシーを捕まえる前に本当にバスが行っちゃったのか確認しようということで、すぐ隣のバスターミナルへ行ってみるとガス規制により火口へは入れません
との貼り紙が…。どうやら火山性ガスの濃度がある値を越えると立ち入り禁止になってしまうらしい。その手前の草千里や博物館までは行けるようだが、本物の火口を見ずに博物館に行っても意味がない。ああいうのは実物のすごさを肌で感じた後に勉強するほうが教育効果が高い。
急遽阿蘇山は諦めて、熊本城を見に行くことにする。きっちり予定を立ててきていても、なかなかその通りには行かないものだ。やはり自然は偉大だ(笑)
食事の前にバスの切符を購入済みだったのだが、係の人は嫌な顔ひとつせずに払い戻してくれた。バスが火口まで行っていないからかもしれないが、こういう小さなことでも九州が好きになってしまう♪
早速次にやってきた真っ赤なキハ200で熊本へ向かう。さすがに新型は加速が違う。まるでVVVF電車のようななめらかで力強い走りだ。これだけパワーがあればスイッチバックする必要はないのかもしれない。しかし、レールがそうなっている以上、新型車も否応なくスイッチバックする(笑) ああ、全部新型になってもスイッチバックはなくさないで欲しいなぁ。
熊本駅に着いたときにはすでに1600を回っていた。さすがに西にあるだけあってまだしばらく太陽は沈みそうもなかったが、城の入場は大抵1700とかなので油断できない。
とはいえ、荷物が邪魔なので先にホテルにチェックインすることにした。ホテルは駅のすぐ近くの、ななななんと「ホテルニューオータニ熊本」である! 幾つ星かは知らないが、とにかく筆者らのようなたびてつが泊まれるようなホテルではない。しかし、GW中はこの手のビジネスマンが泊まるホテルはガラガラらしく、旅窓で安くGETできたのである。なんと、ニューオータニが一泊6800円♪
もちろんディナーなんかは付いていないが、それでも通常の約半額で、ちょっと高めのビジネスホテル程度の値段である。「一生に一度泊まるかどうか」というぐらいのホテルなので、ちょっと奮発して取ってみたのだ。
さすがにロビーからして立派で、ボーイさんが歩哨よろしく立っている。こんな身なりで入ってもいいものか!?
躊躇していると阿瀬見が「いいから入れ」というので入ると、「お荷物をお持ちいたします」ときたもんだ! いいです、と断ったのに執拗にカバンを持とうとするボーイ。結局持って行かれてしまう。なんか自分のカバンを他人に預けるというのは不安だ。あう〜、荷物返してくれ〜
阿瀬見は「海外じゃ当たり前だぜ、ふふんっ」とか言っていたが、きっと内心不安だったと予想してみる。
部屋はシングルx4。喫煙者の山崎は別な階に連行され、残り3人が並びの部屋だ。最近フロアで分かれてるところが多い。部屋に入った瞬間、どでかいベッドに驚く。そして机の引き出しの中にはちっちゃな酒瓶がわんさか並んでいるではないか。高そうで恐いのですぐに閉めてしまうあたりが貧乏人(笑)
この部屋の電気は、部屋の入り口のところに鍵を置くと、電源が入る仕組みになっている。このタイプは部屋を出てしまうと照明だけではなく、コンセントを含むすべての電源が切れてしまい、メシを食いに行っている間に充電なんてことができない。よくあるのはキーホルダーを差し込むタイプで、こいつは歯ブラシなどの適当な棒っきれをつっこむことで電源を維持できる。しかし、このホテルのスイッチは物理的な仕組みを持ち合わせていなかった。なにやら台に鍵を乗せるタイプだったので、重量を見ているのかと思い、押してみたり物を載せてみたりしたがダメ。もしかしたら金属を探知しているのかもしれないと、10円玉を何枚か載せてみると、ビンゴ! 無事に電源がはいりっぱになった☆ これで、部屋を出ても充電できる。カシオペアとデジカメの電池を充電して部屋を出る。すぐに熊本城に行かなくてはいけないのだが、ついつい部屋をチェックしてしまった。でも他のみんなも同じようなことをしていたらしい(^^;
すでに何度か熊本を訪れたことのある筆者は熊本城への行き方を知っていたので、一行をせかして市電に乗せた。関東ではあまり見かけないので、結構楽しんでもらえたようだ。よかったよかった。
いつぞやは市電の駅から城まで迷ったりしたが、さすがに迷うことなく清正公の御前にたどり着く。しかし、ここからが熊本城のすごいところで、受付まではまだ遠かったりする(^^; なんとか入城制限に引っかからず入ることに成功。清正公の像のある入り口から入ると、よく絵はがきや写真でみる熊本城の有名なポイントがある。ここから見ると熊本城の石垣の巨大さと、平山城の堅牢さが実感できる。松本城も捨てがたいが、やはり筆者が一番好きなのはこの熊本城である。天守閣は昭和47年前後の天守閣再建ラッシュ時代に再建されたもので、外観はよくできているが歴史的価値はほとんどない。展示も中の中といったところ。やはり熊本城の一番の見所は様々な時代に作られた石垣にあるといえる。ま、ある程度城の知識がないとわからないだろうけど…。
まあ、知識なくても城のでかさには驚いた様子で、阿蘇山には行けなかったが熊本城でフォローできてよかった。
最短コースを通ったものの、結構広いので駆け足になってしまった。城を出る頃にはもうかなり日が陰っていた。
一人旅だと適当にコンビニメシを食べ、旅日記を書きつつ就寝ということになるのだが、道連れがいるときは夕飯を食べに出かける。熊本といえば馬刺し! というわけで、馬刺しのうまそうな店を探しに行くのだが、その前にちょっとお買い物。カメラ屋でフィルムを、ベスト電器でメモリを買う。初日終わった時点でフィルムやメモリが足りないってどういうこと!?
