鋼鉄の愛馬と魔法の書が君を四大陸へいざなう。
知らない場所、初めての街、さまざまな出会いが軌道の先にある。
シャレてる暇はない。さあ、出発の時間だ!
第070210号
2007.02.10-13

2007.02.10-13

・惜しまれてキハ5258 〜花輪線〜


 湯瀬温泉郷を後にし、湯瀬渓谷へと向かうキハ52、国鉄色の149号機。雪景色の中、鮮やかな国鉄色はよく映える。
(湯瀬温泉駅付近にて 2007.02.13)

 天気予報は曇り&雪だったのだが、奇跡的に朝日が差し込んだ瞬間にキハ52の3連が! 後ろの山は南部富士とも呼ばれる岩手山。花輪線に来てこの山を絡ませて撮らない手はない。
(大更-東大更間にて 2007.02.11)

2/10(土) 八王子〜盛岡〜平館〜松尾八幡平〜盛岡

 来月のダイヤ改正に伴い、花輪線に水郡線からキハ110系が転属し、キハ52とキハ58が撤退することになった。このホームページを見ている人はご存じと思うが、筆者はキハ52のファンである。そして、花輪線のファンでもある。一時期は毎年のように通っていたのだが、岩泉線や大糸線のキハ52を撮りに行っているうちにすっかり手薄になってしまった。花輪線にはキハ52だけでなく、キハ58も走っていることから、キハ52遭遇率としてはそれほど高くないからだ。

でも、撤退するとなればとにかく撮りに行くしかない!

 というか、キハ58だってキハ52以上に貴重な車両であり、日本全国を見てもそうそう走っていないのだ(^^; その両方が撮れるとなれば喜んでしかるべきだろう。
 今回もいつも通りに事前の準備を怠り、数日前になんとか宿を押さえたという有様。しかも、一番のメインである湯瀬温泉の宿が3連休は満杯で、勢い余って3連休の翌日にも旅程を入れてしまった(^^; しかし、温泉街の宿が埋まるほどの客を予想していなかった。

みんなそんなに花輪線を撮りに来てるのか!?

 と思ったら、実際は冬の国体が開催されていて、湯瀬温泉の各ホテルには各県の選手団が入っていた。この国体がちょうどこの3連休+1日に被っているのだ…。いやぁ、びっくりしたなぁ。
 しかし、さすがに3連休とあって、朝一番のこまち・はやて1号の座席は売り切れで、臨時の71号があったのでこれにしたのだが、東京発0600ってのは中央線の始発でないと間に合わないような早朝便だった。さらに

いつものことだが前日には飲み会が…

 と書いてもあまりに毎度のことなので、常連の皆さんにおかれましてはもはや驚くこともないかもしれない(^^; しかし、筆者も大人になったもので2次会には行かずに(というか、なかったのだが)早々に撤収して旅支度を調え、いざ花輪線へ出発!


 ちなみに一年ぶりの旅日記であり、すでに通し番号がどうなっちゃってるのかわからない状態だったので、今回からたびてつに出発した日を旅日記の号数とすることにした。

掲載していない号が7万もあるわけではないので注意だ!


 睡眠不足を補うべく、始発の中央線、あとで読み返す頃には懐かしい車両となっているであろう201系で爆睡。若干の二日酔いだったのでビールは遠慮してお茶で駅弁を頂き、盛岡までしか行かないのに例によって車両の好みだけで選んだE3こまちでも爆睡。そんなこんなであっという間の盛岡着だった。…寝てるんだったらどの車両に乗ったって関係ないじゃん…。
 盛岡に降り立つとさすがの寒さ。暖冬とはいえ東京よりも寒くて当然か。今回は雪道と車中泊での凍死を恐れてレンタカーは借りずに、久しぶりに鉄道と徒歩で回ってみることにしていた。寒空の下でローカル線を1時間も2時間も待つことを考えて、防寒対策には万全を期してきているので、この程度の寒さならば大丈夫だろう、たぶん(^^;
 はやてが八戸まで延伸した時に、盛岡−好摩間は3セク化され、いわて銀河鉄道(IGR)になってしまったため、一度JRの改札を出てIGRの改札へと回る。山田線はJRだが、IGRへ乗り入れて盛岡まで来ているという扱いらしい。ホームにはカメラバックと三脚という、一目で同業者とわかる装備の人達がたくさんいた。みんな考えることはいっしょですなぁ(^^; ま、これだけのローカル線なら多少撮影者が多くても撮影場所に困るようなことはないだろう。

架線柱もないし、基本的にどこでも撮影地だ(笑)

 キハ52に乗り込んで、ディーゼル音を堪能しつつ平館(たいらだて)で下車。ここから適当に撮影地を探しつつ、安比高原方面へと歩いていく。筆者しか下車しなかったのは、おそらく他の同業者は割と有名らしい松尾八幡平駅か安比高原駅付近で撮影するつもりなのだろう。まずは反対方向から来る盛岡行きの列車を、駅近くで見つけた開けたポイントで迎撃。予想していたよりもずっと雪が少なく、田んぼのあぜ道には容易に入っていくことができた。スキー場を見ても雪がめっちゃ少ないなぁ…。去年の豪雪を取っておけたらいいのにねぇ。


 あまりにも見通しが良く、遠くからでもキハ52だとわかった。三脚を使わず、手持ちでまず望遠にて撮影。キハ52 108号機、盛岡のいわゆる赤鬼色。後ろに連結されているのはキハ58。この組み合わせもそのうち貴重なものとなるだろう。
(平館駅付近にて 2007.02.10)

 引いて、安比スキー場をバックにしてもう一枚。スキー場ですらコース以外にはほとんど雪がないという惨状。
(平館駅付近にて 2007.02.10)

 さて、次だ! と気合いを入れたいところだが、こいつが午前中最後の列車(笑)

