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鋼鉄の愛馬と魔法の書が君を四大陸へいざなう。 知らない場所、初めての街、さまざまな出会いが軌道の先にある。 シャレてる暇はない。さあ、出発の時間だ! |
第0005号 2000.10.07-09 |
飛騨川を渡る高山本線キハ48系(?)。遠くてよくわからないけど、キハ11系じゃないと思う…。しっかしいい天気だ♪ この距離でデジカメはちと厳しかった(^^; (下呂温泉付近にて) |
城端(じょうはな)線の旧塗装のキハ58・キハ28の連結。普通の塗装は白地に青と黄色のラインが入っている。(城端駅ホームにて) |
10/06(金) 〜ムーンライトながら〜名古屋〜岐阜〜高山本線〜下呂〜高山〜富山
今年も鉄道の日記念キップの季節がやってきた。何かと忙しい夏と冬は青春18キップを活用できず、悔しい思いをしているのだが、この10月に出る鉄道の日記念キップのころは連休ということもあって毎年旅に出ることができている。
毎年この時期に野宿を試みて凍え死にしそうになっているので、今年こそは学習して野宿はしないことにした。
そのかわりといっては何だが、久しぶりにムーンライトながらに乗ってみたくなった。まあ、予想通り指定席はいっぱいでとることはできなかったが、最初からとれるとは思ってないのでぜんぜんショックではない。
ここはムーンライトながら乗車の基本テクを使うのだ。ムーンライトながらは全席指定席だが、小田原からは一部自由席に、名古屋からは全席が自由席となる。そこで先に普通列車で小田原に先回りし、ここから自由席となるムーンライトながらの車輌になだれ込むのだ。
ムーンライトながらの直前の小田原行きだと、横浜駅ですでに24時を過ぎるため、フリーキップが適用されて電車賃が安く済むわけだが、こいつで行くとすでに小田原には自由席待ちの長蛇の列ができあがっている(^^; というわけで、ちょっと早めに小田原に行くのが吉だ。もちろん、24時前に先回りすると、小田原までの電車賃がかかる。まあ検札には来ないので見つかることはないが、電車賃をちゃんとはらうのがオトナというものだ。ましてや「てつ」ならばなおさらだ。どうせ元はイヤってほど取れるのだから心配ない。
横浜駅に行く途中、駅の電光掲示板にサンライズ出雲の運転取りやめの情報が出ていた。なんでも鳥取で大地震があったようだ。仕事しているとニュースに疎くてイヤだねぇ。これから行く飛騨高山には影響なさそうなので、このまま進んでも大丈夫のようだ。
小田原駅に24時すぎに到着。ムーンライトながら到着まで1時間弱といったところか。なーんかいつもよりも多いような気がするなぁ…。なーんて思っているうちに、いつのまにか後ろには長い列ができていた。自由席になるといっても、もともと指定席で乗っている人が小田原で降りることはほとんどない。つまりは全員が通路やデッキに乗り込むわけで、この人数はかなりの混雑、というか、通勤ラッシュ並の圧縮度になることは間違いない…。
なんでこんなに多いのか考えてみる。そーいえば「てつ」のオーラを発していないがちょっと興奮気味の人たちがいる…。そっか、F1! やつらの目的地は鈴鹿か!
