鋼鉄の愛馬と魔法の書が君を四大陸へいざなう。
知らない場所、初めての街、さまざまな出会いが軌道の先にある。
シャレてる暇はない。さあ、出発の時間だ!
第070414号
2007.04.14-15

2007.04.14-15

・関東のガラパゴス 〜久留里線〜


 通常列車の後ろに風っこが連結された、風っこくるり号がキハの楽園久留里線を走る。他では見られなくなった様々なキハ達が生き残っている様はまさにガラパゴス諸島!
(上総松丘−平山にて 2007.04.14)

 レア車両ばかりの久留里線の中でも、レア中のレア、キハ30(写真は62号機)。筆者が学生の頃八高線で走っていたらしいのだが、その頃はてつでなかったため記憶も写真もない(T_T)
(久留里-平山にて 2007.04.15)

4/14(土) 八王子〜木更津〜上総亀山〜上総松丘〜木更津〜千葉

 この春はJRがちばデスティネーションキャンペーンを打ち出していて、房総半島にイベント列車が目白押しだ。特に何十年ぶりかで首都圏を走ったSLの話題は、マナーの悪いてっちゃんの大人げないニュースと共に地上波に乗って流された。筆者もSLには多少興味があるものの、混雑するなかでの撮影が嫌いなので、SLの時には千葉方面には近づかないでおいた(^^;
 そんなSLの熱が冷めた頃、久留里線にビューコースター風っこが走るという。改めて言うまでもないが筆者は気動車属性の持ち主なので、SLは放っておけても風っこは気になる。しかも、あの久留里線を走るとなればもう放っておけるはずもない!
 久留里線は関東のJRの中でも数少ない非電化区間であるだけでなく、他では見られなくなった気動車達が生き残っている軌跡の路線なのだ。

まさにガラパゴス!

 そんな珍しい気動車達がいて、しかもこの近さなのに、どういうわけか久留里線には一度しか行ったことがない。気動車達が引退するという話にでもなれば是が非でも行くのだが、やはり普段は他の余命幾ばくもないキハ達を撮りに行くのが忙しかったりして…。まあ、近いと言っても結構遠いというのが本音なのだが(^^; 今回のようにイベント列車がついてくれば、そのついでということで、ようやく出動とあいなるわけである。
 ちなみに、その初めての久留里線に行ったときと言うのが、旅日記で初めての欠番となる「0012号」で、なんと2001年の事である。その時点ですでにレアなキハ達の集うガラパゴス状態だったことを考えると、あれから6年も経ってなおこのキハ達が引退していないのがどれだけすごいことかがわかるというものだ。その当時、そろそろ気動車属性に目覚め始めた筆者は、珍しいキハをきちんとした写真に残そうと、フィルムカメラをひっぱりだして出かけたのを覚えている。この頃のデジカメはまだまだ性能が低く、銀塩写真とは比べ物にならなかったのだ。しかし、そのフィルムは行方不明となり、旅日記に欠番が生じたのだった。

っていうか、現像した記憶すらないんだが…ぉ

 そもそも筆者はフィルム管理が苦手だったために、まだまだ性能が不十分だったデジカメに早々に乗り換えたのである。データは結構マメに管理できるんだけどなぁ(^^; フィルムに限らず、物理的な片づけができない筆者であった…。

 さて、いつものように前置きが長くなったので、ここらで走馬燈を止めて、今回の話に戻そう。
 いつものように数日前に思い立ち、旅程をたてる。せっかく行くのだから風っこを撮るだけというのももったいない。行きは例の「ちばデスティネーションキャンペーン」に合わせて走っている臨時列車「あやめ81号」を使うことにした。高尾と鹿島神宮を、ジョイフルトレインの485系改 ニューなのはなで運行される特急列車だ。特に好きな車両という訳ではないが、団体列車で使われることが多いために、一般に乗れるチャンスが多くないのた。快速ならば特急料金がいらないところなのだが、残念ながらあやめは特急なので特急料金がかかる。とは言え、千葉までならば目ん玉の飛び出るような料金にはならないので、ここは大人らしく豪気にいこう(笑) そして豪気ついでに宿も取ってしまう。何故なら週末に使えて便利で安い「ホリデー切符」の有効範囲は木更津までで、久留里線は含まれていないため、日帰りしても特に交通費がお得にならないのだ。どうせ往復運賃がかかるのなら、いっそのこと満足行くまで撮影してしまおうというわけだ。