軽く2時間待ち

 お昼時は列車が走らないという、ローカル線お得意のダイヤだ(^^; まぁ、この時間を利用してロケハンをするかぁってぐらいの余裕が必要だ。しかし、平館から北森を経由しつつ松尾八幡平まで歩いてみたが、景色は今ひとつ。安比高原駅の近くにある有名な俯瞰ポイントもこの時間では岩手山が見えないし、というか、さすがに安比高原までは歩くにはきつい距離だ。松尾八幡平から安比高原方面にかけては民家や電線がなく、撮影ポイントとしてはまずまずだったので、安比高原までは行かないまでもちょっと足を伸ばしてみることにした。すると松尾八幡平の先にある最初の踏切で、ちょうど次の快速八幡平が順光で撮れそうだった。さらに快速の後、すぐに来る逆方向の大館行き列車も撮れそうな感じなので、今朝コンビニで調達しておいた、凍ってるんじゃないかと言うぐらいよく冷えてしまったおにぎりをかじりながら列車を待った。
 快速の方はキハ58赤鬼色が先頭で、残念ながらキハ52ではなかった。でもこれって、キハ52だと方向幕そのものがないから快速表示できないんだなぁ(^^; 大館行きの列車の方は逆光になってしまうので、どうせなら全部影になってるところでシュートしてしまうことに。急勾配の山陰を望遠で引っこ抜こうと三脚を立てた。が、電柱や架線と言ったものがないので、列車の大きさがさっぱり想像できない。広角ならば上がはみ出ることはないので適当でいいのだが、望遠で列車をアップにする場合は上下が問題だ。適当に見当をつけて画角を決めておいたのだが、いざ列車が来てみると全然収まらないことが判明! 慌てて三脚の固定を解いて自由雲台のようにした状態で即座にフレーミングしてなんとか収めることができた。あ、あぶなかったぁ…。架線がないのは嬉しいんだが、フレーミングが難しい。しかも、一本前の列車で練習とかできない過疎ダイヤなので、基本的に一発勝負。少し余裕を見て後からトリミングした方が賢明だ。
 ちなみに今回の機材はすっかりお気に入りのPENTAX K10D。本気撮影なのでCANON EOS5Dを持ってこようかとも思ったのだが、風景と絡めて撮ることが多いローカル線の場合、標準〜広角の出番が多くなる。となると5Dの場合は必然的にEF28-135 F3.5-5.6 IS USMを使うことになる。が、どうもこいつがしゃっきりしない写りで、今ひとつ嬉しくない。まぁLレンズでもない5倍ズームレンズに写りを期待するなと言う話もあるが…。その点K10Dの広角〜標準レンズは普及レンズよりも一段上の写りをするDA 16-45mmF4ED ALがある。45mmってのは35mm換算でも約70mm、ちょっと短いっちゃぁ短いけど。今回は毎日10kmぐらいは歩くことになりそうなので、レンズを含めた機材の軽さも重視し、割と写りも気に入っているK10Dの1台態勢ということになった。うーん、本当は風景撮るならフルサイズの5Dのほうがいいんだけどねぇ。EOSのいいレンズは高くて揃える気がしないのであった。
 K10Dもオーバー1000万画素機なので、トリミングに対する耐性は必要十分だ。


 花輪線で最も長い4両編成のメインイベント的存在、快速八幡平。今日は赤鬼色のキハ58 1514号機が先頭、2両目もキハ58、後ろにキハ52が2両という編成。快速幕が誇らしげ。
(松尾八幡平−安比高原間にて 2007.02.10)

 しばらく後に反対側から坂を登ってきたのは非赤鬼の白いキハ58。更新されている赤鬼色よりもオリジナルに近い車両らしい。ただ、筆者としてはやっぱりキハ52先頭で来て欲しい(^^;
(松尾八幡平−安比高原間にて 2007.02.10)

 この2本の後もまた2時間待ち。しかもこいつに乗って宿へ向かうか、それとも日没コールドかバルブ覚悟でもう一本遅らせるか? というぐらいの時間になってしまう。乗るかどうかは別にして、次の列車は松尾八幡平駅で列車交換があるので、その風景を撮るためにも駅へ移動する。
 駅には数人の同業者がすでにおり、彼らと

鉄話に花を咲かせているといつの間にか2時間経過(笑)

 うんうん、これもローカル線の楽しみのひとつだ。都心のイベント列車と違って殺伐としてなくて良い♪
 結局日が陰ってしまい、風も出てきて、これで1時間待ちとかは勘弁ってことで、交換風景を撮って素早く乗車。車掌さんがちょっと待ってくれた。ありがとうございます、車掌さん。
 キハ52好きの筆者は、最後尾のキハ52に乗りこみ、やっぱツインエンジンだよなぁ、とか浸っていた。そしたらしばらくしてさっき駅で鉄話をしていた人達が車内を移動して筆者と同じ車両にやってきた。キハ58にはさっき乗ったので今度はキハ52に乗ろうと思ったとのこと。

いやぁ、お互い「てつ」ですなぁ(笑)



 松尾八幡平駅に入線する白いキハ58 1507号機と赤鬼色のキハ52x2。大糸線や岩泉線は基本的に単行なので、3両でも長い編成な気がしてくる(^^;
(松尾八幡平駅にて 2007.02.10)

 松尾八幡平駅での交換風景。左の写真の最後尾、キハ52 146号機と、交換相手は国鉄色のキハ58。盛岡のキハ52は大糸線のキハ52と異なり、スノープロウ(雪かき)が『<』でなく『/』なのがカッコイイ。
(松尾八幡平駅にて 2007.02.10)

 今日は盛岡泊。いつもの東横インだ。少なめの睡眠時間のリカバリー、明日以降の徒歩行程を考え、コンビニ弁当を食べてさっさと就寝。あっという間に爆睡モード。ほんと、便利な体質だなぁ。

2/11(日) 盛岡〜大更〜好摩〜大館

 旅鉄の基本は始発列車。もちろん今日も始発列車に乗るべく、まだ暗い内に宿を出発。
 出発の前からこの朝は岩手山をバックに入れた構図を撮ろうと決めていたのだが天気が微妙。とりえあず始発列車に揺られながら、車窓から空ばかりを眺める。ちなみに始発列車は白いキハ58の2両編成。好摩付近でようやく少し空がまともに見えるようになって、うっすらとだが岩手山が見えた。天気予報では曇りと言っていたが、なんとか山が見えそうな気がしてきた。昨日の車窓からのロケハンで、大更−東大更間で岩手山がよく見えていたので、大更駅で下車。ここから東大更に向かって歩きつつポイントを探すのだ。
 だいたい駅間の中間あたりから民家も電柱もない、割といいロケーションになってきた。むしろ東大更からの方が近いか…(^^; 途中、いつもやる時刻表のチェックミスにより、一本は慌てて撮ることになってしまったが、腰を落ち着けて撮影準備。徐々に雲が晴れていき、山にかかっている雲はどかなかったが、なんとか山バックと言えるショットをゲッツ。このページの表紙画像右側がその一枚。側面に日が当たらないのは仕方がないところだ。


 ポイントを探して駅間を歩いていたら、突然踏切が鳴った。よくしでかす時刻表のチェック漏れ。幸いにも線路から100mほどしか離れていなかったためなんとか撮影することができた。レンズは普段つけっぱなしになってるお気に入りの21mm Limited。線路脇の電線が邪魔だが、朝の雰囲気が感じ取れる一枚になった。白いキハ58。
(大更−東大更間にて 2007.02.11)

 岩手山がよく見えるポイントを発見。本当はもっと線路の近くで列車を大きめに写すつもりだったのだが、離れた国道から狙っていた先客のフレームに入ってしまうということで、国道まで下がらなくてはならなくなった。しかもちょうどズームレンズの焦点距離の谷間の画角だったため、45mmで撮ってトリミングせざるを得なくなった。
 後撃ちの国鉄色キハ58。トップ画像右はこの写真の次の列車。
(大更−東大更間にて 2007.02.11)