筆者は今回2泊3日という短い日程なのでノートPCを持ってきていなかったのだ。で、メモリを買ったのがまたもやベスト電器。前回北海道に行ったときも、釧路のベスト電器でメモリを買った。こうなったら全国のベスト電器でメモリを買うか!? 世の中には旅で訪れた郵便局で貯金をし、その全国の局のハンコを集めるのを趣味にしている人もいると聞くし…。
なかなかよい店がみつからなかったが、ようやく一軒の店を発見。さくさく突撃する。「ここにしようぜ!」というと「いいよ」とあっさり決まる。このメンツのいいところだ。
なんかチェーン店ぽいところだったのだが、高級な感じでよい馬刺しが出てきそうだった。せっかく熊本まできたのだからケチってもしょうがないということで、結構いいのを頼む。
馬刺しといえばあの赤い肉を思い浮かべるのだが、馬刺しにもいろいろな部位があって、それぞれで食感や味が異なる。馬のレバーなんて初めて食べたが、なかなかいける。結局どれがどの部位でどんな名前なのかはすっかり忘れてしまったが、とにかくうまかった。どのぐらいうまかったかというと写真取る前に全部食べてしまうぐらい(笑)
手加減しなかったので財布には厳しかったけど、うまかった☆
4/28(月) 熊本〜八代〜球泉洞〜人吉〜吉松〜都城〜西鹿児島
朝起きると、ドアのノブに新聞が挟んであった。有料っぽいので、さわらないでおいた
基本的に早起きなので、集合時間よりも先にロビーに降りて新聞を読もうと思ったら、ロビーに新聞がおいてない。高級ホテルってのも意外と不便な物だなぁと思っていたら、阿瀬見にドアのところにあった新聞を読めといわれた。…どうやらあれは危険物ではなかったらしい。うーむ、新聞が各部屋に配られるなんて、恐るべしニューオータニ…。
で、ホテル代を精算すると、なにやら「サービス料」という名目で800円ぐらい取られ、消費税をいれると結局7800円になった。サービス料って何だー!? もしかして無理矢理カバンを持たれたり、ドアの入り口にあやしげな新聞があったりするのがサービスなのか? 筆者にはどちらも不安が増しただけだったのだが…。なんか高級ホテルは窮屈でいかん。そういう意味でも、もう二度と泊まることはないかもしれない…あー、お釣りがピン札なのもサービスなのかなぁ(^^;
こういうサービス受けて嬉しい気持ちになるなんて、金持ちの気持ちはさっぱりわからない。過剰サービスに呆れつつ、熊本駅へ。
今日の最初のイベントは寝台特急なはだ。いかに九州豪遊券と言えども寝台列車までは乗ることができないのだが、なはは熊本−西鹿児島間は立ち席指定券で乗車できる。つまりただの特急扱いとなり、この切符で乗車することができる。青森−秋田間の寝台特急日本海と同様の仕組みだったので、てっきり寝台に座るものと思っていたのだが、なんとリクライニングシートの車両だった。高速バスなんかと同じ3列にゆったりと配置されているとはいえ、寝台特急がシートだと変だ。これじゃあ寝てても疲れちゃうよなぁ。もっとも他の車両はちゃんと寝台がついているので心配はいらない。もっともこのリクライニングシートは寝台料金がかからないため、B寝台よりも約7千円も安い。安く行きたい場合には選択肢に入れておきたい。
ところで、この列車の名前だが、「なは」と言う名前だが、沖縄まで行ったりはしない(^^;
実際には新大阪−西鹿児島間を結んでいる。海を越えて沖縄まで行けるわけはないので当たり前なのだが、「なは」というのは本当に沖縄の「なは」のことなのだ。なんでもこの列車がデビューしたとき、沖縄の本土復帰を願って付けられた名前らしい。よい話なのだが、列車の名前と行き先に関連がないとちと不便だ(^^;