ま、日帰りするのが面倒ぉ

というのが、本音だが(^^; 本当は木更津に宿を取ればよかったのだが、千葉からの始発に乗れば久留里線の始発に接続していることがわかったので、いつも使っている東横インに泊まってポイントを稼いでしまおうという作戦だ。この時、早起きするのが大変という考えがないのは、もうすでにおかしいのかもしれない…。
 ただ、あやめに乗るので1日目は始発でなくてよく、…なのに0630頃に出発。貨物を撮りつつ、さらにあやめ送り込み回送も見学してしまう(^^; ま、天気が良かったし、なかなか楽しめた。


 雨上がりで空がとても澄んでいた。朝日を受けて濡れた車体が輝く、JRFの新しい更新色のDE10 1189号機。
(八王子駅にて 2007.04.14)

 485系改 ニューなのはなの車内。グリーン車仕様なので座席の間隔も広く、至極快適♪ 誰も乗ってませんなぁ(笑)
(八王子駅にて 2007.04.14)

 あやめ81号は予想通りガラガラ。

ってか、誰も乗ってないよ!(笑)

 大丈夫か?「ちばデスティネーションキャンペーン」…。せっかくの広い座席と大きな窓なので、のんびりと車窓を眺めてくつろぐ。ただ、時々停車したときにホームから視線を浴びるとちょっといたたまれないのが…(^^; 特急なのでそれなりに早く千葉に到着。だが、特急料金に見合うだけの時間短縮かといわれれば、微妙な感じではある。もちろん、乗り心地とかの料金も込みなので、こんなものなのかもしれない。千葉からは、まだ引退していなかったのかと驚きつつ、111・113系電車で木更津へ。

 と、ここまで書いたところで旅日記が終了していた(^^; 5/22の筆者に何があったのか? タイムスタンプを見るに、どうやら就寝した模様だが、この後、ずっと完成した物と思って手を着けられることはなかった。そして、時は過ぎて9/23の秋分の日。前回の旅をおさらいしようとホームページを見ると、久留里線の旅日記がない…。そして、この中途半端に書きかけの旅日記を見つけたという次第(^^;
 いやぁ、思いこみってあるよね!?
 とりあえず、この秋の久留里線を書く前に、春の久留里線の旅日記を完成させてしまおう。というわけで、随分と時間が経ってしまっているので、この前後で生じる違和感についてはご了承を。

 木更津ではちょうど「風っこ」の入線および、連結作業が行われており、ホームは人でごった返していた。予想していたよりも人が多く、楽勝で乗れると思って予約してこなかったのをちょっぴり後悔。窓口に行って見るも、やはり指定席は満席ということでとれなかった。
 しかし、風っこは定期運転の列車の後ろに連結される形での運行になっており、前の普通の列車には指定席券なしで乗車できるとのこと。んじゃぁ、空いてるしそっちでいきますか。
 風っこはキハ48系なのだが、久留里線のキハ30,37,38とは系統が違うためか電気系統がうまく繋がらず扉の開閉ができないらしい。木更津駅では駅員が手動で閉めたのだが、途中の駅では扉は開閉できないので、降りる際には前の車両からお願いしますとのアナウンス。それでいいのか!?という思いつつ、この平和さが久留里線なのだなと微笑ましく思ったり(笑)

 久留里駅で若干の降車客がいたが、ほとんどの乗客は終点の上総亀山まで乗車。終点でも扉が開かずに前の車両から下車。って、ホームの長さも足りないわけだが(^^; 風っこはこの駅で夕方までお留守番。風っこの切り離し作業を見学してから、付近を探索に出る。
 静かな里山風景。ちょうど田んぼに水を張って田植えの準備をしていた。
 このあたりは田園地帯の多い久留里線のなかでも一番山に近いので、道路と線路が離れていて、あまりてつには向いていない。列車も久留里よりも先、上総亀山のほうまでは本数が激減するため、てつというよりもただのハイキングだ(^^;
 それでも、本数の少ない列車をきちんとシュートしつつ、隣の駅である上総松丘に到着。しかし、ここまでの間に4両編成となる「風っこくるり号」を撮るのに適していそうなポイントは見つからずじまい。幸い時間もまだあるので、もう少し久留里側に歩いていくことにした。と、ちらほらと他のてっちゃんを見かけるようになった。そして見つけたのがトップ左側のポイント。後ろに国道が入ってしまうのは頂けないのだが、区画整理されていないのどかな田園風景と、緑が芽吹く山がバックなのでよしとした。もう少しきちんと水鏡にできるとよかったのだが、さすがにそこまでは贅沢というものだろう。残念ながらお目当てのキハ30ではなく、キハ38が先頭ではあったが、無事に風っこくるり号をシュート。というか、本当は右のトラクターが動き出してしまい、そこはそれ、せっかく三脚を持って行ったので、トラクターが動く前の画像と合成してできあがり(^^;

