鋼鉄の愛馬と魔法の書が君を四大陸へいざなう。
知らない場所、初めての街、さまざまな出会いが軌道の先にある。
シャレてる暇はない。さあ、出発の時間だ!
第0010号
2001.07.20-07.22

2001.07.20-07.22

・夏旅シーズン到来! 〜飯田線〜


 飯田線の主役119系電車。素朴なカラーの小さな列車はいかにもローカル線っぽい☆ 5000番台はエアコンが分散型でJNRロゴ入り扇風機つき♪ でも、窓から入ってくる自然の風が一番。そんな考えが浮かんだ時が途中下車のタイミング☆
(田切駅付近にて)

 天竜峡の鉄橋を渡る119系。写真中央、鉄橋の上を行く白いのがそうだ。わかるかな?(笑)
 飯田線は天竜峡〜中部天竜はほとんど渓谷鉄道といってもいい。天竜川沿いに続く山と谷とトンネルのコンビネーション。まどろみながら流れていく絶景を眺めるのは、それはそれで贅沢かも☆
(天竜峡遊歩道より)

7/20(金) 〜新宿〜岡谷〜田切〜飯田

 海の日とくっついた3連休の週末、旅に出ると決めたのは水曜日だった。GOGO3DAYSきっぷがなくなって、新たに生まれた3連休パスを使うか、7/20より利用可能な青春18切符を使うか悩んだ末、道連れの阿瀬見の希望を考えて飯田線をチョイスした。
 ローカル線ではあるが、究極超人あ〜るのOVAのおかげで全国区に名の知られた路線である(^^;
 今回のチョイスもそのDVDの発売により、「飯田線、ひさしぶりに行ってみるかぁ」という気になったのもひとつの要素ではある。
 とにかく長い長い路線と膨大な駅の数なので、

岡谷−豊橋間はノンストップ貫通列車でも6時間半かかる!

 しかも途中下車した場合、次の列車は1時間から2時間、下手すると3時間近く来なかったりするという本格派ローカル線である。
 そもそもこの路線を1日や2日でまわろうというのが間違っていた。やはりここは3日間、腰を落ち着けて飯田線だけを堪能する旅にする必要があった。
 しかし行き先を決めたのが2日前だったし、忙しかったのと、もともとあまり計画性がないのが自慢なので、「飯田線」に行くということ以外何も決めなかった。唯一、中央線から入って東海道線に出るということだけは決めたけど。

3日間ありゃ、どうにでもなるだろ〜。

 ぶっちゃけた話、そういうことである(笑)
 青春18切符はご存じの通り普通列車(と快速)しか使えない。とはいえ、岡谷まで普通列車で行った日にはそれだけで1日費やしてしまう。ま、それはそれで青春18切符の正しい使い方ではあるのだが、3連休と飯田線ということを考えると、特急を使ってしまうのがサラリーマンのサガである(^^; つーわけで、朝一のスーパーあずさに乗るべく新宿駅へ。30分ほど余裕を見てきたのだが、それでもものすごい人の列ができていた。…新幹線よりよっぽど混むのね(T_T) 仕事の出張の関係であずさには詳しい阿瀬見はこの事態を見越していたようだったが、来たのはやっぱり30分前。「ダメだと思ってた」という阿瀬見に、じゃあもっと早く来るか、ダメだと連絡して欲しかった…。そしたら6時頃から並んだのに…。
 幸い、季節がら臨時列車が増発されていたので、一本待って座席を取ることができた。さすがにここから立っていくのは厳しいからなぁ(^^;

 席を確保して駅弁をGET。列車の中で食べる朝駅弁は「これから旅だぞぉ!」って感じがして良い♪
 よく考えてみると中央線の高尾以西を昼間に通った記憶がない。だいたいスーパーあずさなんてほとんど乗らないからなぁ。松本方面へは夜行の急行アルプスで行ったことが記憶にあるだけ。話をしながら車窓を堪能する。
 中央線方面は新幹線がないので以外と遠い。岡谷まで約3時間。新幹線なら盛岡まで2時間半だからねぇ。
 岡谷着1007。ここ、岡谷が飯田線の発駅である。実際の運行区間としては上諏訪や長野、茅野あたりから飯田線に入っていく列車も多い。超ローカル線かとおもいきや、以外と利用者が多いのだ。途中はかなりの山中を通るが、岡谷側には伊那や飯田、もう片方の発駅の豊橋の方には豊川などの比較的大きな都市があるため、両側はそれなりに利用者がいると思われる。
 そんなわけで、伊那、駒ヶ根あたりは街中で途中下車するような駅もなく、カタコトと軽く通り過ぎてしまった。しかし、それではせっかく3日間確保している意味がない。とにかくどこかで途中下車しないと行けない衝動に駆られる。どこか途中下車するようなところはないものかと、いまさらながらに買ったけど開いていなかったガイドブックと、おなじみの分厚い時刻表とで降りる駅を決めにかかる。…やっぱ、最初の目的地ぐらいは決めておいた方がよかった…(^^;
 まず、今日はどこまで行ってどこに泊まるか。ここまで来ておいてなんだが、すでにお昼に近づいており、70分間隔の飯田線では、今からいろいろなところに行くことはできない。せいぜい1,2箇所、軽く途中下車といったところか。それにがっちりとどこか見るようなところは天竜峡までない。飯玉では田舎のローカル線という感じで、これといった観光地はないのだ。すでに通り過ぎているが、駒ヶ根駅が最寄りの観光地、千畳敷というのがあるらしいのだが、こちらは駅からバスで数十分という遠さ。飯田線に乗りに来て行くようなところではない。かといって、このまま終点の天竜峡まで行ってしまうと、飯田線の半分まで終了してしまう(^^; もちろん、戻ってもいいのだが、なんかシャクだし…。
 というわけで、次の次の駅である田切駅に降りることにした。あ〜るの劇中、ここから自転車での強行軍を始めた駅だ。あ〜るは一度見たきりなので、正直憶えていなかったのだが、阿瀬見先生の脳裏にはがっちり記憶されていたようで。
 ちょっと決定が遅れたので、転がるように田切駅に下車。