高速バスと同じようなゆったりシートなので、普通の座席に比べれば何倍も座り心地はいい。ムーンライトながらに比べれば天国だ。ただ、阿瀬見のシートは壊れていてリクライニングしっぱなしになっており、寄りかかると倒れるためにずっと姿勢を正していなければならなかったようだ(笑) 阿瀬見以外の二人はうとうとしていたが、筆者は車窓を眺めていた。時折見える高架は九州新幹線のものだ。もう随分と形が出来上がっており、平成16年開業というのもあながち嘘ではないのかもしれない。基本的に鹿児島本線に沿っているのだが、トンネルの関係で八代駅は在来線とは随分と離れた位置に駅があるようだ。パンフレットを見ると新八代駅という名前らしい。
後から調べたところ、この新八代−西鹿児島間が先行開業し、博多から新八代までは今の787系特急つばめがリレー号として運転されるようだ。新幹線にスムーズに接続するため、対面乗り換えするらしいのだが、そうなると在来線の狭軌も引っ張ってくるつもりか、それとも787系を標準軌に改造するつもりなのか。どちらにしろ博多−新八代間が開業するまでの一時的なものだろうから、新八代駅での対面乗り換えってのは一度見に行かねばなるまい。
八代からは肥薩線に乗り換える。キハ140とキハ31の変則編成車両が八代を出ると、突然風景が変わる。ダム湖沿いの山の中の風景は、ついさっきまで都会だったとは信じられないほどだ。緑鮮やかな車窓を眺めながら、目的地の球泉洞駅に到着。急な斜面の小さな無人駅だ。ここには駅の名前が示すように球泉洞という鍾乳洞がある。歩いていくと川の対岸の斜面に大きな建物が見えてきて、球泉洞という文字が見える。どうやらあそこのようだが、えらい高いところにある。川には大きな吊り橋がかかっていて、高さも橋の幅もなかなかスリリング♪ 高所恐怖症の人にはちと酷なのではないだろうか(^^;
もちろん高いところ好きな筆者は嬉々として橋を揺らしながら進む(笑) 密かに阿瀬見が怖がっていたかもしれないがぉ
橋を渡ったところにはリフトがあった。どうやらこれで建物のあるところまであがれるようだ。だが、動いていない(T_T)
事前情報では鍾乳洞は0830より営業しているので、もう動いていないといけないはずなのだが…。係の人もおらず、動く気配は全くない。まさか月曜日だからやっていないのか!? 不安が脳裏をよぎるが、何にしても行ってみないことにはわからない。リフト脇のスイッチバック式の細い道をえっちらおっちら登る。登り切ったところは国道があり、球泉洞の入り口と茶屋があった。
どきどきしながら球泉洞の入り口に行くとちゃんと人がいて営業していた。ほっ、よかったよかった☆
しかし、客が全然いない。元々鍾乳洞なんてものはそうそう人が来るような場所ではないのだが、それ以上にGWとはいえ平日の朝っぱらからこんなところに来る人は皆無なのだろう。しかも列車で来る客なんてさらにレアであると思われる。リフトが動いていないのも力の限りうなずける(^^;
球泉洞には普通に観光するコースとは別に、探検コースというのがあって、一般には公開されていない奥地へと足を踏み入れることができる。しかし、この探検コースというのは事前予約が必要で、どれくらいの時間がかかるかが読み切れなかったので、今回は予約しなかった。
でもやっぱり探検と聞くと心が躍ってしまう筆者は、ダメ元で探検コースができるかどうか聞いたところ、あっさりとOKされてしまった。他に予約している人がいないのだろう。なにしろ、筆者ら以外の客がいないんだから(笑)
必要な時間も1時間程度ということで、乗りたい列車の時間には駅に戻れそうだ。となれば他に悩む要素はなく、筆者らは探検コースを選んだのだ。
カウンターでヘルメットと長靴を借り、冒険者スタイルへとモードチェンジ!一番似合わないと思われていたニロが一番似合う!(笑)
シャツにスラックスという格好なのだが、これが逆に現場監督っぽさを演出していた(笑)
探検コースの入り口で担当の人が待っているというので、一般コースを通って鍾乳洞の奥へと進む。
球泉洞は鍾乳洞とはいうものの石灰質が少なめなようで、ほとんどが茶色い岩であり、乳白色のいわゆる鍾乳洞という感じではない。特に見る物もなく、探検コースの入り口に到着。ここで係の人にヘルメットのライトを確認してもらい、いよいよ探検に出発だ!