全然無事じゃない!(笑)

 んでもって、今日はキハ30をちゃんと撮れなかったので、明日リベンジすることにする。


 気持ちよさそうに水浴びをするキハ30 62号機。さっぱりしたところで走ってくれることを切に願う。
(木更津にて 2007.04.14)

 嘘くさいぐらいの青空の中を走るキハ38の3号機。
(上総亀山−上総松丘にて 2007.04.14)


 ローカル線の象徴でもある遮断機なし・警報機なしの踏切。誰も通らないので道の真ん中まで菜の花に占領されている☆
(上総亀山−上総松丘にて 2007.04.14)

 こんな風景がこんなに近くにあるもんだなぁと驚いた。田んぼにはカエルの卵がたくさん産み付けてあった。うちの実家もかなり田舎だったが、ここまでたくさんの卵はなかったなぁ。
(上総亀山−上総松丘にて 2007.04.14)


 新緑が美しい。列車の本数も少ないので、撮り鉄というよりもすでにハイキング状態(笑)
(上総亀山−上総松丘にて 2007.04.14)

 キハ37 1003号機。久留里線のなかでは冷房がついている数少ない車両。
(上総亀山−上総松丘にて 2007.04.14)


 久留里線にはトンネルはほとんどない。上総亀山−上総松丘間に長いのがひとつと、厳密にはトンネルではなく、上に道路が通っているこの隧道のようなものがひとつ。
 近くまで寄れなかったので、望遠で狙った。キハ38の1号機がトンネルを抜けてきた。
(上総亀山−上総松丘にて 2007.04.14)

 キハ37とキハ38の交換風景。夕日を浴びて車体が輝く。タブレット交換のために停車時間は長めだが、こののんびりとした雰囲気はなくなって欲しくないと思う。
(横田駅にて 2007.04.14)


4/15(日) 千葉〜木更津〜平山〜木更津〜八王子

 旅鉄の基本は始発列車。もちろん今日も始発列車に乗るべく、まだ暗い内に宿を出発。そもそも千葉からの始発に乗らないと久留里線の始発に接続できない。
 木更津駅に着くと、そこにいたのはお目当てのキハ30! 花輪線に続いて、またやってしまいました(^^; 撮りたい列車に乗らなければいけないというこのジレンマ…。本数が少ないだけに痛い(T_T) まぁ、走っているだけ昨日よりかはマシなわけだが。まぁ、逆に言えば撮る列車には普通は乗れないので、これも乗るチャンスだと思えばいいか。キハ30の扉は戸袋に入るのではなく、外のレールに沿って開閉する昔のタイプ。車体から扉が一段出っ張っているのが特徴で、面を見なくても他のキハ達とは区別がつく。扉以外の部分はキハ20や52よりも少し今風のデザインに感じる。行き先幕がついてるからかな? でもやっぱりこのブタっ鼻の2灯はいいなぁ。
 横田駅でタブレット交換を撮影しつつ、今日も久留里よりも先へ。久留里までは列車の本数も多いので

1時間に1本を多いと言うかどうかは別として

 撮影するには向いているのだが、気になっている良さそうな鉄橋が久留里の先にあるのだ。


←左  久留里線はタブレット交換をしている数少ない路線。さすがにポイント切り替えは手動ではないようだが、写真のように駅員さんがタブレットを手渡すシーンが見られる。車両はキハ30 62号機。
(横田駅にて 2007.04.15)

↑上 これが筆者の運命なのか、乗る始発列車がターゲットのキハ30! いやー、花輪線でもそうだったけど、このパターン多いなぁ…(^^; ま、乗れるのも嬉しいんだけどね。
(平山駅にて 2007.04.15)

 平山駅で下車し、とりあえず鉄橋とは逆の上総亀山方面へにも行ってみる。今乗ってきた列車の返しを撮るためだ。列車はすぐに折り返してくるので、時間的にいい場所は見つけられず、とりあえず適当にシュート。が、それでも芽吹き始めた木々が後ろに入ってくれるので画になる。久留里線、なかなかグッドですよ♪
 そして気になる鉄橋を探して歩く。ここも線路沿いに道はなく、国道を進まなければならず、撮影ポイントが見つけにくい。しばらく歩くと国道が川を越えた。…ってことは行き過ぎなのか?