いつもは名古屋止まりの車輌(名古屋で切り離されておいて行かれる)部分の列は少めなのだが、今日は他とかわらない。鈴鹿は名古屋で乗り換えだからだ。
謎が解けても混雑は緩和されない。
予想通り、デッキに座ることもできず、立ったまま列車に揺られることになった。みんな荷物が多いから足場が悪く、通勤列車とは別の意味でヤナ感じだ。
静岡あたりで、ようやく少し減り、デッキになんとかケツをつけるようになる。とても座れたという表現は使えない。
一部には、静岡までの終電としての認識があるため、こうして降りていく人がいるわけだ。
デッキなのでこちらの扉が開くときにはどかなくてはならないし、何しろ窮屈なのでさすがのオレも熟睡できない。それでもかなり寝た。さすがオレ。しっかし、今日はえらい寒いな(^^;
やっぱこの季節は寒いらしい。
豊橋で30分ほど停車するのだが、オレのいる側のドアが開いていたので、今年もまた凍え死ぬかと思った(^^;
夜が明けて、名古屋に近づくと、ムーンライトながらは夜行列車から早朝列車へと様子を変える。乗り降りが頻繁になったので座るのをやめる。ここでもF1めあてと思われる客が何人も乗り込んでくる。F1って結構早く行かないといけないものなのね。
名古屋に着くと駅は早朝だというのにかなり混雑していた。F1恐るべし…
全身フェラーリのチーム服に身を包んだ人とかもいて、かなりF1雰囲気が強くなってきた。
立ち食いそば屋で名古屋名物きしめんをいただこうと思って、ムーンライトながらを見送ったのだが、なんときしめん屋は0700より営業! まだ準備中ではないか…。
あきらめて次の列車で岐阜へ向かう。
岐阜からはお目当ての高山本線にはいる。列車を見るまで知らなかったが、電化されていないようだ。ここを走る列車はキハ11系と、キハ48系。そして特急列車はワイドビューひだのキハ85系。うーん、キハっていいよね♪
単線汽車属性にびびっとくるものがある。
結構寝たつもりだが、ながらはお世辞にも快適ではなかったため、やはり眠い…。半分ぐらい居眠りしながら最初の目的地下呂を目指す。
全長の長いローカル線にありがちな、「はじからはじまでの直通運転はない」というのを、この高山本線も踏襲している。そしてもうひとつ普通列車より特急列車の方が多い(^^;
という難儀な特徴も見事にもっている(^^;
これは普通列車用のフリーキップで旅をするものにとってはなかなか厳しい条件だ。はじからはじまで行こうとしたときに、列車の接続は悪いわ、途中で特急に何度も抜かれて停車時間が長いわ、そもそも列車の本数が少ないわ、という具合に三重苦といってもいい状態だ…。
こんな面(?) に時刻表を持たずに挑むのは無謀ってもんだ。
絶対に時刻表を装備して出かけよう。約束だ!
最初の目的地が下呂なのも、この乗り継ぎのせい。美濃太田で早くも最初の乗り継ぎをして下呂行きに乗ると、下呂で3時間ほど足止めされる。1000に列車が着いて、次の下り普通列車は1333である(^^; このとっても都合のよい時間帯にはばんばん特急が配置されているため、普通列車はないのだ。
ま、こういった路線では普通列車は朝と夜以外はほとんどないものと思って、少ないチャンスを確実にものにしていくことが大切だ。
3時間あって下呂温泉ということで、温泉に入らない手はない。早速温泉街を散策する。ここで「湯名人温泉手形」なるアイテムを発見。加盟しているホテルの温泉のなかから、3つまで入ることができるフリーキップのようなものらしい。早速購入。さすがに3つ入るつもりはないが、有効期間6ヶ月!
というので、とりあえず買ってみた。手形は将棋の駒の形をしたもので、はがき大で厚みもそこそこあって、おみやげとしても十分役目を果たす。鈴もついてるし。
加盟店の案内表をもらったので、温泉入浴時間を調べると、1000付近に入浴できないところがほとんどだ。…ま、そりゃそうか。
いつの間にか河原へ迷い込むと、そこには源泉○○号と書かれた石灯籠みたいなものがいくつも立っていた。どうやらこれが下呂温泉の源泉らしい。灯籠からはホースがのびていてホテルへとお湯を引き込んでいるのがわかる。
その河原に出入り口を持っている変わった建物があった。他のホテルは出入り口は川の逆側、温泉街についているのだが…。その建物はクアハウス露天風呂。さっき買った湯名人の加盟店ではないのでちょっと困ったが、ここに入ることにした。入浴料600円なり。ちなみにシャンプーとリンス、石鹸は用意されていた。
露天風呂はなかなかよい感じ。露天風呂だけしかないが、ジャグジー、ジェット、打たせ湯と、いろいろなものがあり、広さもそこそこ。河原に出入り口がある割にはメジャーらしく、常に2,3人がいるという感じだ。
さすがに秋ということで外に出ていると寒い。でもこのぐらいの方が温泉に浸かる分にはよい。ながらの疲れをゆっくりといやす。
まだ時間が1時間以上ある。川を渡る鉄橋がなかなか良さそうな撮影ポイントだったので、この時間たくさん通る特急ひだを撮影することにした。20分ぐらいのあいだにちょうど昼着発のひだを2両撮影した。あと、回送で折り返していくキハ48もとることができた。