探検コースに入るやいなや腰をかがめないと通れない狭いところに入っていく。さっそく阿瀬見が頭をぶつけていた。ここではヘルメットは決して雰囲気作りのアイテムではないことに気づく。照明がついていないのに狭くて道がないのだ。まさに探検!
荷物は受付に預かってもらったのだが、これはかなり正解。唯一整備されている階段でさえ、その傾斜角は70度を超えており、ほとんどはしごだ。こんなところを荷物を持って通れるはずがない。他のみんなはカメラさえおいてきて両手が空いてる状態だったが、筆者だけはデジカメを持ってきていたため片手しか空いていない。自分で言うのも何だが、筆者はバランス感が結構よくて、多少のことでは手を使ったりしないのだが、その筆者でも片手ではきつかった。
階段(はしご?)を下りていくと水の音がしてきた。地下水脈だ。ここで道はとぎれていた。あー、もう終わりなのか…。
と、思ったら、係の人はおもむろに川の中を進んでいく!これだ!これでこそ探検コース!
道なんて何もない。長靴とはいえ、当然それを越える深さのところもある。川の浅いところを選んで進んでいく。さすがにここにはわずかに照明があるが、その光量では川底まで照らし出すことはできない。なかなか流れも速いため、みんな余裕がない。
さすがに流されて行方不明になったりはしないだろうが、転べば確実にびしょぬれになる。探検コースとはいえ、これだけのリスクを客に負わせるイベントは最近見かけない。ああ、すばらしい!
その昔、アスレチックで池に落ちてびしょぬれになったことがあったが、いまではいい思い出だ。どこのアスレチックだったかなんて覚えていないが、池に落ちて泣いた記憶は今も残っている。最近、過保護すぎるんじゃないかなぁ。
行き止まりはたくさんの鍾乳石が群立する小部屋。通路が狭いために全員は一度に奥までいけない。普通だったら立ち入り禁止の札がありそうな物だが、なんと中まで入ってよいとのこと。鍾乳石にもふれることができた。
帰りは来た道を戻るのだが、川もはしごも来たときはまた違った難易度を持っていて楽しめた。事実、帰りの方がヘルメットをこすった回数は多いような気がした。
洞窟の中は涼しかったが、ヘルメットを取ってみると全員汗だく。道の険しさを物語っていた。しかし、疲労感よりも達成感や爽快感が大きい。
球泉洞はいわゆる綺麗な鍾乳洞とは違うが、探検コースはとてもおすすめだ!
満足したところで向かいの茶屋で昼ご飯。興奮さめやらぬままビールで乾杯!ぷはぁ〜!うまい!
帰り道、例の吊り橋の上から船で川下りをしている学生連中を見た。この上流からこの球泉洞までライン下りができるようだ。これはこれで楽しそうだ。次来るときはこれもやってみたいなぁ。
球泉洞駅で列車を待つ。静かな駅。緑。木漏れ日。のどかだ…。同じ待ち時間でも都会と田舎では全然違う。もっと待ってもいいと思えてくるのだ。
ここから人吉まで乗るのは急行くまがわ。急行球磨川はキハ58系の急行車両だ。この車両は本来急行車両なのだが、時代の流れにより急行として運用されているところはもはや数えるほどしかない。今回もコレに乗りたくてこの旅程を組んだと言っても過言ではないのだ。
カーブを曲がって入線してきたブルーの車両。DC-EXPのロゴが誇らしげだ。この日は長崎所属のキハ65 Sea Side Linerが増結されて3両編成となっていた。
列車の窓を開け、涼しい風を満喫する。ああ、やっぱり汽車はいいなぁ。なんかおちつく☆
そんな列車の旅も人吉駅でおしまい。この人吉駅は知る人ぞ知る駅弁で有名な駅だ。が、今回は先ほど昼ご飯を食べたのでパス。
今はメシよりも温泉だ。駅前の青柳温泉が改装中だったため、町中へと足を伸ばす。駅からまっすぐに伸びるメインストリート「青井トキめき通り」の名前の由来を議論しつつ、それっぽい温泉宿「人吉旅館」へ。道から少し奥へ入ったところにある小さな旅館だが、その門構えはとても立派である。とても日帰り入浴をやっているようには見えなかったが、一応聞くだけ聞いてみようと言うことで、筆者は古めかしい扉を開けて中に…って、なぜ、みんなそんなに離れてるんだよ!(^^;
どうやらこの旅館の持つ高級感にすっかりまいってしまい、門から中に入れないでいるようだ…。まあ、身分不相応なのは筆者も感じるところだが(^^;
ドアを入ると「いらっしゃいませ」と迎えられてしまい、さらに不相応さに拍車がかかるが、ここでひるんではいけない。入浴だけできるかと尋ねると、あっさりと「やっています」との答え。ほら、案ずるより産むが易し。遠くから見守っている一行を呼びつけ、風呂へと案内してもらう。純日本建築の宿で、中庭をぐるっと回って風呂へ。廊下にはとても涼しい風が吹いている。日本建築にはやはり日本の夏を涼しく過ごす知恵が生きているのだろう。
で、風呂に行ってみるとなんと掃除中! 慌ててフロントに確認に行くと「その隣に入ってください」とのこと。
そしたら今度は女湯!