って、めちゃめちゃ小さい駅なんですけど(^^;

 ホームの幅が約80cm。駅舎らしい物はなく、小さな待合室がひとつあるだけ。もちろん無人駅だ。線路が高台を通っているため、駅には下の道路から階段で上がって来る形だ。…駅のホームより階段の幅の方が広い?(笑)
 待合室には「Rの〜と」なる雑記帳が置かれていた。もう7月も終わりだというのにまだNo.1ということで、利用者の方はこの手のノートとしては少な目か。それに結構荒れた書き込みも多い。管理のきっちりしている雑記帳の場合は何年も前のノートがきちんと置かれていて、リピーター同士の会話がつながっていたりしておもしろいのだが、ここはちょっとそう言う感じではなかった。管理者や一部の人は一生懸命やろうとしているのが感じられるのだが、それ以上に落書きを書く人が多いようだ。困ったものだ。
 ちなみに今まで見たなかで個人的に一番と思っているのは鹿児島の日南線終着駅の志布志駅にある雑記帳。2年分ぐらいおいてあって落書きもすくないよいノートだった。落書きの少なさでは同じく九州にある日本最南端の駅、西大山駅のが記憶にある。ま、西大山の場合、地元の人すら訪れることもない何もない駅で、降りるのは「てつ」な方々だけみたいだからな(^^;
 さて、話を元に戻して田切駅だが、降りたはいいが何もない。いや、何もないのを知ってて降りたので、責めているわけではない。駅の周りをちょっと回ってみる。今日は雲が多いが空は青い。雲ひとつない快晴よりも、白い雲がもくもくある方が写真としては映える。いかにも夏という感じがしていい。何もないといったが、緑だけはいっぱいある。広がる田んぼの緑が目にまぶしい。他にすることもないので、逆方向の列車を狙えるポイントでのんびりと1時間、次の列車を待つ。
 その間、県外のナンバーの車が数台田切駅にやってきた。練馬ナンバーの他、なにわのナンバーの車まで来る。何もない駅なので、彼らは一瞬で田切駅観光を終えて帰っていくのだが、田切駅の観光の仕方としては間違っているように思う。やっぱ電車で来ないとダメだろう? 電車で来る場合、よほど思い入れがないとなかなかこの駅で降りたりできない。なにせ1時間おきにしか列車が来ないわけだからね。
 結局何にもなかったが、ゆっくりとした時間が過ごせて大満足の田切駅だった。
 次の列車は信州色の115系電車。飯田線にはこの列車もいるんだね。この列車で終点の飯田まで行くこととを決め、のんびりとうとうとしながら車窓を眺める。単線ローカルののんびりとした雰囲気と、程良い振動が眠気を誘うんだよねぇ(^^;
 飯田に着くと1335。

思いっきり中途半端な時間に着いたものだ…(^^;

 とりあえず今日は飯田に泊まることに決めたので、ビジネスホテルに電話し、チェックインするには時間が早すぎるために荷物だけ預かってもらうことに。
 そして眺めのいい飯田城あとへと歩いていく。飯田の街は前のバイトの時訪れた際にかなり歩き回っていて、また、前に飯田線でも来たことがあったので、結構知っていた。歩いているとこれでもかってぐらいに日差しが強い。やっぱり夏はこうでなくっちゃな♪ 暑いかと聞かれれば暑いと答えるだろうが、それでも夏らしい日は好きなので気分良く歩いていく。
 飯田城あととは言ってもべつに城があるわけじゃない。今では市立図書館と美術館、それと温泉旅館が建っている。この温泉旅館、飯田の街を一望できるパノラマ温泉が売りで飯田の中では結構有名な旅館だ。前に来たときは時間がなくて入れなかったのだが、今日は今日で時間が早すぎて入る気がしなかった。今温泉に入ってもまた汗だくになるのが目に見えているし、それこそ時間が中途半端になってしまう。
 もうひと歩きしてから帰りに寄ろうということになり、目指すは川! 理由は「なんとなく」だ!(笑)
 飯田の街は山川と川側で高低差がすごいあって、市街地はちょうど山のえぐれた部分の低い土地にあるのだが、それでも川まではずっと下り坂になっている。前に来たときは車だったのであまり高低差を感じなかったのだが、市街地も結構な坂で自転車ではきついだろう。飯田線は町はずれの高いところを走っているため、市街地を大きくコの字というよりもΩ字のように迂回している。このΩ型しているところに5つの駅があって約16分かかるため、Ω字のはじの駅で一度列車を降りて徒歩で街を縦断し、Ω字の反対側のはじの駅で先ほど乗ってきた列車に再び乗り込むという荒技ができる。あ〜るの劇中でも行われている光画部恒例行事であるが、今回は下調べが足りず、阿瀬見の記憶も曖昧だったのでチャレンジしなかった。
 川に向かって歩けど歩けど川にたどり着かない。船下りとかあるみたいなのだが、地図を見直してみるとかなりの距離があったようで、4km近く歩いてなお4kmぐらい距離を残しているようだ。初めに地図を見ろという話がそもそもあるな。ちょっと無計画すぎたかと少し反省。
 地図を見ると先ほど書いたΩ字の片方のはじの駅である下山村駅がすぐ近くにあるらしい。ここから坂を上って街まで帰るのはしんどいので、電車で飯田駅に戻ることにする。