 今日の最大のミッションである岩手山バックをとりあえず押さえることができ、残る大きなイベントは国鉄色4両そろい踏みとなる快速八幡平。他の人的にはこちらが今日のメインイベントのようだが、キハ52目当ての筆者としては、それほど気合いが入らない。他の列車がキハ52先頭で来てくれることを祈りつつ、東大更を通り越してさらにポイントを探していく。東大更駅を過ぎてすぐの踏切からも岩手山がよく見えた。あとで目にした写真にはここで撮ったと思われるものがいくつかあった。ただ、このポイントは1.5両ぐらいしか入らないので、人によってはよろしくないポイントかも知れない。さらに進むと鉄橋が見えてきた。ここでいよいよ天気予報通りの曇りになり、雪もちらつき始める。こうなると風景を入れて撮影というのはできなくなるので、列車だけ大きく捉えるような構図になる。それならこの鉄橋が向いているだろうと言うことで、まだ列車まで1時間以上あったが、ここに腰を落ち着けることに。
 雪がちらつきさらに風まで強くなってきて、体感温度は一気に急降下。フードを被っての完全防寒体勢だというのに寒いのなんのって。動いていないと寒くて仕方ないので

無意味にうろうろする不審者と化す(^^;

 しかもようやくやってきた列車はキハ58…。いや、ね、貴重なのはわかってるんだけど、やっぱりキハ52で来て欲しかった。冷え切った体にさらに精神的ダメージまでも受け、もはやここでこれ以上撮影するのは無理。っていうか、ここから2時間待ちだし…(^^;
 止まっていると凍え死んでしまいそうだったので、天気は悪かったが風景撮りにむしろ向いている田園地帯へ移動することにした。元々晴れていれば快速八幡平は好摩駅付近のカーブで狙うつもりだった。ここだとちょうど順光になるポイントなのだ。しかし、曇っているとなると後ろの山もパッとせず、イマイチな画になってしまう。しかも、そのポイントまではここから4km以上ありそうだ。ここまで来るのでも結構疲れていたので、1時間も歩くのもどうかと考えさせられた。が、それを考えてもなお歩いて体を温めたいという願いが強かった。足が痛いのは我慢できるが寒いのはもう我慢できなかった。
 好摩までの道中も基本的に田園地帯だったのだが、国道がすぐ隣を走っており、しかも高圧送電線がドーンと立っていて写真を撮るには向いていなかった。結局予定通り好摩駅付近へとたどり着いてしまう。

文は1行だがすげー疲れたよ…

 営業キロで約9km歩いたことになる。ま、疲れたが体は温まり、むしろ暑いぐらい(^^; ああ、この暖かさを取っておきたい!
 割と有名なポイントらしく、同業者が5、6人いた。ただ、彼らはトンネルからの飛び出しを狙うらしい。筆者はせっかくの4両オール国鉄色ということで面がちではなく、横がちに撮るつもりなので彼らとは一人離れたところに陣取ることとなった。列車の時間が近づくに連れ、徐々に雲間が広がり、青空さえ見えてきた。それに伴い山よりも空を重視した構図へと変更。太陽のある位置がちょうど雲の通り道になっており、雲量が多いせいで光が差したり陰ったりするという条件。列車が来たときに日が出るかどうかは五分五分といったところか。踏切が鳴ったときは日が照っていたのだが、列車が通過するときにはわずかに薄曇りに。とはいえ、ソフトな順光でなんとかなった。いやぁ、危なかったなぁ。

それにしてもこの天気運の良さはすごいかも

 今日のイベントはこれで終了なので、疲れた体に鞭打って好摩駅まで到達。いや、ホントに疲れた…(^^; 5Dを持ってきて重装備だったら死んでたよ、きっと。またまた2時間待ちなのだが、好摩駅の周りにはこれと言って興味を引く物がないので、待合室の中でストーブにあたりながらボーっと時間を潰す。ここは東北本線なので、時折貨物列車が通過するのだが、貨物時刻表を持ってきていないのでいつ列車が来るのかさっぱりわからない。それにみんなEH500なので、寒さと疲労を押してまで撮りに行く気がしなかった。

とか思ってたら、一本だけED75の重連貨物が来たよ!(T_T)

 ああ、やっぱり貨物時刻表持ってきとけばよかったなぁ…。いや、今回はキハ以外撮るつもり全くないからいいんだ、と自分に言い聞かせてストーブにかじりついていた。


 昼から午後にかけては雪もちらつく曇天。後ろの風景は望めなかったので、列車を大きく撮ることに。非常に寒い待ち時間の後にやってきたのは白いキハ58 1533号機。フォンのカバーが旧タイプのものだ。
 それにしても今日はキハ52先頭の列車が来ない。
(東大更−好摩間にて 2007.02.11)

 昼間だというのに雲が厚く薄暗い。風も強くなり2時間以上の待ち時間を耐えるのは厳しそうだった。もしかしたら晴れるかも知れないと、わずかな望みをかけ、1時間以上歩いて順光ポイントへ移動。厚着のせいで歩いていると暑いぐらいだ。
 本日は快速八幡平が国鉄色で4両そろうということで、たくさんのてっちゃんがこの付近のポイントに陣取っていた。時間が近づくに連れ、自分でも怖くなるぐらいに雲が晴れてバリ順に!
(東大更−好摩間にて 2007.02.11)


 結局、大更から好摩まで歩いてしまった(^^; 好摩駅には昔ながらの石油ストーブが暖を提供していた。「ストーブにやかん」は「こたつにみかん」と同じく冬の風物詩だったのだが…。花輪線でも石油ファンヒータがほとんどになっているようだ。
(好摩駅にて 2007.02.11)

 大館に抜けようと列車で西進すると、急にものすごい雪に見舞われる。松尾八幡平での列車交換で入線してくるキハ52 147号機赤鬼色。快速八幡平の写真とのギャップがすごい…(^^;
(松尾八幡平駅にて 2007.02.11)

 2時間後にやってきた列車はなんとキハ52先頭。

乗る列車で来られてもなぁ…(T_T)

 天気運はよくてもキハ52運はない模様。どっちも欲しい所なんだが、世の中なかなかうまくいかない物だ。
 今日は盛岡とは逆側の終点、大館に泊まることになっているので、移動時間を考えるとこれか、次の列車で大館まで行く必要がある。明日以降の撮影のために車窓からロケハンするとなると、この列車で一気に大館を目指すべきだと判断した。ただ、この列車は昨日撮影した松尾八幡平での交換を行う列車なので、松尾八幡平で逆から来る列車を撮影するチャンスがある。
 列車に乗って今朝からずっと歩いてきた車窓を逆にたどる。一度歩いた場所だとすごくよく覚えている。車でのロケハンは確かに楽だし、広範囲を調べられるのだが、やはり徒歩でロケハンするのに比べたら広く浅くになってしまう。疲れるけど、歩くのも悪くないね。大更−好摩間はほぼ完璧にロケハンできたんじゃなかろうか。って、キハ52がいなくなっちゃったらもう撮影することもないかもしれんが…。
 列車が松尾八幡平に近づくと、さっきまでの晴れ間はどこへやら、急に激しい雪が降ってきた。もう松尾八幡平での列車交換時には視程が100mあるかないかの大雪に!