もう一度確認に行くと、「今、男湯に変えます」とのこと(^^; 筆者をここまで慌てさせるとは、やるな…老舗旅館(笑)
風呂は残念ながら露天風呂ではなかった。少し小さめの古そうな風呂だ。周りの木枠がかなり年を重ねているという感じだ。小さいとは言っても4人入ってもまだ余裕がある。
風呂上がりは竹ござの敷かれた休憩室で休憩。例の中庭が見える部屋で、見た目も涼しげだ。
すっかりリフレッシュしたところで人吉駅へ。ここから乗るのは「いさぶろう」号という名の観光列車である。ヘッドマークが付いていること以外、普通のキハ31となんら変わらない、と筆者は思っていたのだが、なんと中はお座敷になっていた! 知らなかったのでのんびりと乗り込んだのだが、危うく座敷に座り損ねるところだった。座敷は3つしかないため、早めに乗車することをおすすめする。
ちなみに、この座敷に使われている座席は、あの0系新幹線のシートだという噂である。
これから乗る人吉−吉松区間は肥薩線の中でもおもしろいところがたくさんある場所だ。しんぺい号は要所要所で停車や徐行をしながら観光案内をしてくれる列車である。前から一度乗ってみたかった列車だ。
持ち込んだビールを飲みつつ、車窓を眺める。
だが、見所はいきなりやってくる。というか、すべてが見所なのだ。まずは次の駅、大畑駅でいきなりのスイッチバック。ここまでですでに200mを登っているのだ。大畑駅では一時停車。筆者らはカメラ片手に列車を飛び出していく。ほほえましいな(笑)
大畑駅を出発した列車は急勾配を登っていく。そしてしばらく登ると列車が停車する。アナウンスに従って左手を見ると、はるか下方に小さく駅が見える。それは先ほどカメラを持って飛び回った大畑駅である。山をぐるっと一周して登ってきたのだ。スイッチバックと同じ山登りの手法であるが、見た目わかりやすいスイッチバックとはことなり、知らないでいると気づかずに通り過ぎてしまう、これがループ線である。
そして登り切ったところが肥薩線で一番高いところにある矢岳駅。人吉から400m以上登ってきた。ここでも一時停車。カメラを持った人たちが走り寄るのは駅舎の奥にある車庫。ここにはSL D51170が保存されている。てかてかと黒光りする車体の保存状態はかなりよく、それは屋根が付いた車庫に保存されているということだけではなく、日頃の手入れが行き届いていると思われる。
実は昨日乗ったSLあそBoyはもともとここに保存されていた車両なのだ。80年近く昔の機体が今も元気に動けるのは保存状態がよかったからかもしれない。今でも年に一度、この肥薩線に「SL人吉号」として里帰りしてくる。スケジュール的になかなか難しいのだが、こちらにも是非乗ってみたいものだ。
矢岳駅からは一気に山を下る。
ここで車窓が一気にひらけ、霧島連峰を望むパノラマが広がる。ちなみに日本三大車窓とよばれる景色である。朝一番の列車に乗ると雲海を見ることができるかもしれないという。少々雲が多くて遠くまで見えにくかったが、それでも十分に綺麗な景色だった。
そして次の駅は真幸駅。スイッチバックがある点以外は普通の駅に見えるが、ところがどっこいここでも一時停車。そのホームには幸せの鐘がある。この駅の名前が真の幸せというところから、この鐘つくと幸せになれるという駅なのである。この駅の入場券は「真の幸せに入る」ということから、記念品として人気があるそうだ。
筆者は自分が不幸だと思ったことはない、というかほぼ毎日幸せなので、「幸せになれる」といわれてもピンと来ないのだ。とはいえ、鐘を鳴らすと幸せになれると思えばそれもまた気分的に救われる物なのかもしれない。まあ、彼女でもいる向きは一緒に来てみるのもいいかもしれない。
なお、この入場券は郵送で申し込むと自宅に送ってくれるようなので、欲しい向きは調べてみるといいだろう。
最後のスイッチバックをして二つ目のトンネル「山神第2トンネル」には悲しいエピソードがある。昭和20年8月、復員軍人をたくさん乗せた定員オーバーのSLが勾配を登り切れずにこのトンネル内で立ち往生し、煙で苦しくなって人々がトンネルを飛び出したところにSLがバックしてきて数多くの人命が失われたのだ。
それほどまでにこの路線は険しい。
この路線でもっとも長い「矢岳第1トンネル」の建設は困難を極めた。その偉大な功績をたたえて、二人の責任者の名をとってこの列車は「しんぺい」「いさぶろう」という。
次は終点吉松駅である。