駅へ戻り、腹ごしらえにとそばをいただく。だしはカツオだしだったが、色はさすがに薄かった。味は濃かった(笑) 濃い方が好みなので問題ないけど。なかなかうまかったな。
さてさて、ようやく1333の普通列車がやってきた。こいつは高山行き。つまり、また高山で足止めを喰うわけだ。高山着1430だが、つぎは1600台までないというわけ。とはいえ、こういう観光地で足止めされるのは全く問題ない。観光をして1600台は見送り1700台の列車を使うことにした。
高山はいろいろな観光名所があって、市内にも代官所跡など興味を惹かれるところがあるのだが、郊外にある「飛騨の里」というところに、合掌造りの家などを移築した博物館にいくことにした。明日は合掌造りの家で世界文化遺産に登録されている白川郷というところに行こうと思っているのだが、その予習という感じだ。白川郷は今も人が住んでいる里なので、家の中とかは見れないかもしれないのだ。
駅から2km以上あり、るるぶにはバスで行けと書いてあるのだが、JRの駅の看板には歩いていくための地図があったりする。どのみち2kmは歩ける距離なので歩くことにしていた。あちこちでレンタルチャリもあったが、山の上にあるのでイマイチチャリだときついかもしれない。
飛騨の里には合掌造りの家の他にも江戸時代や明治時代に建てられた建物など、いろいろな建物を集めた博物館だ。展示しているのが家であるだけに、当然屋外である。
目当ての合掌造りの家は2軒あるが、そのうち国の指定重要文化財になっている若山家は、入母屋造りから白川郷にある切り妻合掌造りへ移っていく初期ものもだということで重要なのだそうで。ま、文化的な価値はともかく、家はものすごいでかい。見た目で屋根の部分が家本体の高さぐらいあるわけで、屋根裏がでかい。昔は養蚕に使われたこのスペース、入ってみると屋根の裏側が見えて興味深い。釘をぜんぜん使わず、藁とツタでくまれている。一見崩れそうだが、豪雪に耐え、地震にも耐える非常によくできた構造になっている。屋根は本体と接続されておらず、鉛筆のようにとがらせた柱を組み、とがった部分を家本体に作られたくぼみに指して、屋根は載せているだけという形。地震に強いといわれている現在最新の工法と原理は同じということで、昔の人の知恵に驚かされる。
たぶん設計図とかないんだろうなぁ…
こういう技術的センスというものがやっぱり日本人にはあるのかも。ISOとかはあまりむいてないよぉ、と思うんだけど、どうかな? 日本人的には…そのぐらいのもの勘でつくれんでどーする!
といえる技術者を大切にするべきじゃないかなぁ。
さて、話を元に戻して…
これらの建物は移築してあるとはいえすべて現物である。これはつまりどういうことかというと、数百年もまえの家が今も健在だということである。若山家は1797年築ということなので、もう200年も健在であるということだ。
最近の家は住むところであるが、こういう家は何世代にもわたって脈々と受け継いでいく、土地や田んぼのような財産なんだなと感じた。日本古来からある「家」という単位は、この本来の家という建物が血のつながりの象徴なんだなぁと思った。最近、あまり家族とか家とかのつながりが薄くなったのは、家が一世代に一軒つくる時代になり、また、家を移るということをするようになったからではないかなぁ。昔は生まれた家で骨を埋めてたんだねぇ。
それはすばらしいことであるように思えるが、個人として家に縛られているわけで、個人的には「守って欲しいけど、自分はイヤだな」という非常に身勝手な事を思った(^^;
いかに家が優れていても、電化されたり、いろりがない今の生活には、この家は適さない。
時代は変わっていくので、博物館はともかく、実際に住んで守っている人たちはどういう気持ちなのか、ちょっと複雑な気がする。文化遺産の中に住むのは大変なんだろうなぁ。移り変わっていくことが宿命である、文化っていうものをを守るっていうのは難しいものだ。
白川郷を文化遺産として残すと決めた以上は最善を尽くして守って欲しいと思う。そのために、明日は気合いを入れて見学をしようと思う。予習としてはなかなか成果が大きかった。
満足して高山駅に戻る。夕日が山に隠れようとしていた。風も肌寒い。やっぱ、野宿は無理だよな(^^;
明日行こうとしている白川郷はJR高山線とはぜんぜん違うところにあり、さらにそこは鉄道からかなり離れている。明日は白川郷を往復するだけで終わるだろう。最寄り駅は城端(じょうはな)線の城端駅でここからバスが出ている。便を考えて今日は富山に宿を取ることにした。
例によって高山から富山に直接行く列車がなかったので、飛騨古川、猪谷でそれぞれ乗り継ぎを行って1930にようやく富山に到着。こりゃ最終日、よっぽどしっかりと時刻表を見ないと帰れなくなりそうだ(^^;
猪谷から富山にかけての路線で、キハ120なる車輌を目撃。型番からキハ110系よりも後に開発されたものなのだろうか? そういえば春に山口に行ったとき、美弥線で目撃したな。西日本の車輌なのか?