なに?この天気の変化っぷりは!(^^;

 まぁ、交換列車がキハ52先頭で、冬らしいショットを撮れて逆によかったけど。いくら筆者がキハ52好きとはいっても、これだけの雪の中、車ならまだしも徒歩で撮影に出ようなんて思わないからなぁ。機材が濡れるとかそういうことの前に、凍死するよ…。
 次第に暮れゆく車窓を眺めつつ西進。十和田南で花輪線名物のスイッチバックを行い、進行方向が変わる。驚きの声を上げるのが一般観光客、動じないのが地元民、

いつの間にか座る方向をスイッチしているのが「てつ」(笑)

 時刻表でチェックしていなかったが、この列車は大滝温泉駅でも列車交換があるようだ。こちらの列車が先に到着するということで、カメラを持って対向列車の撮影に挑む。どうにも暗くて流し撮りをするしかない。この状況でやってきたのは国鉄色のキハ58。今日はよっぽど国鉄色のキハ58に運のある日らしい。停車中の乗ってきた列車をバルブ風に撮影した後にカメラの設定を変えるのを忘れていて、ものすごいスローシャッターに設定されていたのだが、忘れていただけに意識することもなく肩の力を抜いて上手に撮れた☆ 雪の軌跡が写っていて、雪のスローシャッターはなかなかおもしろいことが判明。


 日が暮れるころ大滝温泉駅で再び列車交換。交換列車を待つキハ52。空がいい青に写った。
(大滝温泉駅にて 2007.02.11)

 交換列車は国鉄色のキハ58。交換風景を撮影するとこんな何もない駅に置き去りにされてしまうので、再乗車するために入線してくるところを流し撮り。ヘッドライトで浮かび上がった雪の軌跡。気付かなかったが1/4secとかいうとんでもないシャッタースピードになっていた。本人が気付いていないので緊張せずに良く撮れている(笑)
(大滝温泉駅にて 2007.02.11)


 ↑上 大館駅に到着すると隣のホームに寝台特急日本海が滑り込んできた。大雪の中、屋根のないホームの先へと走り、0.4secというシャッタースピードで無理矢理手持ちバルブ。この1枚だけが恐ろしいぐらいぶれずに撮れていた。機関車の色を出すためにベルビア調にして彩度をガンと上げたら、オレンジの照明が赤く幻想的な空の色を醸し出した。
(大館駅にて 2007.02.11)

 →右 乗ってきた列車がキハ52先頭で盛岡に折り返す。ヘッドライトがついた所を撮りたかったが、この寒さの中を30分待つ体力と気力はなかった。この時は気付かなかったが、後ろにキハ110系が写っている。
(大館駅にて 2007.02.11)

 大館駅に到着すると、隣のホームに貨物列車が入線、と思ったら、ブルートレインじゃぁありませんか!
 おお、なんだかわからんがとにかく撮影だ、とホーム端へダッシュ(^^; 屋根がないのでものすごい雪が吹き付けてくるのだが、かまわずスローシャッターを切る。ISOを抑えすぎていて0.4secという手持ちでそんな超スローシャッター切るなよ!という状況でとにかく何枚も撮影。

最初の一枚だけ良く撮れているという良くあるパターン(^^;

 何枚も撮った意味まるでなし…。ちなみにこのブルトレは日本海だった。

 久しぶりに来た大館駅。駅そのものはあまり変わったようには見えなかったが、駅前に新しい大きな道ができていた。以前来たときにちょうど工事をしていた道路だ。以前は線路(引き込み線?)を越えるためには遠くの跨線橋を使わなければならなかったのだが、この道のおかげで簡単に渡ることができるようになっていた。何度か行ったきりたんぽ鍋の店もこの道を通れば近いはずだ。今日の宿、ロイヤルホテルもこの道で線路を越えてすぐのところにあった。この宿、値段は普通のビジネスホテルと変わらないが、展望大浴場がついていてなかなか満足度は高かった。筆者の場合、屋根と壁とコンセントがあれば十分で、メシや部屋の豪華さはどうでもいい。そしてでかい風呂があればもう言うことはない♪ 明日も始発なので、すごい勢いで就寝(^^;

2/12(月) 大館〜扇田〜松尾八幡平〜湯瀬温泉

 昨日から今朝にかけて降った雪は、せいぜい1〜2cm積もっただけ。一面の雪景色は望めないが、その分撮影ポイントへ分け入っていく事への心配もいらない。今日は冬型の気圧配置となっており、昨日までの山の東側なら晴れなのだろうが、西側の大館では雪雲が低くたれ込めた状態。冬の日本海側は基本的にこんな天気なので、晴れを望むのは無茶というものだろう。
 今朝ももちろん始発列車。とは言っても大館からの始発列車は6時40分と随分と遅めだ。すでに明るくなり始めた駅へ行くと、ホームには国鉄色のキハ52が! しかも同色のキハ58とのオール国鉄色編成!

筆者が求めていた編成はまさにこれ!!

 おお!と思った瞬間、一気に失意の念が押し寄せてくる。

これ、撮りたかったよ…orz

 今朝の始発が遅めだったので、早く起きてタクシーで撮影ポイントへ移動し、始発列車を撮影するという案を昨日ちょっと考えていた。もしそれを実行していたのなら、この編成の写真を撮ることができていたのだ。そもそも面倒くさがらずにちゃんと列車の運用を調べるなり、寝る前に大館に着いた最終列車を確認しに来ていればこんな惨劇は避けられたはずだった(T_T) しかし、今からでは間に合わないので、これに乗ってポイントまで移動するしかない。
 以前岩泉線でも乗ったことのある149号機に乗って大館を出発し、2つ先の扇田駅で下車。新雪に足跡ひとつついていない扇田を発車する国鉄色編成を撮影。発車の際に吹き上げた排気がいい感じに撮れた。走行写真を撮影ポイントで撮ることはできなかったが、これはこれでいい画が撮れたということにして自分を慰めた。


 キハ52国鉄色の149号機とキハ58の純国鉄色編成。一番撮りたかった編成が今目の前に! まさか乗ることになってしまうとは…。
 奥には試運転幕のキハ110系が停めてある。3/18のダイヤ改正後はこのキハ110系が花輪線を走ることになる。
(大館駅にて 2007.02.12)

 扇田駅を出発する純国鉄色編成。キハは発車時に噴煙を上げるので、このタイミングは割と狙っている。この構図だとわからないがキハ52はツインエンジンなので2カ所から煙が上がる。
(扇田駅にて 2007.02.12)