どうせ歩くなら電車と競争してみりゃ良かったなぁ…

 ちなみに、このときにはもうそんな元気はありません。炎天下を1時間歩いた結果だ。1時間歩くこと自体はたいしたことじゃないのだが、この暑さで体力の消耗は通常時の約2倍だ(当社比)。今回、あまり歩くことはないだろうと予想していたのと、川沿いの路線なので川にはいることもあるだろうということで、水陸両用のサンダルを選択したのだが、完全に選択ミスだった。サンダルで歩くと疲れる疲れる(^^;
 やってきた電車に乗り込むと、クーラーが心地よい♪
 電車はΩ字を描いているので、右側に飯田市街を見下ろしながらぐるっとまわる形になる。中央にそびえるのは飯田城あとに立つ温泉旅館。ずっと右にこの建物が見えており、表から裏側まで見ることができる。こうしてみると飯田の街の特異な地形がよくわかる。電車と勝負するのもいいが、一度は電車でも通ってみよう。
 飯田駅に再び到着。すっかり疲れ切ってホテルへ直行。何にしても汗だくの体をはやく流したい! かといって温泉に入るために飯田城あとまで行く元気はないので、ホテルへ戻ることに決定したのだ。
 阿瀬見はすっかりばてていて休むといって引っ込んでしまった。
 シャワーを浴びてすっきりしたところで何かしようと思ったのだが、中途半端な時間しかなくて散歩程度しかできない。散歩がてら、やっぱり電車と競争したくて地図を見ていると、いきなり夕立が降り始めた。ものすごい雨だ。さすがにこれでは外出できない。あきらめて部屋で明日の予定を考えることにした。いくら何でも今日は無計画すぎたと反省。やっぱりローカル線を侮ってはいけないと言うことだ。
 それはそうと、阿瀬見と一緒の時はよく夕立になる気がする。まえにわたらせ渓谷鉄道に行ったときも夕立が降った。超晴れ男の俺のパワーを上回って夕立を降らせるとは、恐るべし阿瀬見隆。というわけで、

阿瀬見は夕立男に認定(笑)

 夕御飯を食べに行く頃、夕立もあがる。阿瀬見は部屋で寝ていたらしく、夕立を見ていないようだ。
 コンビニ飯でも俺はかまわないのだが、せっかく二人いるので、ホテルに一番近い飲み屋に突撃。別にガイドブックに載っていたわけでも、うまそうなメニューがあったわけでもなく、普通の飲み屋だ。どうも最近飲むと仕事の話になる。ちょっとやな感じ…。
 さて、二日酔いにならない程度でやめておいて、明日に備えるか!


 ↑タイトルの写真に惜しくも選ばれなかった一枚。里の夏の時間を切りだした。
(下山村駅ホームより)





←田切駅ホームへの階段。階段よりホームの幅の方が狭い(^^;
(田切駅下にて)

7/21(土) 〜天竜峡〜中部天竜〜佐久間〜大嵐(おおぞれ)〜豊橋

 今日もいい天気。ただ、山を見ると霧が出ているようで湿度は高いようだ。今日も汗だくの一日になりそうだ。うむ、それがニッポンの夏、キンチョーの夏ってもんだ♪
 1人の時は始発とかにチャレンジしちゃうのだが、二人なので8時出発。天竜峡はすぐそこなので、あまり早く出てもあまり意味もないし。前回の会津では予定を立てないで失敗したのだが、今日はちゃんと時刻を確認済みだ。
 電車に乗り込み、1時間もかからずに第一の目的地天竜峡へ到着。
 駅のホームでちょっと撮影していると、時刻表にない時間に踏切が鳴る。もしかして、ヤツが来たのか? ヤツとは電気機関車のことだ。昨日、学校の後輩であり、鉄の師匠でもある石川君から得た情報で、電気機関車の撮影会が催され、それに出かけるために豊橋駅を0800に機関車が出るというのだ。撮影ポイントを探して待ち伏せするにも、この時間以降は電車の本数が少なくなるため、本来の目的が達成できなさそうだったので、昨日の計画の時点であきらめたのだ。ただ、豊橋を出る時間から考えて、天竜峡あたりで遭遇するんじゃないかな、とは思っていた。
 カーブの先に姿を現したのは茶色の電気機関車EF58 122。レトロチックな機体だ。と、機関車のスピードがずいぶんと遅い。っていうか、スピードダウンしてる。これは停車するぞ!
 というわけで、幸運にも予定外のゲストEF58122を拝むことができた。朝からついてる♪
 観光地のはずなのだが駅は小さい。駅前にも大した店はなく、流行っていないことは間違いなさそうだ。ま、付近にも有名な観光地はないし、このご時世じゃしょうがないか。
 観光するには時間が早いため、そば屋もやっていない。ま、天竜峡を探検して戻ってくればやってるでしょ。観光地は人のいない時間に行くのが◎。どんなに景色が雄大ですばらしくても、人がいるというだけで興ざめしてしまうというものだ。この際、自分もその人間のひとりだということは置いておく(笑)
 天竜峡はどっちかな? 地図で見た感じだと線路のすぐ近くだったな。と、橋を渡るとすぐそこが天竜峡だった…。ああ、こんなに近いんじゃ大したことないな。勝手にそう決めつけて遊歩道へ足を踏み入れる。最初はちゃんと渓谷の遊歩道だったのだが、途中から

あれ、公園つっきるの?
え、今度は一般道?