とりあえず、今日はこれで休むとしよう。明日も早い。
作られた村とはいえ、きれいだ(上)
屋根裏の様子。縄とツルだけで屋根の骨組みは支えられている。最新工法と同じ理論で風雪や地震に強い丈夫な建物となっている(下)
(飛騨の里にて)
下呂温泉ホームのキハ48系(上)
下呂温泉近くの踏切を通過する特急飛騨キハ85系(下)
10/08(土) 富山〜白川郷〜富山
今日はとっても早く、0640の列車で城端へ向かわなければいけない。携帯のアラームを0530にセットして…みごとに寝坊する(^^;
一応30秒間鳴るように設定したのだが、ぜんぜん気づかず爆睡(^^; 昨日寝たのが2600過ぎだというのもあるだろうが、やはり前日のムーンライトながらの疲れ、観光の疲れが思ったよりも大きかったようだ。まさか全然気づかないとは。
起きたのが0630だったので、ちょっと予定の列車には間に合いそうもない。これに間に合わないとどうなるかというと、城端からのバスを一本遅らせるということになり、時間にして2時間のロス。
これでもバスは多い方だと思うので贅沢は言えない。
もっともそれでも昼前には白川郷につけるので、何とかなるだろうと別段あせらなかったけどね。
ギリギリまで遅らすのも何なので、0730にチェックアウト。
富山駅で朝飯に駅弁を買おうと思ったら、ます寿司しか売ってない。栗おこわとかがよかったのだが…。城端線の乗り継ぎをする高岡もそこそこ大きな駅なので、弁当はそっちに期待することとし、富山を後にする。
その前に、お泊まりセットのカバンを富山のコインロッカーに預けることにした。白川郷からは高山へもアクセスできるため、帰りは必ずしも同じ道を通って富山に帰ってくるとは限らなかったのだが、仮に高山に出たとしても、高山では恐らく宿は取れまいということで、今夜の宿はまた富山になるような気がしたからだ。明日は名古屋に出て東海道新幹線で帰宅することにほぼ決定している。富山からならなんとか帰り着くことができるだろう。あいにくと月曜日の天気予報は雨なので、ひたすら列車に揺られるのも悪くない。
身軽になったところでホームへ。今日は城端線ぐらいしか列車に乗らないので、フリーキップを使うのはどうかという話もあったのだ。フリーキップは3日間で9180円、つまり一日1060円乗らないと元が取れないからだ。しかし、高山本線のはじからはじまでで約3000円+名古屋までの電車賃で、すでにほとんど元を取っているような気がするのでフリーキップを使うことにした。要はトータルで9000円使い切ればいいのだ。
金沢行きの快速列車はちょっと変わった列車だ。クモハ419と書かれたその車輌は…でかい。外見もでかいが中もでかい。特急かなんかだったのを改造して使ってるのかな? 地方に行くと早朝と終電間際に変わった列車がよく走っていたりするが、そのたぐいなんだろうか?