 この駅の目当てはこの駅のすぐ近くの鉄橋。撮影ポイント的には盛岡方面行きの列車を撮るのに適しているのだが、盛岡行きは今乗ってきたばかりでしばらく来てくれないので、鉄橋の反対側へ移動して下り列車を撮ることにする。鉄橋はすぐ近くなのだが、川を渡って反対側に行くには遠回りをしなければならない。この鉄橋を人が渡れればすぐなんだけど…。
 その遠回りの橋を渡る際、くぇ〜くぇ〜と騒がしい鳴き声がする。この声は白鳥だな。川に目をやると遠くの方に数十羽単位で白鳥が群れていた。時間があったらあとで行ってみてもいいかなぁ、と思いつつ、天気予報を無視していい感じに出てきた朝日に赤く染まる川面と白鳥を望遠で撮る。時間に余裕がなかったので、立ち去ろうとした瞬間、後ろから1編隊が飛んできたのでこいつを撮影。とかやってるうちに列車の時間が迫ってきた。思ったよりも遠回りに時間がかかる。
 途中からは走ることになったが、何とか列車が来る前に鉄橋の反対側に移動完了。鉄橋よりもやや低い位置からの撮影になり、欄干が少々邪魔になってしまう。まぁ、これは列車でこの鉄橋を渡ったときにすでに予想していたことだ。三脚を立てて構図を決めるが、例によって架線がないので列車の大きさがよくわからない。はみ出してしまうとどうしようもないので、これなら絶対はいるだろうという、やや引き気味の構図で決定。キハ52先頭で来てくれたらいいなぁ、とわくわくしながら待つ。川の向こう側の踏切が鳴りだし、列車のライトが見えてくる。2灯の間隔が離れている。ちぇ〜、キハ58かぁ…。赤い部分が見えなかったので白いキハ58かと思ってカメラをのぞき込む。と、どうも白でもなさそう。

あー、そっか、秋田車なんだっけか

 緑色なことに気付いて思い出す。この一本は盛岡のではなく秋田のキハ58が乗り入れているのだ。その昔あった急行米代と同じカラーの車両だ。今はもう普通列車になってしまっているが、その名残で通称米代と呼ばれている列車だった。残念がる必要全然なかった(^^;


 スワン小隊のフォーメーションランディング。予報では曇りと言っていたがこの時間帯は朝日が出ており、川面を赤く染めていた。
(扇田駅付近にて 2007.02.12)

 花輪線に乗り入れている秋田車のキハ52。今はなき特急あさまのようなベージュにモスグリーンのライン。盛岡のキハ52は正面の窓がカーブを描いて側面まであるのに対して、秋田車のキハ52は正面の窓と側面の窓が別々になっている。またテールランプも旧型のものから変更されておらず、こちらの方がオリジナルの形状に近いと思われる。。
(東大館−扇田間にて 2007.02.12)

 次の列車も大館行きの下り列車だが、その直後に盛岡行きが来る。川の反対側に移動するには思ったよりも時間がかかるため、この両方をそれぞれ鉄橋の反対側から撮影するのは無理そうだ。どっちをとるか、それが問題だ。本命のポイントは盛岡行きを正面から撮る事ができる扇田駅側なので、大館行きを捨てて盛岡行きに絞るというのが昨日からの計画だ。が、ここで、昨日からどうもキハ52とはタイミングが合っていないという気がしてきた。予定通り大館行きを捨てるとそれがキハ52先頭だった、なんていうオチがつきそうな気がしてならない(^^; というわけで、裏をかいて盛岡行きを捨てることにした。
 そして運命の30分後、やってきたのはキハ58先頭…。

裏の裏をかかれた…

 後ろがキハ52だったので、もしかしたらこいつが快速八幡平になって帰ってくるのかも!?と期待して運用を調べてみると

捨てた盛岡行きとしてキハ52先頭で帰ってくる…(T_T)

 あぅ、裏目に出まくり…。裏なんてかかずに素直に当初の予定通りにしておけば良かった。っていうか、裏ってなんだよ!<逆ギレ
 仕方ないので、川を渡らずに河川敷から鉄橋を見上げてキハ52先頭の列車を撮影。ただでさえ見上げ構図で今ひとつなのに、やや横気味に撮ったのでケツが切れてしまうと言うおまけ付き。もうちょっと余裕を見ておけばまだ救いがあったのに…。踏んだり蹴ったりだ。
 まぁ、本命は次の快速八幡平だから、と言い聞かせて鉄橋の反対側へ移動。撮影ポイントの下調べの時にWebで見かけた撮影ポイントはすぐにわかった。列車まではまだ1時間半もあるので、食べ忘れていたおにぎりを遅い朝食とする。おにぎりをかじり始めると、突然踏切が鳴りだした。こんな時間に列車なんてないはずだぞ? まさかこんなちょっとの雪で、しかもこんな時間に除雪車が走るわけないし…。ただ単にまた時刻表をチェックし損ねてるのか? などと超特急で思考しながら慌ててレンズを交換する。が、慌てるとなかなかうまくいかない物で、食べかけのおにぎりが落っこちないようにしていたせいもあって、レンズ交換が遅れた。ギリギリ撮影に間に合わないタイミングで通過していったのは、今度のダイヤ改正で導入されるキハ110系の試運転列車!

おにぎりころりんしてでも撮るべきだった!

 ダメだ、今日は運がない…。っていうか、ここに着いたらすぐにカメラをセットしておけば楽勝で撮れたはずだった。

教訓: 着いたらすぐに機材セット

 悔し涙でしょっぱいおにぎりを食べていると、ひとりのてっちゃんがやってきた。「どこかで会いませんでした?」彼に言われ、そう言えば初日、松尾八幡平駅の先の踏切で快速八幡平を撮ったときに会った人だと思い出した。正確には機材を見て思い出した(^^; 筆者は基本的に人の顔を覚えるのが苦手なので、こういうときまず先に気付くことはないのだ(^^;
 筆者もそうなのだが、彼もこの3連休、3日間とも花輪線のキハを撮影しているという。一般的には「てつ」と十把一絡げに扱われることが多いのだが、「てつ」にもいろいろな楽しみ方があって、それは一般的に思われている物よりもずっと広くて深い物だ。列車に乗ることを楽しむ「乗り鉄」、撮影するのを楽しむ「撮り鉄」、走行音や発車メロディ、車掌のアナウンスなどを録音して楽しむ「音鉄」、よく知られている鉄道模型、これ以外にも歴史を調べる学術的なものなど、筆者がまだ知らないものも含めると数え切れないほどある。さらに撮り鉄の中でも、SLが好きな人、電車が好きな人、特急が好きな人、機関車が好きな人など趣味趣向によって細分化される。もちろん、これらの属性は重複することもあり、というか普通重複しているので、かなりのバリエーションがある。ちなみに筆者のよく行く豊田のS字カーブには通称「釜屋」と呼ばれる機関車属性の人達が多い。筆者は田舎の単線を走る気動車が好きで、いわゆる「キハ属性」というやつなのだが、おそらくマイナーな部類に入る人種で、筆者の周りを見ても同じ属性の人はほとんどいない。ところが、今この時期にこの花輪線に来ている人達はほぞ全員この「キハ属性」を持っている人達だ。趣味趣向が合っているので話が通じる通じる(笑) 岩泉線のキハ52の撮影ポイントについて話が盛り上がった。
 ちなみに昨日はどこで撮影していたのかを聞いたところ、ニアミスしていることが判明。夕方遅く、筆者は大滝温泉駅で国鉄色のキハ58を流し撮りしていたわけだが、この国鉄色車両を彼もこの駅でバルブ撮影していたという。彼の撮ったデジカメ画像を確認したら、駅のホームにいた筆者が写っていた(^^; いやー、反対側の列車の面を隠すような立ち位置にいなくてよかったなぁ。