 かなり「?」な遊歩道だ…(^^; と、一般道から竹藪を突っ切って川まで降りられる道を発見。うっそうと茂る竹藪、傾斜も急で冒険にはもってこい。悩む必要はない。突撃だ! 川のそばまで降りてくると、でっかい岩がごろごろしていた。渓谷って感じでグッド。さっき渡ってきた駅のそばの鉄橋がだいぶ遠くに見える。とはいっても15分と歩いていない。が、シャツはすでに汗でびっしょりになっていた。今日も暑い。
 岩の上で一休みすることにして腰を下ろす。日なたは暑いがこうして川縁の日陰にはいると涼しい。川面を渡る風がほてった体に心地よい。川に響くエンジン音。ん、エンジン?

ライン下りの船がホンダエンジン(たぶん)をうならせて上ってくる(笑)

 いやー、ライン下りの船がライン上りをしているところを見てしまうと、かなりだまされた気分になるな(^^; ちゃんとトラックで運んでくれないとライン下りのロマンってもんが…。
 さて、汗だくのシャツが冷たくてしょうがなくなってきたので出発。竹藪でカナヘビを発見。うむ、冒険に野生生物は欠かせないな。小さな冒険に満足し、一般道に戻ったとき。サングラス落とした(by阿瀬見)。

さあ、冒険にもう一度!(^^;

 結局一番下まで降りて見つかるサングラス。この竹藪の坂、かなり急なので2往復はわれわれの体力を容赦なく削る。うー、足がへろへろなんですけど。絶対運動不足だな。
 だけど冒険に逆境はつき物だ。この逆境を乗り越えてこその冒険者である。前に進むのだ。
 結局その先も遊歩道は謎な道が続いたが、ようやく吊り橋に近づいてちゃんとした遊歩道に変わった。そこにあった休憩展望所からの景色はすばらしく、疲れも吹き飛ぶ。ちょっと休憩しただけでカメラを持ってシャッターを切る阿瀬見。なんだ、元気じゃん(笑)
 青い空、白い雲、涼しげな渓谷。ただ眺めているだけで、感想も批評も必要ない。鉄道もいいけど、やっぱ自然にはかなわないよな。が、両方あればなおよし。線路のすぐそばにこんな渓谷があるなんて、飯田線ナイス!
 吊り橋を渡って今度は反対岸を駅に向かって戻る形だ。途中、竜角峰という岩があって、峰隆太の名前の元だという解説があった。

かなりウソくさい…

 それに天竜峡十勝と書いてあるけど、あと9勝はどこ? ここまでそんな看板なかったけどなぁ。
 そして隣にあるあと23段で急な階段は終わりです、という看板だが、数えてみると25段ある…。やっぱウソか? 看板にだまされちゃダメだ!
 天竜峡制覇。タイムは1時間10分。駅の近くだからといって甘く見てはいけないと言う教訓を得た。
 汗だくの今、とにかく風呂に入りたい。というわけで、温泉に行くことにした。駅のすぐ近くは天竜峡温泉なのだが、ガイドブックにかなりよさげな温泉が載っていたので行ってみることにした。最初は歩こうかと思っていたのだが、ちょっと距離がある上にこの炎天下なので、タクシーで行くことにした。料金がちょっと気になったのだが、さすが田舎というべきか、距離の割には安いし早かった。
 湯里湖(ゆりこ)という露天温泉なのだが、すごい見晴らしのいい露天風呂だ。遙か下に渓谷が見える。目の前には緑の山とその向こうには山脈。見上げれば真っ青な空。露天風呂気分最高潮だ。こんな天気に真っ裸で露天風呂に入っていたら日焼けしてしまう。そんなことを察してか、竹で編んだ笠がおいてある。阿瀬見はこれがいたく気に入った様子。
 汗を流して心身共にリフレッシュ。

が、汗で濡れたシャツを再び着るので温泉気分台無し(笑)

 夏は一日2枚以上シャツを用意しないといけないな。荷物を少なくするのでシャツは1日1枚としたのだが、ちょっと後悔した。
 帰りもタクシーを呼んで駅へ戻る。ようやく営業を始めたソバ屋で昼飯をとることにする。
 とろろソバを頼むが、なかなかでてこない。と、山芋を握りしめたおばちゃんが勝手口から現れる。どうやらこれから山芋をおろしてとろろが製造される模様。何気なく入ったソバ屋だったのだが、意外とこだわりの店だったようで、出てくるのにかなり時間がかかった。そして食べ方まで指導される。主と話をするうち、飯田線の内緒のスポットを教えてもらうことにした。お題は