たった3駅だけの区間だが、内容はとても充実している。てつでなくとも楽しめるし、てつならばさらに楽しめる。あくまでこの観光列車は導入を勤めたにすぎない。次は普通列車で自分の好きな駅で途中下車してみたい。
吉松駅で乗ってきた「いさぶろう号」が「しんぺい号」となって出発していくのを見送り、キハ40で吉都線に入る。
こちらは里山という景色が続く。青々とした稲が風にそよぐ。窓を開けてその風を感じながら、ただぼうっとのんびりとした風景を眺める。筆者が汽車を好きな一番の理由がコレだ。
他の連中はといえば、イベントづくしで疲れたらしく、幸せそうな寝息を立てている。
ああ、こんなにいい風景なのにもったいない…、そう思いつつ筆者もついついうとうとしてしまう。ガタンゴトンという子守歌で眠るというのも選択肢のひとつに違いない。
夕日を浴びて赤く染まる都城駅から特急きりしまで西鹿児島へ。
西鹿児島に着く頃にはすっかり日は暮れていた。だが、今日はまだ終わりではない。宿に荷物を置いたら街へとくりだす。鹿児島に来たらブタを食べなくてはならない。ってなわけで、ブタしゃぶの店へ。例によって値段はあきらめて、とにかく食べる!今日は食べる前に写真を撮るのに成功したが、いろいろな部位が出てきたにもかかわらず、何がどんな味だったのかぜんぜん覚えていない!
とにかく、全部美味でした(笑)
4/29(火) 西鹿児島〜枕崎〜指宿〜宮崎空港〜羽田空港〜菊名
ふぁぁ。起床0300。さすがに毎日日の出前に起きていると眠い。風呂を浴びて支度をしてロビーへ。
他の連中も眠そうだ。ま、普通は旅に出たときの方がのんびりしているものだ。毎朝始発に乗るなんて、筆者達ぐらいなものだろう(^^;でも、やっぱりたびてつは始発に乗れ!
ということなのだ。一日が長くてとても得した気分になる、保証しよう。
まだ暗い西鹿児島駅を指宿枕崎線0507の始発に乗って出発。目指すは最果ての駅、枕崎駅だ。
枕崎駅まで行く列車は1日に7本。6時台の次は13時台というとんでもダイヤ!
いやー、すごいダイヤだ…(^^;
というわけで、本日東京に帰る身としては、始発に乗らざるを得ない。砂蒸し温泉で有名な指宿までならばそれなりの本数が走っているため、連れには無理して枕崎までつきあわなくてよいと言ったのだが、せっかくだからとみんなついてくることになった。
始発列車は快速なのはな号に使っている、キハ200の黄色い車両だ。もう南国風味まるだしの、乗ってるだけでうきうきしてくるようなカラーリングだ。
鹿児島湾から登ってくる朝日がまぶしい。今日もいい天気になりそうだ。って、みんな寝てるし(^^;
山川駅に到着してもなお0612。ここからはキハ147の2両編成に乗り込む。朝日がまぶしいが、やはり鹿児島湾の見える左側に席を取るのが正解。本州とは違った植生の車窓を眺める。
このキハ147はキハ47の出力増強型で九州にしかないレア車両だ。…まあ、見た目はキハ47なので別にこれといって珍しくもないのだが(^^;
指宿を過ぎると左手に開聞岳(かいもんだけ)が見えてくる。その山は薩摩富士と呼ばれ、むしろ富士山よりも完全な円錐形に近い。前回、初めてこの指宿枕崎線に乗ったとき、この山があまりに綺麗で感動したのを覚えている。2回目の今も、その美しさに目を奪われる。
日本最南端の西大山駅からもっともよく見える開聞岳だが、ここで途中下車してしまうと前述のように次は13時台となって枕崎駅にたどり着くことができなくなってしまう。ぐっと我慢だ。
この先、だんだんと保線が悪くなり、まるでジャングルクルーズのようになってくる。窓から顔を出していると、木の枝や必要以上にでかい種類のわからない草がぶつかってきて至極危険だ。
そんな自然との攻防を繰り返しながら終点の枕崎駅に到着。
広い敷地にぽつんとホームがあり、駅舎の他には何もない。なんか妙な違和感があるのだが、それはフェンスも柵もないからだと気づく。線路のとぎれたその先には観光バスがたくさん止まっており、終着駅独特の寂しさはあまり感じられない。利用客もいないと思っていたのだが、学生達がたくさん乗り込んできた。
ダイヤの都合上、来た列車で再び戻ることになるので、停車時間は6分だけだ。撮影もそこそこに車内に引き返す。
0738西鹿児島行き、本日これが3本目にして午前中最後の列車である。時間的に言って通勤通学に利用できる唯一の列車だと言ってもいい。GWはカレンダー通りという学生が通学に利用していて、制服の種類ごとにごそっと降りていく。この列車に乗り遅れるともう授業に出るのは絶望的とは、ローカル線での通学は大変だ。