 待ち時間はあっという間に過ぎ、快速八幡平がやってきた。わかっていたことだがお目当てのキハ52ではなく、キハ58先頭。まあ仕方がない。この鉄橋は写真の通りカーブを描いているので、長い編成の快速八幡平を撮るには適しているポイントだった。主役がキハ110系に交代しても、このポイントならば撮影しに来てもいいなと思った。キハ110系も4両編成ともなれば全国でもそうそう見かけない気がする。
 筆者的には今日のイベントはこれで終了で、あとは歩きながら適当なポイントを見つけ、キハ52先頭で来てくれればいいなと願いながら残りの列車を割と適当に撮影するつもりだった。しかし、この彼が「撮影するなら車で一緒にどうですか?」と申し出てくれた。もちろん二つ返事でありがたくお言葉に甘えさせて頂くことに。

やっぱり、「てつ」に悪い人はいない!

 この時点では旅日記のかけらもできていないが、左沢(あてらざわ)線に撮影に行ったときも、現地で知り合った「てつ」な人の車に同乗させてもらって撮影したっけなぁ。こういうコミュニケーションも地方撮影の楽しみだ。長い待ち時間もおしゃべりできて楽しいしね。
 撮影ポイントは彼に一任。どうせ同じ目的なのでどのポイントでも異論のあろうはずがない。盛岡方面へ移動し、広末付近の跨線橋から大館方面行きの列車を撮影。このポイントは反対側では田園風景の中を行く盛岡方面行きの列車も具合良く撮影できるポイントのようだ。


 ↑上 白いキハ58 1529号機を先頭に鉄橋を渡る快速八幡平。白いキハ58にキハ52が2両挟まれるような編成。この鉄橋でキハ52先頭の快速八幡平を撮りたかったが、その夢は夢のままで終わりそうだ。
(東大館−扇田間にて 2007.02.12)

 →右 国鉄色のキハ58+赤鬼キハ52。本当に雪が少ない。
(土深井−末広間にて 2007.02.12)

 この後はもうすっかりお馴染みの2時間待ちなのだが、15:56に松尾八幡平駅で交換する列車がどちらも国鉄色になるというので、松尾八幡平駅に向かうことになった。その途中、一本大館行きの列車が来るので、そいつは湯瀬温泉付近で迎撃。湯瀬温泉は明日撮影するところなので、有名な俯瞰ポイントも教えてもらった。
 国鉄色どうしの列車交換なら同業者が随分といるのではないかと思っていたのだが、駅に数人いただけで特にに混雑はしていなかった。国鉄色が揃うのは盛岡側ということで、光線としては順光にはならない東側からの撮影。ここで撮ってる人は筆者達以外にはいなかった。


 盛岡方面から入線してくる列車はバリ順。国鉄色のキハ58 2両編成。先頭は1513号機。列車全体が入るように撮ったのだが、前面のテカり具合が素晴らしいので大きく切り出してみた。側面のサボ(行き先表示板)もよいねぇ。
(松尾八幡平駅付近にて 2007.02.12)

 大館方面からやってきた列車は後ろにキハ52がついた3両編成。先頭はキハ58 1504号機。どっちかがキハ52の国鉄色だとかなり嬉しかったんだが(^^; でもこれでも十分にレアな風景だ。
(松尾八幡平駅付近にて 2007.02.12)

 3連休も今日で終わりなので、彼はこの後盛岡で車を返却し、東京に戻るという。筆者は夕飯までに湯瀬温泉に到着できればよいので、せっかくなので松尾八幡平駅で折り返す列車を撮影し、その後の快速列車で湯瀬へ向かうことにした。折り返しの列車まではあと1時間。彼もまだレンタカーを返却する時間には早いと言うことで、この折り返し列車を一緒に待った。
 折り返し列車を見送って、彼も見送ろうとしたのだが、あと30分で快速が来るから、それも見ていくという。

日の出から日没まで

 「撮り鉄」の基本概念だ(笑) ここ、テストに出るよ(ぅそ。
 さすがに日が山に隠れると寒くなってくる。入線してきた快速列車は白いキハ58。撮影には厳しくなってきた露出の中、入線してくるところを微妙に流し撮りし、駆け込むように乗車。お互い撮影していたので別れ際があわただしくなってしまったが、ここで彼とお別れ。今日はどうもありがとうございました。おかげさまで貴重な国鉄色の交換風景を撮影でき、また待ち時間も楽しく過ごせました。この場を借りて再度お礼を述べさせて頂きます。


 夕闇の中入線してきた快速列車。窓の明かりが雪に反射して幻想的な雰囲気になった。まだ明るさの残る空もいい色が出た。
(松尾八幡平駅にて 2007.02.12)

 湯瀬温泉駅に停車する国鉄色のキハ52 149号機と白いキハ58の混成編成。思い出深い駅舎も絡めて撮ろうと構えていたのだが、列車で全部隠れてしまった(^^; 除雪された雪の山の上から撮ればよかったなぁ…。
(湯瀬温泉駅にて 2007.02.12)

 カタコトという心地よい振動とディーゼル音の子守歌にうとうとしながら湯瀬温泉駅に到着。この駅は花輪線の駅の中で一番思い出深い駅だ。この駅のホームでお花見をしたときのことは特によく覚えている。
 湯瀬温泉には有名な温泉ホテルがいくつかあるのだが、そのなかでももっとも大きい湯瀬ホテルが今日の宿。以前からこの黄色い建物が目立っており、一度ここに泊まってみたいと思っていた宿だ。今日は3連休最後の日ということで、朝夕飯つきで8500円という安い宿泊プランがあり、これが背中を押してくれた。普通に泊まったら1万3千円ぐらいするんだよね(^^; 8500円でもビジネスホテルと比べて高いが、ちゃんとした夕食と朝食もつくので、これを考慮すると宿泊代としてはあまり変わらない。
 夕食後、風呂に入る前にカメラと三脚を担いで駅に向かう。今日の最終列車は国鉄色のキハ52が来ると、本日車に同乗させてくれた彼が教えてくれたので、こいつをバルブ撮影しようと言うわけだ。ちょっと早く出過ぎてしまって、寒い中30分以上待つ事になってしまったが、無事にキハ52の国鉄色をゲット。ハイビームだったのでフレアやゴーストでひどいことになっているのではないかと心配したが、ちゃんと撮れていた。
 宿に帰って温泉を堪能して就寝。