観光客が絶対に行かないおもしろいところ

 我ながらかなりひねくれた難しい題だと思う。主が教えてくれたのは佐久間ダムと大嵐(おおぞれ)という駅。佐久間ダムは絶対誰も行かないと豪語していた。佐久間ダム、個人的には行きたいのだが、駅から遠いので時間が許すかどうか。大嵐は日本一人口の少ない村ということだった。そして、そこに一軒だけある喫茶店がなかなかの評判だということだった。
 天竜峡から中部天竜へ向かう。天竜峡駅から出てすぐに列車が天竜峡を通過する。左側の車窓にはさっきの吊り橋が小さく見える。少なくともここまでは気を抜かないように。
 で、その後はすっかり気を抜いてうつらうつら。天竜峡は思ったよりも疲れたので、眠気がおそってくる。ふと見れば阿瀬見は寝てる。こっちは全部の駅を見ようと一生懸命寝ないようにしていたのだが、結局うつらうつら寝てしまって記憶が切れ切れだ。
 天竜峡を出るとトンネルが多くなる。トンネルを出ると駅、駅を出るとトンネルという感じだ。そんなトンネルとトンネルのわずかなスペースにあるのが大嵐駅。だが、さくっと通過。先に中部天竜の佐久間レールパークへ行くことにしたのだ。
 ローカル線にはよくあるのだが、全体の本数に対して非常に列車が少ない区間がある。飯田線の場合は天竜峡−中部天竜の区間が日に8本しかない。ここで大嵐に降りてしまうと3時間列車が来ないということになる。もし万が一おもしろくなかったら痛い。また、ここで中部天竜まで出ればトロッコ列車が来ているはずだ。確かに戻るのは美しくないのだが、そういう往復もフリー切符の醍醐味である。
 佐久間レールパーク。前に石川君と飯田線に来たときに行ったことがあるところだった。しかし久しぶりに来てみると展示が全然変わっていた。前は電気機関車ばかり集めてあったのだが、今は特急とか新幹線の運転台だけとか、バラエティーが増していた。また、館内の展示も増えていた。前はグッズ売り場しかなかったように記憶しているのだが、遊べるNゲージと113系の本物の運転台を改造したトレインシミュレータがあった。トレインシミュレータは大きなお兄さんが遊んでいて、いや、真剣にやっていて入り込む余地はなかった(^^; あー、こういうのを見ると

大人げねーってよくないよね(^^;

と、反面教師になったりする(^^; 自分にも多々身に覚えがあったりして痛い。
 トロッコ列車の今日の気動車はEF58157。朝見たEF58−122の姉妹機で、こちらの色はブルー。ブルートレインのブルーよりわずかに明るいかな? 客車およびトロッコ車両も同色である。夏休みは朝のEF58−122とこのEF58−157、そして旧型のED18−2の3機関車が変わりばんこにトロッコを牽くことになっているが、この青いEF58−157が基本なのだろう。残念ながら気動車がホームに入り切れておらず、顔を写すことができなかった。それならばと駅から少し離れた地点で撮影をすることにした。
 あいにく、今日も夕立があるのだろうか、雲がかかってきて光は弱く、また、逆光気味であるため、あまりいい撮影ポイントとは言えないが、このぐらいしかないのであきらめる。撮るには撮ったがいまいちだった。
 さて、佐久間ダムは駅から遠いのでやっぱりやめ。鉄橋ぐらいは見ようと思い、佐久間駅の方角に歩き出す。見えてきたのは発電所(変電所?)と天竜川橋りょう。と、鉄橋の脇に通路があり、立て札を見る限り、どうも渡ってもかまわないらしい。おお、ちょっと感動。
 まー、列車の通るところの枕木を跳んで渡れって訳じゃないので、別に誰でも渡れるのだが、

高所恐怖症の人はたまったもんじゃないかも…

 ぜひ、渡ってもらいたい物だ(笑) ちなみに、阿瀬見はプチ高所恐怖症なのだが、あまり怖がるそぶりを見せなかった。ちぇ。つまんないのぉ
 で、気づくと佐久間駅に到着。

って、めちゃめちゃ駅間短いな!

 ちなみに時刻表を見てみると営業キロ1.1km。
 この佐久間駅、駅舎が図書館になっている。というか、図書館の一部が駅になっているというべきか。中学生が学校帰りに図書館で電車を待っている。これっていいかもしれない。電車がすぐに来てしまう都会ではできないね。
 さて、列車が来て、さっき通った線路を逆戻り。単線なので、言葉通りさっき通った線路である。
 着いた大嵐駅ではちょうど列車が行き違うところ。このあたり、さっきも行ったようにトンネルだらけなので、こんな小さな駅でも入れ違えることができるようになっている。しかしあまりにも大嵐駅の両側にトンネルが迫っているので、トンネルの中も少し複線区間があり、トンネルが広く作ってある。ちょ〜っと計画を間違っているんじゃないかなぁ。
 大嵐駅には「日本一のミニ村」という看板があり、山村留学もしているらしい。小さいけれど、やる気のある村のようだ。そしておもしろいことにここは

唯一無二の最寄り駅が他県にある村なのだ

 大嵐駅は静岡県、しかし富山村は愛知県の村だ。しかも大嵐駅周辺の静岡県は山ばかりで誰も住んでいないので、静岡県の大嵐駅を利用するのは愛知県の人だけという構図になっている。川を渡る立派な吊り橋の両側には県境を示す両県の看板がある。かなりおもしろいところだ。ソバ屋の主のおすすめはバッチリ要求に合っていた。やるな、主♪
 喫茶店を目指して歩き始めた我々の前に、ひとつの看板が現れた。交通安全の看板でよくあるやつで、死亡事故ゼロ×××日という看板だ。最初、よくある看板と思って「ふーん」と見ていたのだが、よーく考えてみるとそこに書いてある数字は途方もない数字だった。

死亡事故ゼロ8,000日達成
…って何年だよ、それ!