快速なのであっというまに高岡に到着。だが、ここでも弁当はなく、ます寿司のみ…。仕方ないので朝マックのテイクアウトが今日の朝飯となる。さすがにます寿司は量が多いので、ま、いいか。
ところで、ケロリンという名を聞いたことがあるだろうか? そう、温泉に行くと必ず洗面器に書いてあるあれだ。それが頭痛薬の名前だということをみなさんはご存知だろうか? オレは富山に来てこのポスターを見るまではぜんぜんしらなかった。洗面器は全国各地で見かけるのだが、薬のポスターは初めて目にした。富山の薬のようだ。これって、薬よりも洗面器の方が絶対によく知られていると思う(^^;
ちなみに、「日本の痛みを考えて70余年」というキャッチがはいっている。恐るべし、ケロリン(笑)
さて、高岡駅からは城端線に乗る。城端線も単線の汽車だ。車輌は白地に青と黄色の塗り分けで、千葉を走っている250系特急「わかしお」のカラーににている。
形式はいくつかあるようで、キハ47、53、28を確認した。中でもキハ28はむか〜しのクリーム色に朱色のラインという塗装で、かなりノスタルジーをかき立てる。今回はキハ28は行き違う列車で見たのだが、走っているのならそのうち乗ることもあるかもしれない。キハ53は1両で、駅の開業100周年記念のヘッドマークをつけていた。
城端線はそんなに長くないので、終点の城端まではすぐだった。0900ちょっと前に到着したが、0850のバスはすでにそこにいなかった。なんで接続するようなダイヤになってないかな…(^^;
まー、乗れないだろうとは思っていたのでショックではなかった。予定通りバスを一本遅らせて次のバスは1040である。約2時間の待ち。時刻表を見ると接続しない理由がわかった。バスと列車、高岡から城端までは路線が重なるため、わざとずらしてあるのだろう。政治的な要因で旅が不便なのはちょっと悔しいが、逆にこういった待ち時間がゆったりとした旅を演出しているとも言える。ようはものの考え方だな。
城端駅のベンチで旅日記を付けていると、城端線が結構な頻度で入線してくる。あの旧塗装のキハ28が来ないかな、とも思ったが来なかった(^^;
城端にバスが到着する。このころには客もだいぶ集まっていて、バスは一気に満員になった。白川郷なんて山奥にあるところ、誰も行かないと思っていたのだが、さすがに世界文化遺産となるとそんなわけがないか、と思い直した。
さて、バスが発車する…そのまえに寝てしまったらしく意識が飛ぶ(^^;
気づくと1時間以上たっていた。乗客も少し減っていた。ちょうど起きたところが五箇山の合掌造り集落のバス停で、客がぞろぞろと降りていった。五箇山エリアを過ぎる頃には乗客はオレ以外には3組5人となっていた。さすがに遠い白川郷までいくひとは少ないということか。これならすいててのんびりだな、と再び希望がわいてきた。
終点は白川郷の奥にある荻町神社前なのだが、入り口にある荻町で降りる。バス停のすぐ近くに白川郷が一望できる展望台がある。登り口は歩行者専用でかなりの急勾配。距離は大したことなかったが、さすがに運動不足がたたって心臓がばくばくいってる(^^;
で、展望台に登って呆然とした。白川郷は観光客であふれていた(^^;
バスから降りた人は少なかったのだが、この車の数…。自家用車と観光バスで道が渋滞してる…。白川郷は人が住んでいる静かな山奥のはずなのだが、そんなのはうそうそ。狭い村なのに200人ぐらいの人がいるか? 高山の駅前ぐらいのにぎわいになっている…。頭の中の「静かな山村」というイメージがこなごなに砕けた(^^;
確かに村の建物のほとんどが合掌造りの家で、人さえいなければとっても雰囲気のある村なんだけど…。
気を取り直して村へ降りる。昨日見た展示物に較べると、飾り物ではないだけに少々くたびれていたが、しっかりと生活感を感じることができた。天井裏の蚕部屋はもう使われていないようで、採光用の障子が破れてたりとかする。ちゃんとガスも電気も来てていて普通に人が住んでいるんだなとわかる。
その反面、これだけ観光客が来てるだけあって、本当の意味で不通の生活はできていないようだ。建物はあるけど、すでにそこに住んでいた人は出てしまっていて、運営団体の土産物屋になってたり、住んでいる人も観光客を利用して民宿や休憩所などをやっていたりと、山奥の農村という本来の生活スタイルはもう失われてしまっているような気がした。田んぼはあるんだけどね。おいてある車も立派なもので、観光で潤っているのかなとも思った。