そしてはるばる戻ってきた指宿駅で下車。まだ9時前である。朝寝坊して直接指宿に来ても問題ない時間だが、その寝坊してる時間で枕崎駅まで行けてしまうというのはなんだか得した気分だ♪
徒歩で指宿砂むし温泉へと向かう。街路樹がヤシだったりハイビスカスだったりといかにも南国っぽい。
前回はマイナーな山川の砂むしに行ったので、本場の指宿の砂むしはどんなものかと思っていたのだが、見えてきたのは意外にもハイカラな建物だった。砂むし会館「砂楽(さらく)」というところがそうである。どうもなにかの利権の関係か、他に砂むし温泉が乱立しているなんという状況ではないようだ。建物内にロッカーなどは完備されている。タオルはついてこない。自分のを持ち込んでもいいが、高い物ではないので記念に買うのもいい。
更衣室で海パンに履き替えて、建物の外にある砂むし場へと移動する。裸足で行ってくれと言われたのだが、コンクリートが日に焼けて熱いのなんの…。って、他の人はサンダルはいてるじゃん…
騙された…。戻るのもしゃくだったので、あちぃあちぃと叫びながら行く。なんか周囲の人にウケてる…(^^;
見れば砂浜から湯気が出てる。砂むし場への道からそれて、砂浜へダッシュ!裸足じゃ危ないよ!
おばあちゃんが子供に注意しているが、筆者のことではないらしいぉ
オトナの筆者には、熱いであろうことは予想できるので、様子を見ながらゆっくりと湯気の出ている方に近づく。…しかし、とんでもなく熱い。湯気の出ているところまではとてもたどり着けない。波がかぶっているので海によって冷やされているのだと思うのだが、この熱さ、下手をするとそのあたりの海水そのものがすごい温度である可能性もある。いや、まさか、地球の70%もある海がそう簡単に温まるものだろうか…。
疑問で仕方なかったが、阿瀬見らが呆れてみているので仕方なく砂むしされに行くことにした。
砂むし場は木の柱にトタン屋根のみすぼらしいものだった。ぼろいからというよりも、屋根とかなくて砂浜に埋められる物だと思っていたので、屋根があることにがっかりした。屋根のない浜に埋められて、顔にだけパラソルを差してもらう姿を思い描いていたのに…。
行くとおばちゃん達に頭にタオルを巻くように言われ、他の人のを見よう見まねで準備する。砂の上に横になると、おばちゃんが躊躇なく砂をかけてくれる。でかいスコップで周りの砂を掘ってかぶせてくれるもんだから、間違って体を掘られたら…、と想像するとちょっと恐い。まあ、プロなんだからそんなことはないのだろうが、さすがに首元にでかいスコップを突きつけられたときはちょっとびびった(^^;
日向の方に頭を向けて埋めて欲しかったのだが、希望かなわず。だけど、パラソルをさして欲しいと言ったら、砂から出ている足の先にパラソルをさしてくれた(笑) なかなか冗談のわかるおばちゃんだ☆
最初はぜんぜん熱くないのだが、徐々にお湯がしみてくるのか、尻のあたりから熱くなってきた。砂に埋められているためにサウナのような熱さになってくる。5分ぐらい経つと、自分でも血の巡りがよくなっているのが感じられる。心臓の動きと同期して、砂が持ち上がるような感じだ。額には汗が浮かんでくる。なかなか気持ちいい☆
10分ぐらいすると気持ちいいを通り越して熱くなってきたので出ることにした。砂が重くて自分で起きあがれない人もいるようで、おばちゃんに掘り返してもらう人もいたが、筆者は砂から出てきた巨大怪獣のようにぐわぁっっと起きあがった。
ほてった体に風がきもちいい♪
他のメンツはやせ我慢(?)してまだ埋まっていたため、筆者は一人で熱い砂浜の謎を解くべく再び海岸へ。
今度は湯気の出ていない海岸から海に入り、海の温度を確認してみる。すると海水自体は冷たいとまでは行かないが、少なくとも熱くはないことが判明した。なるほど、ならば今度は海の側から湯気の出ている砂浜に近づいてみる。と、波打ち際の、海水の下の砂がすでに高温であることが判明した。どうやら地面の下から高温のお湯が沸き出しているようだ。波をかぶっている間は立っていられるが、波が引くと冷やす物がないために熱くて立っていられなかった。
ちょうど波打ち際に立っていると、足下がじんじんしてなんかきもちよい☆
みんなが砂むしを堪能したところで、建物へ戻り内湯へ。砂むしの砂はシャワーで洗い流すのだが、ここにすごいシャワーがあった。360度全部の方向から水が飛び出して洗浄してくれる。これはまさしくカーウォッシュ!