 いつも見慣れている看板よりも確実に桁がひとつ違っていた。365日で単純に割って約22年である。こう書かずにいっそ「死亡事故ゼロ22年」と書いた方がインパクトがあると思うのだが…。確かに地図を見るとこの村を通っているのは一本の国道のみ。そしてその国道もほとんど車通りがない。あまりに山深いので、暴走族もこなさそうだ。死亡事故ゼロ22年の重みは相当なもので、間違ってもここで死ぬわけにはいかない気になる。恐るべし、富山村…。
 歩くこと20分。喫茶店はすぐにわかった。だって、道一本しかないから。思っていたよりも現代風の喫茶店で、さらに驚いたことに店主が若かった。話していてこのあたりの言葉のなまりと違うなと思ったら、なんと茨城の人。Iターンってやつらしい。電車の時間の関係であまり長い時間いられなかったけど、カレーピラフもアイスコーヒーもおいしかった。大嵐駅に来たら、またここに来よう。
 帰り道、ついにヤバいと思っていた空が泣き出した。夕立である。やっぱ、阿瀬見と一緒だと夕立降るよ〜。
 駅舎に駆け込むとそこに郵便屋さんの姿あり。駅のポストの回収をしたと思ったら、駅舎に入ってきた。何をしているのかと思ったが、どうやら列車を待っているらしい。やってきた列車に乗り込む郵便屋さん。山間の村の郵便はバイクじゃ回収しに来られないんだなぁ。でも、やっぱり不思議なのは駅は静岡県だからそこのポストは静岡県の管轄だろう。にもかかわらず、やっぱりそのポストに投函するのは愛知県民なわけで…。行政区間の境目の人っていうのはなにかと不便なんだろうなぁ…。
 あ、そう言えば、一軒だけ、駅の近くにお店があったな。あそこは静岡県民だ。もう、なにがなにやら…。
 大嵐駅を出て、トンネルをひとつくぐっただけで、あんなにすごかった夕立がぱたりとやむ。というか、こっちは降った形跡なし。山の天気はわからないものだ。
 眠いのを我慢しながら、途中下車しておもしろそうな物がないか、各駅のメモを取っていく。阿瀬見は完全に寝ている。ちょっとおもしろそうなところがいくつかあったのだが、今日のところは途中下車をあきらめる。
 本長篠駅ですれ違いをしたのだが、夕焼けがとっても綺麗だった。
 今日はこのまま豊橋まで一気に抜けてしまう予定だ。しかし3日間飯田線を楽しむ予定なのに、豊橋まで行くのはちょっとまずかったかなぁ。
 阿瀬見曰く、昔来たときと全然違う豊橋の駅。しかし、俺的には前に来たときと変わっていない。阿瀬見が来たのはずいぶんと昔のようだ。ホテルは駅の栄えていない側だったので、荷物を置いて逆側に出る。駅の近くのつくね専門店で晩ご飯を食べる。いろいろなつくねがあってなかなかおもしろかった。チーズつくねはファミレスのイタリアンチーズハンバーグと何一つ変わらない味がした(^^;
 明日も飯田線に乗ろうと思ったのだが、帰りに新幹線を使ってしまうのは青春18切符に申し訳ないので、東海道をひたすら普通列車で乗り継いでいくことにした。とりあえず最初に乗る電車だけを決め、今日はおしまい。


 鉄道の師匠の石川君の情報通り、撮影会に向かうモデルのEF58 122に遭遇。普段は中部天竜−豊川間のトロッコ列車を牽引している。夏休み中はこのEF58 122と青い塗装のEF58 157、そしてED18 2が毎日交代でトロッコを牽いている。
(天竜峡駅ホームにて)

 トンネルとトンネルのわずかな隙間にある大嵐駅。山間部では斜面の向きなどの関係で突然天気が変わる。晴れ渡っていたと思ったら、トンネルを抜けると大雨だったりする。夕立に見舞われた大嵐駅では、郵便屋さんも雨宿りして列車を待つ。山間部の小さな村では郵便の集配に飯田線が活躍している。
(大嵐(おおぞれ)駅ホームにて)

7/22(日) 〜弁天島〜金谷〜焼津〜横浜

 今日は朝から雲が厚く、あまりいい天気ではない。まあ今日はただひたすら東京を目指すことになるので、多少天気が悪くても問題はない。東海道線、ここから東京までかなりの距離があるのだ。甘く見てはいけない。
 とは言っても途中下車をしないわけではなく、軽いヤツを2,3箇所予定している。
 日曜日だが東海道線は混んでいるのだろうと思っていたのだが、東京の近くの東海道線とはだいぶ違うようだ。名前は確かに東海道線なのだが、車両が違うし編成車両数も少ない。こちらを走っているのは東京では見たことのない117系という車両で、顔がどことなく踊り子に使われている185系特急に似ている。白の車体にJR東海カラーであるオレンジの鮮やかなラインが入っている。中はすべてボックスシート。ロングシートって本当に都会に近づかないとないのかも。
 しっかしこのあたり、保線がなっていない。揺れる揺れる。まさか車両のせいなのか?
 それはそうと