実際に人が住んでいる家もお金を払って見学することができるのだが、とにかく人が多くてそんな気分になれなかった…。
確かに実際に建っているところを見るのは大切なことだと思うのだが、本当に合掌造りの建物を見たいのなら昨日いった飛騨の里のほうが、展示という意味ではしっかりとできている。人も多くないし、説明も付いてるし。
展示と本物と両方を見て、世界文化遺産というものを考えさせられた。
たくさんの観光客による収入で、確かに資金には困らないのかもしれないが、本来保存しなければいけなかったはずの山村の文化というものははっきり言って失われてしまっていると思う。また、この集落の中でも新しい家が建設中で、この建物は合掌造りではなく今風の家だった。茅葺きの倉庫にはトラクターや除雪車がいられているし、電柱も立っている。これだけ車が普及し、山奥のここでも陸の孤島というわけじゃない。文化は着実に変化している。その中で建物だけを守っても仕方がない。そう言う意味で文化を残すためには、つねに変化していく人が生活している村は適していない。この村に住んでいる人たちが、観光客に嫌気を指して全員がいなくなって、文化保存団体が全部の建物を管理して博物館にしてしまった方が、ちゃんと保存できると思う。
文化や動物など、移り変わっていくものを保存するのは、技術的にも倫理的にも難しいものだ。
結局、予定していたよりも一本早いバスで城端に戻ることにした。
バスに乗るとまた一瞬で爆睡。そして城端の駅ではまた1時間待ち(^^;
しかし、待った甲斐があってやってきたのは旧塗装のキハ28とキハ58の連結!なんだかんだいっても、古いものが残っているのはやっぱり嬉しいことだ♪
結局、みんなの失いたくないって気持ちが、ものを保存して行くわけで、それは特に保存したい人と、所有する人の両方がそう思ってないとなかなか実現できない。JR東日本は利益追求ばっかりでどんどん古い列車をなくしてしまうので、ちょっと寂しい。JR西日本は、まあ、お金がないってのもあるかもしれないが、「改造すればまだまだ使える」という考えがあって個人的には嬉しい。
まだ時間が早かったが途中下車することもなく、高岡で乗り換えして富山へ。また富山の昨日のホテルに宿を取ることにした。まだ日が落ちたばかりだったが、ここから高山線に入っても、観光地ばかりで泊まるところに困ると考えたのだ。
明日は天気が悪いという事なので、下呂温泉で温泉につかるだけにしようと思う。高山線の車窓の風景を楽しむために、今日はとっとと寝ることにしよう☆
展望台から村を見下ろす。合掌造りがいっぱいあるのがわかる。あと、道が車でいっぱいなのも…。 (城山展望台より) |
人が写らないように写真を撮ると、静かな山村に見えるが、実際は人だらけ…。文化遺産になる前に見に来ればよかった?(白川郷荻町) |
10/9(月)(体育の日) 富山〜高山本線〜太多線〜名古屋〜のぞみ〜新横浜
今日はいよいよ最終日。って、まだ富山にいるので朝から帰路なんだけど(笑)
さすがに今朝は寝坊せず、快適な目覚め☆ このホテル、朝飯はただなのだが、7時からではちょっとこっちの予定と合わない。
まず朝いちは0740の高山本線に乗り込む。飯はコンビニでサンドイッチとおにぎりを買う。ところが列車は結構混んでいて、ボックス席が確保できなかった。ロングシートは飯を食うには不向きだ…(^^;
落ち着かない朝食を取って最初の目的地はこの列車の終点高山。ここで列車を待つ時間が1時間ほどあるので、一昨日見なかった近場をちょっと見てみることにした。とはいっても、1時間しかないので、代官所を見に行くことにした。まだ9時だというのに観光客がいっぱいいてちょっと幻滅。しかも代官所は修復工事中だし…。入れることは入れるのだが、いまいち乗り気じゃなかったので門からのぞくだけでやめた(笑)
代官所の前で、朝市がやっていたのでちょっと見てみる。普通朝市ってのはもっと早朝にやるもんじゃないのか? などとちゃちゃを入れながら、ぜんぜん買う気もなくて見て回る。あ、でも野菜とか果物とか結構安いかも…
あと工芸品も普通の店で買うよりも安い。