ある意味、砂むしよりもインパクトがあった(^^;
風呂上がり、砂むし会館の向かいの土産物屋に「地ビール」ののぼりを発見した筆者らは、店先の机に陣取って湯上がりの乾杯!風呂上がりのビールは最高だね!
エール・ピルスナー・ドュンケルの3種類があると聞いては、一本で引き下がるわけにはいかず、全種類制覇することに。途中、つまみが欲しくなって、土産を試食したところかつお味噌がおいしかったので購入、その場で開封してつまみにする(笑) かつお味噌は味噌ピーの味噌に鰹節を入れた感じのもので、無性に白いご飯が欲しくなる味だ。
つまみを得た今、筆者らを動かせる物は何もなく、一人6本ぐらい飲んで店のおばちゃんに「あんたらよく飲むねぇ」と呆れられたほどだ(^^;
1時間ほど飲んで、列車に間に合わなくなりそうなのでようやく駅へと移動。
しかし、目的の列車が入ってこない。よーく見てみるとそれは平日運転の列車であった。こんなローカル線で平日と休日でダイヤが違うとは…
負けました…。
30分ほど待ちぼうけして西鹿児島へ。
特急きりしまで南宮崎へと移動するが、温泉とビールですっかりリラックスしまくったようで、みんな爆睡。みんなカメラを抱いて寝てるところが奇妙だ(^^;
まあ桜島がよく見えるポイントまではみんな起きてたからいいとしよう。
南宮崎までくれば宮崎空港まではすぐだ。普通列車も走っているのだが、せっかくなので特急にちりんに乗ろうってことで、しばし列車を撮影しながら列車待ち。
旧色に塗られた475系の電車、京都行きの夜行列車彗星を見ることができた。
乗り込んだ特急にちりんは485系なのだが、なんと車両番号1番の機体だった。なんか得した気分だ♪
宮崎空港は駅のホームから滑走路を見ることができて、列車も飛行機も楽しめるなかなかグッドな駅だ。
いつも移動が多いので、ついつい買いそびれる土産を宮崎空港で調達し、飛行機に乗り込む。ここのところニロの影響で飛行機に乗る機会が増えている。今回の機体はエアバス A300-600Rだ。翼の先に三角のがついてなかったらB767と区別つかないのは内緒だ(^^;
飛行機が力強く飛び立つ。飛行機もかっこいいのだが、どうも「たび」というのとは少し違う感じがする。
時間はかかるがブルートレインは遠くに来てるんだという実感があって、「たび」というのを味のある物にしてくれる。飛行機も使う、だが、ブルートレインの良さも忘れたわけではない。
そのうち、ブルトレ好きなのに乗ったことのない阿瀬見と、飛行機野郎のニロをブルトレに乗せてやる…。
JR東日本を離れてみると、それぞれのJR支社にそれぞれの色があることに気づく。国鉄の時代も色はあったのだろうが、JRになってその色は独自に輝き方を磨いてきている。
特に九州は破天荒な特急を作ったりして楽しそうにやっている。非合理的な気もするが、やってる本人が楽しくなかったら観光客だって楽しくできるはずがない。アレもダメコレもダメと枠に収まっていてはおもしろいことなんてありはしない。
列車にさわったら、笑顔で「なんなら乗ってみるか?」と言ってくれるSLの運転手。
優しいだけではなく、その中には強さを秘めている。これぞ九州の原動力なのではないだろうか。
いや、でもいいのは九州だけではない。東北だって北海道だって中国だって四国だって…。ああ、行きたいところがまだまだいくらでもある!
あそこへはブルトレが走ってるな。あそこには空港があったな。ああ、乗りたい列車や飛行機が…!帰り道には次の旅を考えてしまう、そんな旅と自分が好きだ(笑)