2/13(火) 湯瀬温泉〜松尾八幡平〜盛岡〜八王子

 今日はいよいよ最終日。高価な温泉ホテルに泊まっていようとも、やっぱり日も昇っていない5時過ぎには宿を出て撮影に向かう。幸いにもホテルからさほど遠くない場所に鉄橋があり、ここがよい撮影ポイントになっているので、撮影の後ホテルに戻って飯を食べることができそうなのだ。
 6時ちょっと前の始発列車は、さすがに山間部だけあって、流し撮りすらできない暗さ。バルブ撮影気味に撮ったのだが、30秒の露光ではヘッドライトの光跡が残っただけで、車体の色や影すら映らなかった。…せっかく国鉄色のキハ58だったんだけれども(^^; 6時半の列車もまだ暗く、流し撮りをしたがブレブレで話にならない…(T_T) ここでちょっと早めだが朝ご飯を食べに宿へ一旦撤収。朝食は7時半からといわれていたのだが、もうちょっと早くならないか聞いてみると、バイキングスタイルになっており、もう食べられるという。これで朝食を不意にしないで済んだ。ただ、次の列車まで30分しかないので、結構慌てて、しかし、昼の食料調達の難しさを考慮して量はたくさん詰め込んだ。

せっかく高級温泉ホテルに泊まってものんびりしない男だ(^^;

 早朝の撮影が暗くてうまくいかなかったので、素直にあきらめて朝風呂を楽しみ、ゆっくり朝ご飯を食べればよかったなぁ…。ま、結果論だけども。朝食後、チェックアウトし再び撮影ポイントへ。
 次の列車はようやく日が出てきて普通に撮ることができた。しかもキハ52が先頭できてくれた。今日は車両運はいいかもしれない。8時頃までは頻繁に列車が来るので、この宿に近いポイントで撮影。が、微妙な写真を連発する(^^; ただ、いろいろ試せたおかげでこの撮影ポイントがわかってきた。今日の一番のイベントは、国鉄食のキハ52が先頭で来るお昼の列車なので、それに向けて構図を練れたのは大きかった。


 ←左 朝日が差し込む湯瀬温泉郷を駆け抜けるキハ52 109号機。トップの画と同じポイントだが、こちらは鉄橋の高さを表現するために縦位置で撮影。
(湯瀬温泉−八幡平にて 2007.02.13)

 ↑上 同じ鉄橋で反対向きの盛岡方面行のキハ58。後ろの2両はキハ52だ。この鉄橋は上りも下りもどこからでも絵になるので撮影ポイントとしては秀逸だ。湯瀬温泉駅からも徒歩10分ほどと近いのも◎。
(湯瀬温泉−八幡平にて 2007.02.13)

 午前中最後の盛岡行きの列車は、昨日教えてもらった有名な俯瞰ポイントから狙ってみる。なかなか雄大な風景なのだが、雪が少ないせいで今ひとつ迫力がない。後ろに見える山に広葉樹林が広がっているので、本当は紅葉の季節が一番いいポイントなのだろう。とは言え、季節は変えられないので来た列車をやや望遠気味に撮影。しかし、なんだかしゃっきりしない画に。Sigmaの70-300は列車を大写しにする分には特に不満はないのだが、解像度という点から見ると今ひとつなんだろうか? それとも単にピントがずれていた? うーん、結局よくわからないままに(^^;
 昨日は撮影できなかったキハ110系の試運転だが、もし今日も走っているとすればこの後だ。今日は平日だし、昨日よりもむしろ走る確率としては高いはず。そう思ってその場で1時間ほど待ってみる。

しかし、あえなく空振り…

 もしかしたら湯瀬温泉までは来ないで、荒屋新町あたりまでしか試運転していないのかもしれない。うーん、本運転が始まればいつでも撮れるけど、花輪線を走るキハ110系も撮ってみたかったなぁ。
 お昼の国鉄色キハ52は、朝と同じ宿の近くの鉄橋で撮るので、一度俯瞰ポイントを撤収。この2つの撮影ポイントは歩いて10分ほどなので気軽に移動できて良い。待ち時間がまだ1時間ほどあるので自販機でホットドリンクを買い、初日からバッグの中に非常食として入れておいたカロリーメイトで食事を済ませる。湯瀬温泉は温泉郷だが駅の近くに食べ物屋さんがないのだ。ホテルに行けば軽食店が入っていそうだったが、それも面倒だった(^^; コンビニがないと食事に困るのがローカル線の悩みではある。特にこの湯瀬温泉近辺は山の中なので車で移動していてもコンビニは見つけられないだろう。
 日差しが暖かく、風を避けられる場所でぼーっとしていると眠くなってくる。そんなひなたぼっこをしていると「わ」ナンバーの車(レンタカー)がやってきた。どうやら同業者のようだ。今日は3連休明けの平日なので誰も来ないだろうと高を括っていたのだが…。列車まではまだちょっと時間があったが、場所を確保するためにポイントへ移動。
 車から降りてきた二人はやはりてっちゃんで、なんと寝台特急あけぼので今朝大館に着いたところだという。そして明日は荒天になりそうだからということで、今夜のあけぼので再び東京に帰るという。このスケジュールではせいぜい4〜5本しか撮影できないだろう。そこまでして撮影に来るとはもはや執念に近い物があるなぁ。
 今日一番のイベント、キハ52の国鉄色を撮影。思ったよりもスピードが出ていたので慌ててシャッタースピードを上げて撮影。ちょびっとシャッターが早かった気がするが、なんとか無事にゲット。それがこのページのトップの画像。やっぱりキハ52はカッコイイですな♪
 次はすぐに快速八幡平が来るので、急いで俯瞰ポイントに移動。一応この俯瞰ポイントで撮る本命なので、どーんと風景を入れて撮りたいのだが、手持ちのレンズの焦点距離では、いくらなんでも列車が小さくなりすぎてしまう。この45〜70mmまでの間、フルサイズ換算で70〜100mmぐらいの間ってのは、列車入り風景を撮るのに割と使う焦点距離なんだなぁ。やっぱ50〜135mm F2.8のレンズが出たら買うかなぁ。ま、買う気は満々なのだが(^^;
 筆者の勝手な予想ではキハ52が先頭で来ると思っていたのだが、予想に反してキハ58の国鉄色編成が先頭だった。っていうか、全部キハ58だし…。筆者同様にこのポイントに移動してきていた先ほどの鉄な彼らは喜んでいた。そうだよなぁ、普通は喜ぶところだな。…でも筆者的にはやっぱりキハ52がよかったなぁ(T_T) でも雪で白いので国鉄色のほうが目立ってよかったかな。
 快速八幡平が去った後はまた2時間待ち。3日目ともなるとこの2時間待ちもすっかり日常だ(^^; とはいえ、また湯瀬温泉駅の待合室でボーっと過ごすのももったいない。ここは湯瀬温泉郷なのだ。2時間もあればふやけるほど温泉に浸かっていられる。
 湯瀬温泉郷小さな温泉郷で、宿はほとんどが駅から徒歩数分の範囲に集まっている。いつも使っているのは安さが自慢の公共温泉なのだが、今日はちょっと贅沢をして温泉旅館の露天風呂に入ってみることにした。昨日泊まった湯瀬ホテルにまた行くのもつまらないので、駅から近い「姫の湯」さんにしてみた。宿を探したときお値段が一番高級だった宿で、一生泊まらないかも知れない宿だったので、せめて風呂ぐらい入っておくかという貧乏心理に基づく選定である(笑) ロビーに国体選手のスキー板が所狭しと並んでいたため、最初は乾燥室かと勘違いして入口を探してしまった(^^; 肝心の温泉は玄関からえらい長い渡り廊下を抜けた先にあった。途中に「あと○○間」と張り紙があるほどに長い! 筆者は内風呂にはあまり入らず、もっぱら露天派なので、内風呂を突っ切って露天へ直行。プールのような長方形の人工的な作りでちょっと興ざめではあったが、屋根も柵もなく、割と視界が開けていたのはよかった。ちなみに内風呂も総ガラス張りの展望風呂となっているので、露天が嫌いな人も景色を堪能できる。ま、筆者は1時間以上露天に浸かっていたが(^^;
 思いっきりゆっくりしたが、それでも次の列車までは20分以上あった。風呂に入る前に目星をつけておいたポイントで、湯冷めを心配しつつ列車を待つ。最初は駅に停車中をメインで撮ろうと考えていたのだが、太陽が雲に隠れそうだったので、日の当たっているうちにと遠くでシュート。結果的にはローカル線っぽくてよかったと思う。この列車も国鉄色のキハ58。盛岡にこんなに国鉄色っていたっけ?というぐらいむやみに国鉄色に会う日だ。