ちょっと安かったので、巨峰を所望してしまう。100g100円というので、100円分だけ買う(笑)
100gだとふさについてないで、実だけを袋につめて、ちょうどキャンデー100円で詰め込み放題みたいな感じになってしまった(笑) 一人分ならこれで十分だな。汽車の中で食べよう。
まだちょっと時間があったので、ホームで撮影。キハ40系を発見! キハ40系は両側に運転席がついてて、必ず2両編成にして使うキハ48系と違うということがわかった。またつまらぬものを知ってしまった(^^;
高山駅でオレンジカードを売ってたので5枚まとめて購入する。このなかに、昨日見たクリーム色に朱色のラインの旧塗装のキハ58系があって「想いでの…」とかいてある。売ってる駅員に聞いたところ、JR東海にはもうこの塗装のキハはないとのこと。JR東海も結構金持ちだからなぁ…。
高山駅で乗り込んだのは美濃太田行き。この辺からみょうに天気が良くなってくる。天気予報では天気は下り坂で午後から雨っていってなかったか?自分の晴れ男ぶりが時々恐くなる…
ま、雨よりもいいので、こんどは座れたボックス席でのんびりと、そしてたまに居眠りしながら車窓を眺め、普通列車の旅を満喫する。これで窓が開けば最高なんだが…。
最近の車輌は、昔は窓が開いたこのキハ48にも改造がかけられて、窓が開かなくなってしまった。今乗っているのについては、上の方が開くようになっていたが、下が開かなきゃつまんな〜い!
というわけで、紅葉シーズンには窓の開く磐越西線とか花輪線に乗りに行ってやろうと心に決めた!
昨日撮影した下呂の鉄橋を渡って、一昨日に続き下呂で下車。せっかく買った湯名人手形を使わないのは悔しいので、今日はリベンジだ。
駅からすぐの水明というホテルは12時にも温泉が入れる。ふふふ、下調べ済みなのさ。
建物も立派だが、中身もかなりの一流ホテルらしく、着物姿の女中さんに「いらっしゃいませ」と頭を下げられ、ちょっときまずい(^^;
受付のおねいさんはとってもきれいな人で、手形をみせると快く風呂の場所を説明してくれた。やはりいいホテルの受付さんはよくできている。
露天風呂と展望風呂があるとのことなので、今回は展望風呂にいってみることにした。9Fだし、ホテルの位置からいってもそんなにすばらしい眺望があるとは思えなかったが、ちょっとこころに秘めるものがあった。駅から近く、そして9Fなら…。そして予想は当たっていた。下呂駅が眼下に広がる鉄道パノラマ!(笑)
屋内で風呂も一種類しかなかったが、温泉につかりながらキハ85系の長い編成が駅を出入りする様子を見られて満足♪ てつには強くおすすめするね。
次は昼飯。そう言えばおとといも下呂で昼飯を食ったな。
ちょっとさまようと大衆食堂があったので入ってみる。そこで肉丼なるメニューを見つける。この辺では高山牛ってのがちょっと有名なので、そのドンブリだ。甘辛く似た牛肉と、野菜の炒め物みたいなのがご飯に乗ってる。なかなか脂がのっててうまかった☆
下呂駅にて帰りののぞみのキップを手配する。結構うまってて窓際の席は取れなかったのだが、3連休の最後の日の夕方に席が空いてるだけでもラッキーだと思ったので、一番通路側のC席で手を打った。一人旅だと指定席の確保が簡単でいいよね☆
あ、関係ないけど、下呂の下ってのは「した」って意味で、ちゃんと上呂(じょうろ)という駅がある。…ってそれだけ(^^;
下呂始発の美濃太田行きはキハ11系。キハ11系は岐阜とか名古屋に近いところだけを走ってるようだ。下呂よりも向こうでは見かけなかった。キハ11系はバックミラーが車体の外に出ているのがチャーミングだ(笑)
ここで、ふと思いつく。どうせ美濃太田止まりなのだから、その先なにも岐阜に行かなくてはいけないという法律はない。美濃太田からは太多線(たいた線:美濃太田−多治見)で中央線に出て、名古屋を目指すことにした。到着時間、待ち時間とも両者にほとんど差はない。
下呂から美濃太田間も川沿いを行き、山の緑が心やすませる。上の方は一部紅葉していたが、このあたりはまだまだ緑色が濃い。特に気に入ったのは行きにもちょっと途中下車しようかなと思わせた上麻生−白川口の渓谷。これはなかなかすごい渓谷だ。ガイドブックとかには載ってなかったような気がするが。見た感じ、道もなく整備されていないからかな?