おみやげ買ってないや(^^;

 豊橋を出てから気づき、時すでに遅し。昨日から買わなきゃ、買わなきゃと思いつつ豊橋まで行ってしまったんだった。ま、俺の旅は会社の人に理解されているので、どこの土地の物を買っていっても問題ないだろう。というわけで、途中でウナギパイを買うことに決定し、せっかくなので浜名湖に降りることにした。
 このあたりの東海道線はいつも夜行列車でしか通らないため、ちゃんと景色を見るのは初めてだ。浜名湖をどうやって渡っているのかと思ったら、なんと水面から大して高くない高さの橋が海沿いにかかっていた。これって、波が来たらかぶっちゃったりしないのか? 車道なんて線路よりもさらに海側にあって、台風の時なんかは絶対に通りたくないって感じだ。
 どこで降りようか悩んでいたのだが、ちょうど浜名湖の中にある弁天島駅で途中下車。ここで雨が降ってきた。朝立ちなのかわからないが、ちょっと強め。駅で雨宿りし、やむのを待ってから浜名湖の見えるところへ。弁天島は浜名湖の中にある島みたいなところで、リゾートパークみたいな施設がある。弁天島というだけあって、弁天神社らしきものがあったのだが、阿瀬見がなんか乗り気じゃないので、その辺をちょっと散歩し、キオスクでウナギパイを買ってミッション終了とする。
 次なる目的地は金谷駅。大井川鉄道のある駅と行った方が通りはいいだろう。横浜に住んでいるので、大井川鉄道は案外近く、いつでも行けると思っているのだが、なかなか行けてないのが現状だ。
 ちょっと様子を見るつもりで途中下車。このころには天気はすっかり回復し、容赦のない夏空。少し天気が悪いぐらいの方が雲が出ていて写真は見栄えが良くなる(笑)
 大井川鉄道はSLを動態保存しているほか、いろいろなところから車両を買い集めて運行している変わった路線だ。半分は趣味なんじゃないかと思うが、あたらずしも遠からずというところだろう。運賃表を見るとその料金の高さにちょっと苦笑い。途中に他の会社の路線もないので、行ったら絶対帰ってこなくちゃ行けないことを考えると片道で2kはちょっと高い。しかも往復割引とかフリー切符とかはなしだ。ま、それでも利用客がいて、SLを動態保存できるだけの資金を集めているのはすごいと思う。値段に関係なく、乗ってみたいと思うところもある。
 SLは毎週を運行されているのでそれほどの混雑はなく、券さえ買えればSLに乗れてしまうようだ。うーん、乗りたいが、行ったら終点まで行きたくなるし、そしたらアプト式にも乗りたくなる。東海道線の終電になら間に合いそうだが…、うーん、やっぱ今度にしよう。と5分ぐらい悩んでしまった。
 まだSLが来るまで1時間ぐらいあったので、駅の近くでおもしろそうなところがないか物色する。
 するとありました。東海道旧道。どうやら石畳の旧道が残っているらしい。さっそく行ってみることにする。
 10分ほど歩くと、いきなり石畳の道が現れ、隣には駐車場がある。車で来て、石畳を歩いてねって寸法らしい。石畳に突入するも、

こりゃぁ歩きにくい…(^^;

 石畳を構成しているのは普通の丸い石であって、面取りされていない。しっかりと固定されているために、かえって河原なんかよりも歩きにくいかもしれない。足元を見ながら、次に着地する場所を決めて歩いていかないといけない。昔の人はまじでこんな道を歩いていたのか? こけで滑りやすいし、目は疲れるし。こんなの一日中歩いていたら、頭がくらくらしてきそうだ。近眼で乱視の俺にはちょっとハードな道だ。
 でも杉並木の中にあるこの道は涼しい。さっきからずっと急な登り坂だが、この涼しさだけが味方って感じだ。かなり急な坂なのですぐばてる。しかも道に終わりが見えず、延々と石畳が登り坂を構成している。いったいこの先に何があるんだ? だいたいそう思い始めるのはくじけている証拠だ(^^;
 行ってみたい好奇心半分、戻った方がいいという慎重な意見が半分。たぶん坂を上りきったとこまで行けば終点が見えるんじゃないかなぁと思うのだが、阿瀬見のばて具合がひどいようなので引き返すことにする。阿瀬見は疲れたとか戻ろうとか言わないのだが、明らかにそう言う雰囲気を漂わせている。帰りたいなら帰りたいと行ってくれた方が楽なのだが…。
 そんなこんなで駅まで引き返す。下りは上りほど時間がかからず、近い感じ。でもこけで滑りやすいのだけは注意が必要だ。サンダルは危険なので、ちゃんとした靴を履くことをおすすめする。
 駅に戻るとちょうどSL C11が入線してきた。SLはホームに入りきれず、前からの写真を撮ることはできない。東海道線のホームの方が長いので、そっちから撮影を試みるも、まだ届かない。なんか草がジャマで撮れないし。

東海道線ホームからわざと撮れないようにしてあるのか!?