たぶんこの辺を入っていけばいいんじゃね?

 適当な横道にダイブ。これまで幾多のロケハン経験を積んだ事により、筆者の勘は最近じゃなかなかの的中率を誇っているのだ。

普段から下調べをさぼっているから身に付いたスキルかも(^^;

 そう言えば花輪線で車に乗せてもらった人は、撮影ポイントをあらかじめ調べて、サンプル写真と一緒に印刷して持ってたっけなぁ。ま、そういうのは向いてないって事でぉ
 どんどん木々が多くなり薄暗くなって行く道。少し不安だったがそのまま進んでいくと田んぼが見えてきて、その先に線路があった。そして目的の鉄橋もそこに。おお、やっぱり何とかなった(笑)
 ここに三脚を据え、朝乗ってきたキハ30がやってくるのを待った。幸いなことに1時間後にやってきた列車がキハ30だった。それがトップ右の写真。やや光の加減が微妙だったのだが、とにかくキハ30が撮れたのは良かった。
 さらにここで1時間後の風っこくるり号を待つ。4両編成の場合、キハ30と同じ構図にしてしまうと肝心の風っこが後ろの2両であるため、まったく写らないという悲しいことになる。少々遠いが望遠で狙うか、それとも引いて大きく風景を入れるか。が、引くと左右にいらない物がたくさん入ってくる。
 話は変わるが、ちょうどこの時期、筆者には欲しいと思うコンパクトデジカメがあった。今はもうその熱も冷めてしまったが、RICOHのCaplio GX100というやつだ。そいつの機能の中に縦横比1:1で撮れるモードがある。また、いつも買っている雑誌のコーナーにこれまた縦横比1:1の写真を紹介するコーナーがあった。
 この構図、これこそはその1:1で撮ったらいい感じなのではないだろうか。そう思い、撮影する前から1:1にトリミングすることを前提にしたフレーミングを行った。残念ながら天気の方が持たず、曇ってしまったためにトップ画にはなり損ねた物の、しっくりと思い通りに構図の決まった風っこくるり号。今日もキハ30は連結されていなかったが、ヘッドマーク付きの貴重な画像をゲット。


 駅近くの跨線橋から折り返してきた列車をシュート。今度はキハ38が先頭だ。
(平山駅付近にて 2007.04.15)

 鉄橋の反対側はこんな感じ。画面左側の山を避けるように大きくS字を描いていてなかなかよい。
 写真のキハ37は非常にレアな車両。量産型の生き残りであるキハ30は昔は八高線をはじめとして各地で活躍した車両だが、このキハ37は数台試作されたものの量産には至らず、ここ久留里線でのみ見られる車両だ。また、久留里線の車両の中では唯一の2ドア車でもある。
(平山−久留里にて 2007.04.15)



 待ってる間に見つけたアマガエル。5Dは青空はいまひとつな色なのだが、黄緑は非常にいい色を出してくれる。
(平山−久留里にて 2007.04.15)

 1:1に切り取った、キハ38にヘッドマークを掲げた風っこくるり号。横構図では後ろの山の若葉と桜が入らなかった。久留里線カラーと風っこのカラーもなかなかよいコンビネーション。それにしてもこれは本当に貴重なショットだと思う。
(平山−久留里にて 2007.04.15)

 この後、天気が回復する気配がなかったので、撮影を切り上げて撤収。キハ30と風っこくるりが撮れたことで満足したというのもあるが、また天気のいい日に来ようと思ったのが撤収の一番の理由だ。日帰り可能域にこれだけの風景と、これほどまでにも貴重なキハ達がいるならば、来ないという選択肢は存在しない。

というわけで、今年2回目の久留里線へと続く!


2007.05.22+2007.09.23記