列車からだとよく見えないので、なんとかして近くで見たいものだ。
この列車の終点の美濃太田で乗り換え。
太多線はこういうときでないとまず乗る機会がないと思われる。こいつもキハ11系をつかっていた。途中、可児(かに)駅という珍しい駅の駅名板を撮影。ま、乗ってるだけだったので大したイベントもないが、とりあえず制覇だ!
で、中央線は久しぶりの電車、210系。今のところ中堅車輌として頑張っているタイプだ。新型の315系(312系?)にちょっとおびえているという感じか?ロングシートなので、ぜんぜん観光気分じゃない。ロングシートって関東近郊では当たり前でも、走っている路線の距離に換算したらものすごく少なくて、そういう意味では少数派。きっと初めてロングシートに乗った人は「なんじゃこりゃ」って思うんだろうねぇ(^^;
名古屋駅につくと、まずおみやげを探す。すでに高山駅で普通のおみやげは買ってあるのだが、ここでも限定お菓子を探さないといけない。八丁味噌プリッツはキオスクに売っていたのだが、名古屋コーチンカールがちょっと見あたらない。結局いろんなキオスクをまわったあげく、4軒目にて発見! 売ってる店が少ないのね(^^;
これで今回のカールは2種類となった。食べ較べよう♪
次なるミッションはきしめん。一昨日の朝、開店前で涙をのんだのだが、夕方なら店はやっている。早速リベンジ。きしめんってうどんなのかな? とにかく、幅広の麺のあれだ。カツオだしのつゆはオレ好みにちょっとしょっぱめでとてもおいしい☆ となりで東京弁の女の子が「しょっぱくない?」などと語尾上げしていたが、このぐらい味があった方が個人的には好みだ。つゆまで全部いただく。
さーて、ここでちょっと早いが新幹線ホームへ。するとものすごい混雑ぶり。特に階段付近は大変なことになっていて、駅員が黄色い線の内側にはいるように叫んでいた。そうか、名古屋駅には柵がないのか…。
こりゃ大変だ。
自由席は結構混んでいるようで、のぞみにしてよかった☆ちょっとだけ高いけど(^^;
でもそれでいつも乗れない車両に乗れるなら安いものだ。ちなみに今回は500系を選んだ。狭いといわれようが、揺れるといわれようが、あの洗練された刺さりそうなフォルムには700系のおとぼけ顔にはない魅力がある☆かっこよければそれでよし!(笑)
列車が来るまで、時刻表の欄外にある「ぐったいむ」を読みふける。いわゆる時刻表読者(?)の1行投稿欄だと思ってもらえればだいたい正解だ。常連さんばっかりなのだが、なかなかおもしろい。ただ、気をつけないと(子供)ママー、あの人時刻表読んで笑ってるよぉ〜!
なんてことになりかねないので、要注意だ(笑)
(母親)コラ、見ちゃいけません!
さて、500系も来た。そして次の停車駅は新横浜だ! すばらしい♪
最後は新幹線だが、今回の普通列車の旅、久しぶりにのんびりを満喫した☆ たまには各駅停車もいいよね。
ムーンライトながらで6時間、のぞみで1時間20分…(^^;
人生は各駅停車。特急列車はないので、ひとつひとつ止まっていこう。たとえ後から来た人に抜かれても、行き違いになっても、着実にひとつずつ進んでいく。そして周りの景色を楽しむ余裕を、ゆったりとした時間を大切にしたいものだ。