 っていうのはちょっと深読みしすぎか?(笑)
 SLはバックする形でホームに入ってきているのだが、その一番後ろ、入線してくるときには先頭になるわけだが、こちらには電気機関車がつながれていた。SLの補助としてELがついてくるのはよくあることだが、この電気機関車もかなりの年代物のようだ。東海道線のホームにいたので形式まで見ることができなかったのだが、見るからに古そうだ。色も濃い茶色。なにやら専門用語では「葡萄色」というそうなのだが、どの辺が葡萄の色なのか、理解しかねる。客車もぼろぼろだ。とにかく全車両とも塗装をやり直した方がいいと思う。やっぱこの辺までお金がまわらないんだろうな。JRは綺麗な客車を牽かせているけど、やっぱお金があるのね。でも、お金のない分、客車には一切改造が加えられておらず、エアコンなどついていない様子。窓全開で走り、トンネルだけ窓を閉める。そんなSL気分は満喫できそうだ。JRにも見習って欲しいものだ。この窓から顔を出してはしゃぐ子供を見れば、エアコンよりも大切な物ってあるんじゃないかなと思ってくれるかな?
 さて、ここから先はいつもの113(111?)系。深い緑色にオレンジの窓ラインのおなじみの塗装だ。なんか帰ってきたんだなぁと感じる。…って、これ、東海道線じゃなく、御殿場線じゃんか(^^; 色は同じだが、顔の塗り分けがちょっと違う。東海道線はオレンジの部分が逆三角形のようになっているのだが、御殿場線はT字になっている。行き先は御殿場になっているし、間違いなく御殿場線だ。
 とりあえず沼津までは御殿場線も東海道線も一緒なので乗り込む。次の途中下車はどこにしようかなぁ、時刻表を見て焼津に決定。金谷から何駅もないのであっというまに下車。
 目的はマグロ丼。焼津といえばマグロだ。小学校の社会で習った。他には何も習わなかったので、焼津にはマグロしかない印象がある。

そんな教育でいいのか、日本

 ここで教育論を話すつもりはないので、さっそくマグロ丼を求めて歩き出す。

とりあえず港に行けばあるだろ

 このあたりのガイドブックは持っていないので、かなり乱暴である。港があると思われる方角に歩くこと15分。ちっとも海っぽくない(^^; あきらめずにもう少し進むとようやく潮の香りがしてくる。あぶねー、引き返さなくて良かった。地図がないのでよくわからないのだ。迷ってしまったかと思った。
 海が見えて港の近くまで来た。しかし、寿司屋はあったがマグロ丼屋はない。おかしい、焼津に行けばこれでもか、というぐらいマグロマグロマグロと書いてあるものだと想像していたのだが、人通りもなくえらい静かだ。不況でマグロ漁船でていないのかなんて考えも浮かんでくる。
 と、ようやくそれらしい建物発見。どうやらホテルか何かのようだが、マグロ丼ののぼりが立っている。よしよし。
 今日も蒸し暑く、汗だくになっていたので食堂に入るとかなり寒かった。
 ホテルの1Fに食堂が併設されているよくある形態のお店だった。さっそくマグロ丼とビールを発注。都内で食べるマグロ丼と特別にうまさが違うわけではなかったが、普通にうまかった。なにより

焼津でマグロ丼を喰うことに意味がある!

 それをクリアできたことに意義があると確信している(笑)
 焼津はマグロ丼のみ(笑) また駅に戻って東海道をひたすら進む。
 軽い途中下車と言いつつ、石畳やマグロ丼の道のりが結構大変だったので疲れる。この暑さの中を歩くのはよけいに疲れる。シャツだけでなく、リュックまで真っ白に塩吹いている。アクエリアスやポカリで塩分補給しないと、まじ倒れるって(^^;
 もうすっかりやるきなしだったので、東海道線に揺られ揺られて…。このままだとかなり早い時間に戻ってしまいそうだな。まあ、それもよしか。
 東海道線の車窓を昼間に見ることがないので、できるだけがんばって起きている。阿瀬見は寝ていた。途中、根府川駅でよい景色があったので撮影。青春18切符の旅にふさわしい一枚が撮れた。
 東海道線は静岡からがかなり遠い。こだましか停車しないとはいえ、浜松、掛川、静岡、新富士、三島、熱海と新幹線の駅がいっぱいあるのは伊達じゃないようだ。青春18切符でなかったら、間違いなく新幹線を選択したくなる距離である。
 俺は横浜で旅を終えるが、阿瀬見は東京まで行く。始発の沼津から終点東京まで、ずっと乗っていくことはあまりないので楽しんでくれたまえ。
 今回、かなりの距離を普通列車で移動したが、旅日記には書いていない駅と駅の間の車窓風景がおもしろかった。「あれは何だろう」、「あ、この風景、写真で見たことある。この駅なのか」などといろいろなことを思った。
 青春18切符と言えば「夜間移動で距離を稼ぎ、元を取る」ものだとばかり思っていたが、真っ昼間に車窓を眺めながらってのもいいものだ。
 青春18切符、それはどんな使い方をしても「青春18切符」なのだろう。

各駅停車だが行き先は自由。
自分の思うままに進め。

 そんな人生の教訓のようなものを青春18切符は教えてくれている…のかも。
 

 SLを動態保存していることで有名な大井川鉄道。主役はC11だが、その一番後ろに連結されている電気機関車もかなりの骨董品。SLを動かすもうひとつのエネルギーがパンタグラフから流れ込んでいく。
(金谷駅ホームにて)

 これで向こうのホームに大きなカバンと後ろ向きの女性がいたら青春18切符ポスターだ(笑)
(根府川駅停車中に)

2001.07.20-07.22