…キハ52はいずこに?(T_T)



 ↑上 国鉄色のキハ58が先頭でやってきた快速八幡平。湯瀬温泉駅からほど近い有名な俯瞰ポイント。直前で少し陰ってしまったのが残念だ。手持ちレンズの焦点距離が合わなかったので、川が収まるところでトリミング。
(湯瀬温泉−八幡平にて 2007.02.13)

 →右 湯瀬温泉駅に入線する、これまた国鉄色のキハ58。ここ湯瀬温泉はちょうど岩手と秋田の県境で、険しい山間部となっている。湯瀬温泉駅の桜が咲いたらこの構図は素敵かも!
(湯瀬温泉−八幡平にて 2007.02.13)

 そして、ついにお気に入りの湯瀬温泉から去るときがやってきた。まだ夕暮れまでには時間があったが、この次の列車を逃すと盛岡駅で予約した新幹線に乗れなくなってしまう。乗り込む列車の入線を撮影しようと待ちかまえていると、やってきたのは国鉄色のキハ52を後ろに従えたキハ52だった。中間にはキハ58が挟まっている。昼間撮影した列車が大館で折り返してきた編成だった。迷うことなく国鉄色のキハ52に乗り込む。さんざん乗ったこいつより、先頭の赤鬼色のキハ52に乗るべきだった気もするのだが、この列車は松尾八幡平駅で1556に交換を行う列車なので、交換風景を撮るには一番後ろが都合が良かった。
 長いようで短かったなぁ。満足のいく写真があまり撮れた気がしなかったので、未練たらたらで車窓を眺めていると、ついつい撮影ポイントを探してしまう(^^; 見覚えのある踏切だなと思ったら、あっという間に松尾八幡平に到着。交換風景を撮影した。もちろん、この列車に再び乗ることはできない。だが、それはもちろん予定のうちだ。この松尾八幡平で折り返して盛岡行きとなる列車に乗れば、ぴったり新幹線の時間に盛岡に到着するという寸法。


 先に大館方面行の列車が到着しており、筆者の乗る盛岡行が着くとすぐに発車してしまうため線路は渡れない。すぐさまカメラを構えて、排気が立ち上る瞬間を狙った。両方の列車のタイミングがそろうのは難しかったか。
(松尾八幡平駅にて 2007.02.13)

 折り返し列車が松尾八幡平に到着する。この夕焼けで撮ってみたいと思っていたキハ52ショットが実現。
(松尾八幡平駅付近にて 2007.02.13)

 折り返し準備を終えた。安比高原をバックに赤鬼色のキハ58。
(松尾八幡平駅にて 2007.02.13)

 大更駅で最後の列車交換。相手もキハ52赤鬼色だった。このキハ52同士の交換をもっと見たかったなぁ。でも最後に見ることができたのは幸運だったのかもしれない。
(大更駅にて 2007.02.13)

 なんか、毎日この駅で夕方の列車を待っている気がする(^^; そして、今日も元気な声が飛んできた。

こんにちは!

 ランドセルを背負った子供がオーバーアクションで走り抜けていく。松尾八幡平駅のすぐ隣に住宅があって、夕方になるとそこの子供達が帰ってくる。この子達が元気に笑顔で挨拶をしてくれる。初めての時は、筆者の後ろに誰か知り合いでもいるのかと振り返ってしまったぐらい、自然で親しみのある挨拶だった。挨拶が筆者に向けられたと知ったとき、思わず感動してしまった。筆者も嬉しくなって笑顔で挨拶を返す。こんなに明るい挨拶をしてもらったのは久しぶりだ。そしてこの嬉しい挨拶、他の子供達もかけてくれる。知らない人にも笑顔で挨拶してくれる子供達。ここに花輪線のすばらしさが凝縮されていると感じた。確かに花輪線は筆者の好む単線ローカル非電化線であり、筆者の一番好きな車両であるキハ52が走っている。しかし、一番の魅力は人の温かさなのだと思った。花輪線のほとんどの駅には花壇があり、それぞれの季節にさまざまな花が出迎えてくれる。これは沿線の人々が世話をしている草花だ。都会ではすっかりなくなってしまった人のぬくもりがこのローカル線には今も息づいている。筆者はこの「ふるさと」に惹かれているのだろう。
 今日は空が綺麗だったので期待していた通りに空があかね色に染まった。しかし、シャッターを切るその動作にもう焦りはなかった。心を静めて静かに夕焼けの風景を収める。今回で花輪線を走るキハ52、キハ58の姿を撮るのは最後になるだろう。しかし、車両は変わっても花輪線はここにあり、これからも旅人の「ふるさと」であるだろう。

また、来よう。キハ110系を撮りに、この花輪線に…。

 折り返し列車の車窓から、赤い空に浮かび上がる岩手山のシルエットを眺めながら思う。花輪線を走るキハ110系と豊かな里山、そしてそこに暮らす人々。キハ110系もかっこいいじゃん…。この花輪線の四季を撮ってみたい。

2007.03.12記